【サンムーン(?)】メタゲームからみる、最強タケシ決定戦

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フローライトです。「壊そうと思えば瞬く間に壊せる」と豪語する米津玄師に怯えながら日々を送っています。

~ここまでのあらすじ~

4月某日。

1on1考察で盛り上がるトレーナーたちの下に、それは現れた。

ということで5月某日、総勢16名のタケシによる最強タケシ決定戦が行われた。
本記事は、そのメタゲームの軌跡である。

メタゲームとは?

ポケモン対戦をやっていると、「メタ」という言葉を聞くことも多いだろう。
これは「メタゲーム」の略語であり、メタゲームとは

“ある対戦環境における、強力な戦略を予測し、それに有利な戦略を選択すること”

を意味する言葉だ。
また、「採用した有利な戦略」そのものを「○○へのメタ」と呼んだり、何かを対策することを「○○をメタる」と言うこともある。

ポケットモンスターの対戦においては、

・シングルバトルにおける「ハピナスが強力なので、サイクルを封じるソーナンス+ダグトリオを使う」
・ローテーションバトルにおける「壁張り+積み技が強力なのでかわらわりを使う」

といったものが代表的な例である。

さて、メタゲームとは、対戦環境がはっきりしなければ機能しない。
では、「最強タケシ決定戦」というのはいったいどのような戦いなのだろうか?

 

レギュレーション

大会記事より引用。

【 形式 】

・シングルバトル(ノーマルルール)
※ポケットモンスター サン・ムーン での対戦となります。
VC版での対戦ではございませんので、ご注意ください。
【 使用可能ポケモン 】

・イシツブテ(1匹目)

・イワーク(2匹目)

以上、各1匹。

なお、本大会においては、アローライシツブテは使用できません。

また、7世代マークの有無を問いません。

【 ルール 】

・【必須】ツイッターのアカウントをお持ちであること。

・【必須】必ずイシツブテを初手に選出し、イワークを控えに選出すること。

・ポケモンおよび道具の種類に重複がないこと。

・過去作品から連れ来たポケモンの使用を認めます。

・大会中のパーティの変更を認めます。

最強タケシ基礎知識

ここまで読んだ読者諸兄は
「いろいろ書いてあるけど要はイシツブテとイワークの殴り合いでしょ?」
「タイトルで面白く見せようとしているだけじゃないのか」
「16名……?」
といった感想を抱かれていると思う。

※画像は16名のタケシをイメージしたものです。

しかし、このルールには想像を超える深き闇、通称タケ深淵が広がっていたのである。

ポイント1.がんじょうという特性

イシツブテとイワークはそれぞれ特性「がんじょう」によりHPが満タンであれば一撃で倒されない。
そのため、基本的には2回行動しなければ相手を倒すことができない。相手を上からワンパンできても、HPが削れていれば負けてしまうのだ。

ポイント2.イシツブテの器用さ

最強タケシ決定戦は、先発イシツブテが義務付けられている。

←先発

そしてイシツブテは
・ステルスロック
・ふいうち
・じならしorがんせきふうじ

と、がんじょうへの対処手段を大量に持っているのだ。
特に、控えから出てくるイワークのがんじょうは、あらゆる手段で潰されかねない。

ポイント3.イワークの種族値

ご存知の通り、イワークの種族値は35-45-160-30-45-70
数値を見ると、まずは「こうげき種族値がポッポと同じ」「ハトーボーより速い」といった部分が目につくかもしれない。

←ヨルノズクと同速。

しかしタケシの視点からこの数値を考察すると、

・ぼうぎょは高いがとくぼうが低すぎ、無振りではだいちのちからでワンパンされる
・イワークもイシツブテもとくこうが同じ
・そのとくこうが30しかないので、とくぼうに252振ると最大火力のだいちのちからを耐えられる

・とくぼう特化輝石イワークの耐久は無振りイワークの3倍に達し、だいちのちからを2発耐える
・最速イシツブテよりも無振りイワークのほうが速く、イシツブテでイワークを倒すのが難しい

と、がんじょうは大事だが、潰しても即勝利、とはいかないようになっていることに気づくだろう。
では耐久に振れば安全か、といえば、そうでもない。
耐久に振った代償として最速で相手をワンパンするのは不可能になり、ジメンZは生半可な耐久調整を破壊する。
そして、すばやさ関係にはもうひとつ重要な点がある。
最速イワークのすばやさは134。それに対して、すばやさが1段階上がった無振りイワークは135
スカーフイワークは、すばやさに努力値を割かなくてもスカーフでないイワークを抜けるのである。
これで火力・耐久・速度を兼ね備えることができるようにみえるが、スカーフイワーク同士の戦いはより早い方に軍配が上がる。
これらの要素が絡み合い、イワークの配分の選択肢は非常に広い。

ポイント4.挨拶

通常、対戦を行う際のあいさつは「対戦よろしくお願いします」「対戦ありがとうございました」などである。
一方、最強タケシ決定戦におけるポピュラーな挨拶は「ナイスタケシ」だ。

何がナイスかって? タケシに決まってるだろ。

「ナイスタケシ!」は
・「対戦よろしくお願いします」
・「対戦ありがとうございました」
・「交換ありがとうございます」
・「すごい!」
・「なんでタケシのフィギュア持ってるんですか?」

などに使える万能ワードだ。ぜひ皆さんも使ってみてほしい。

「ナイスタケシ!」

ポイント5.くだけるよろい

くだけるよろいは「物理攻撃を受けるたびにぼうぎょランクが1段階下がり、すばやさランクが2段階上がる」という効果を持つ、イワークの隠れ特性だ。
この2段階というのが曲者で、イワークに対してじならしorがんせきふうじを撃つと加速してしまう可能性がある。
そして、最も凶悪なのがイシツブテのふいうちで発動する点だ。
がんじょうを潰そうとする気持ちを逆用して加速すれば、イワーク対面で圧倒的優位に立てる。
この特性にはがんじょうを捨てるだけの価値があるのだ。

ポイント6.いわ・じめんタイプ

イシツブテとイワークはともにいわ・じめんタイプなのでタケシは実質サカキといえる、最大火力はじめん技となる。
しかし、じめんタイプはアイテムによって無効化できる唯一のタイプなのだ。
うっかりじめん技でこだわってしまったために、風船イワークで詰む……というのも現実的な話である。

「ナイスタケ死!」

だが、いわ・じめんというタイプは、みずとくさが4倍弱点。
これを利用し、めざめるパワーを採用することで、ほぼ同水準の火力を確保できる。
とはいえ火力は落ち、めざめるパワーはZワザにするとノーマルタイプになるため、超火力Zワザを放つこともできない。
この仕様はZワザ全体からすると不親切にも思えるが、ゲームフリークが最強タケシ決定戦を見据えていたのかもしれない。

 

いかがだっただろうか?
以上が最強タケシ決定戦の大まかな前提である。
イシツブテ・イワーク・タケシというシンプルな構成要素でありながら、それらが織り成すタケ深淵が伝わっただろうか。

では、これらを基にどのような環境が作られるのか。
次項では事前に予測された環境を見ていこう。

事前考察によるメタゲーム

ポケットモンスターシリーズでは、最初に博士からもらえるポケモンは3種類だ。
彼らは「御三家」と呼ばれるが、最強タケシ決定戦にも事前予測による御三家が存在した。
まずはタケシ御三家を見ていこう。

フェアタケシ

※画像はフェアそうなタケシのイメージです。

フェアタケシは正々堂々と殴り合いを制そうとするタケシである。
速度を求めるか、耐久調整を行うか……。
発想は千差万別であるが、積極的に相手を倒しに行くタケシは皆フェアタケシだ。
定義が広い分もっとも型が多様であり、さまざまなタケシが見られることだろう。

耐久タケシ

※画像はタケシの耐久力を表すものです。

フェアタケシが相手を倒しに行くタケシなら、こちらは相手に倒されないタケシだ。
このルールではまともに殴り合えば、2発攻撃を食らった時点で倒されることとなる。
しかし、無振りイワークととくぼう特化イワークでは特殊耐久に2倍以上の差がつく。
さらにアイテムの力を借り、イワークが相手の攻撃を2発以上耐えようとするのが耐久タケシの特徴だ。
急所やジメンZは厄介だが、単純な撃ち合いにおいての有利は間違いない。

カケシ

※画像はかける直前のタケシをイメージしたものです。

カケシという言葉に聞き覚えがない方も多いだろうが、これは「どろかけタケシ」の略だ。
ご存知の通り、イシツブテとイワークは共にHGSSの教え技でどろかけを習得する。
これを用いて相手の命中を下げ、イワークが身代わりを残して勝ちに行くのがカケシの基本戦術だ。
イシツブテがでんきだまを投げつけてマヒを狙うなどの戦術もあり、起点作成能力は侮れない。
頑丈潰しのステルスロックをたべのこしで復活させるなど、小技が光るのも特徴だ。
以上が考察段階で意識すべき、御三家タケシだ。
これらを踏まえて、どのような構築が組まれたのだろうか?
実際の使用率とタケシたちの意識を、次の項で見ていこう。

実際のメタゲーム

それぞれの戦略ごとに、実際に使用された数を示したものがこちらの表だ。

フェアタケシ 13
耐久タケシ 2
カケシ 1

結果としては、初回ということもあり、フェアタケシに大きく傾いた環境となった。
そのため、フェアタケシを強く意識したタケシが上位にランクイン。
フェアタケシを意識したメタゲームの勝利が、そのまま結果につながる形となった。

最強タケシを見る

では、最強のタケシはどのような形でこの最強タケシ決定戦のメタゲームに対する回答を出したのだろうか。

実際に使用された個体を見てみよう。


持ち物:レッドカード 特性:がんじょう 性格:れいせい
努力値:HP4 こうげき252 とくこう252
実数値:116-132-120-90-50-22 ※S個体値0
技:めざめるパワー水/だいちのちから/ふいうち/だいばくはつ


持ち物:こだわりスカーフ 特性:がんじょう   性格:おだやか
努力値:HP132 ぼうぎょ4 とくこう100 とくぼう244 すばやさ28
実数値:127-x-181-63-105-94
技だいちのちから/めざめるパワー水/しぜんのちから/ちょうはつ

まず注目すべきはイシツブテの構成だ。
この戦いはイワークを倒す戦いだというのはタケシたちの共通認識。
そこで、イシツブテの殴り合いを制さずともイワークにダメージを与えられるレッドカードは今大会採用率1位の持ち物となった。

しかし、その中で、このイシツブテには2つの特徴がある。
まずは、しっかりと最遅を取っている点。
レッドカードイシツブテは相手に先に行動してほしいため、イシツブテとの同速対決になるべく負け、イワークに攻撃することを狙っているのがわかるだろう。

もう一つが努力値をこうげきととくこうに振りきっている点。
この振り方のイシツブテはローテーションの印象が強いが、これはだいばくはつでイワークのみがわりを割るため。
前述のカケシにイシツブテが起点にされるのは最悪の事態であり、だいばくはつを仕込んだイシツブテは他にも見られる。
しかし、だいばくはつでみがわりを割るという発想はしっかりとメタを考えなければまず出てこない。
メタゲームの考察量がうかがえる構成である。
一方、イワークはおだやかスカーフ型。
スカーフ以外のイワークの上を取り、攻撃を耐えて確実な勝利を目指す型だ。
そのままではより速いスカーフイワークに負けてしまうが、それらはイシツブテのめざめるパワー+ふいうちを耐えない個体が多い
イワークが打ち負けてしまう型を、イシツブテがカバーすることで、隙のない構成を実現する。
非常によく練られた戦略であり、なんと全てのフェアタケシに勝利している。
一方で、耐久タケシ・カケシにはそれぞれ1敗を喫しており、この構築が結論タケシではないこともわかる。
最強タケシの最強たる要因の一つは、フェアタケシ偏重というメタゲームへの理解度であった、といえるだろう。

このタケシがすごい!

さて、最強タケシ決定戦には、その他にも個性豊かなタケシたちが集結した。
このコーナーでは、せっかくなのですごいタケシたちをご紹介しよう。

沖縄イシツブテ

読者諸氏は「沖縄振り」をご存じだろうか。
WCS2010において登場した、マックスアップなどの努力値を振ることができるアイテムを50個投与するという努力値配分である。
これらのアイテムでは100以上の努力値を振ることはできないため、5ヶ所に100ずつ振った後、残りを適当に割り振ることになる。
実物がこちらだ。


持ち物:ふうせん 特性:がんじょう 性格:しんちょう
努力値:HP108 こうげき100 ぼうぎょ100 とくぼう100 すばやさ100
実数値:129-113-133-×-69-53
技:じならし/がんせきふうじ/ふいうち/じしん

それだけでは「対戦に真摯に臨んでいるのか」と思われる方もいるかもしれない。
だが、「すべての努力値を平等に配分する」というのは、タケシにとっては重要な意味を持つ。

そう、ポケットモンスター赤・緑において、努力値はシステム上すべての能力値にマックスまで振ることができた。
「まったく同じ量だけ努力値を振る」という配分は、初代の環境を現代に再現しようという試みなのである。
沖縄振りは、初代において主人公の前に立ちふさがったときの初心を忘れていないことの証なのだ。

タケシは我々にがまんの価値を教えてくれた。

最強タケシである以前に、まずタケシであれ。

イシツブテは、そんなメッセージを我々に伝えてくれる。

オーパーツイワーク

最強タケシ決定戦では、対戦までに2週間の準備期間があった。
一部のタケシは事前に育成を済ませていたものの、それとてほんのわずかな差である。
筆者も、タケシたちに聞き取りを行うまではそう思っていた。
しかし、とあるタケシはこう述べた。

「イワークは5年前に育成した思い出の個体で原始の力を忘れさせるのに抵抗がありました」

筆者「このタケシ、タケシか?」

いやタケシなんだけども。
5年前といえば2012年、BW2が発売された年だ。
この時代にイワークを育てていることそのものはおかしくない。しかし、このイワークはどうか。


持ち物:たべのこし 特性:がんじょう   性格:せっかち
努力値:HP4 とくこう252 すばやさ252
実数値:111-x-162-82-65-134
技だいちのちから/めざめるパワー草/じならし/まもる

そう、最強タケシ決定戦ではポピュラーな両刀のめざめるパワー草個体なのだ。
5年前にこんな個体を育てる理由が、筆者には「最強タケシ決定戦を予見していた」以外に思い当たらない。
本人は「めざめるパワー電気ガマゲロゲを倒すため、特性がんじょうの草技持ちが欲しかった」と述べているが、果たしてそれだけなのだろうか。
何か不思議な力が、彼を最強タケシ決定戦に向かわせたのではないか。
そう考えずにはいられない。

自覚あるタケシ

タケシたちにも、様々な事情がある。
参加タケシ16名のうち2名は、「あだ名やハンドルネームがタケシだった」という理由で参戦を決意したタケシである。多くないか?
そのうちの1名は、対戦中にくだけるよろいを失念していたため敗北したときの心境を、こう語った。

「おねえさんにフラれた時より、つらかったです」

そして、徹夜で考察を進め、より環境に適応したイシツブテとイワークを育成しなおしたのだ。

最強タケシ決定戦では、個体の変更が認められている。
事実、複数の個体を用意したタケシも存在したが、対戦の中で考察を深め、適応したタケシは彼のみである。
夜を徹するタケシとしての自覚に、敬意を表したい。

タケシのガッツは公式も認めている。

終わりに

「最強タケシ決定戦」をめぐるメタゲームはいかがだっただろうか。
このルールは一見冗談のように見えて、しっかりと意識すべき戦略があり、その対策が存在し、絶対の正解がないルールだ。
ゆえに、環境をしっかりと想定し、対策を取ることが勝利へのカギになった。

そして、この技術はタケシだけでなく、カスミや、マチスや、名前も声も知らないアイツらにだって有効だ。
自分が戦う環境について知り、対策を立てることは、勝利への第一歩である。

最強タケシは「次回があるのならばまた最強タケシを目指したいし、数多くのタケシ達と腕を競い合いたい」と述べ、新たな最強イワークの考察を進めているという。
あなたの立つ舞台にも、考察の先に、何かが眠っているかもしれない。
よければ、今一度、メタゲームを見つめなおしてみてはどうだろうか。
我々タケシは、ジムリーダーとして、その姿を心から応援している。

参考タケシ

現在公開されている、タケシたちの構築記事である。
タケモンマスターをめざす諸君には、大いに参考になるだろう。

タケシさん
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