はじめに
こんにちは、シャングリラです。
今回は自分が横浜で開催されたWCS2023にて使用した生々流転ビートダウンについて紹介させていただきます。
オープンシートのBO3という今まで経験したことのないルールと向き合い自分なりに納得のいく形に仕上げ、Day1にて5-0を達成して世界大会のDay2に進出し、最終59位と言う結果を残すことが出来ましたので是非お読みいただければと思います。
パーティ作成経緯
ポケモンSVが発売して1年目の世界大会なのもあり、過去の例に則ればルールはパルデアのポケモン達で行ういわゆる地方ダブルかと思っていました。
しかし実際はヒスイのポケモンに加えて、いくつかの地方の準伝説ポケモンまで解禁され数値の高さで言えば全国ダブルにも見劣りしない環境となりました。
クレセドランにボルトランド、ゴリラウーラ等、過去世代で猛威を振るったポケモン達に加えてガチグマやイダイトウのような注目のヒスイポケモンまで参戦し混沌とした状況でした。
その為、取り敢えず自分が強いと思う要素を組み込んだ構築を幾つも作りランクマで回して使用感を確かめるところからレギュレーションDをスタートしました。
そうして色々なポケモンを試していく中で、連撃ウーラオス@スカーフの水テラス+すいりゅうれんだによる攻撃性能が頭一つ抜けて強力だと感じました。
並の耐久のポケモンであれば等倍であっても耐えることはできず、確定急所技の為威嚇や壁でも止まらないこの技を通していけば試合を有利に進められると考え、ウーラオスを軸に構築を組んでいくことにしました。
サブアタッカーとしてウーラオスの水流連打に耐性がある水タイプと草タイプに対しタイプ一致打点を以て迅速に処理することが可能なサンダー、受け先としてウーラオス5つある弱点のうち電気以外の4タイプ(草、フェアリー、エスパー、飛行)を半減できるヒードラン、日本晴れにより水流連打を弱体化してくるボルトロス及びトルネロスを迅速に処理できて草タイプにも強いパオジアンの3体はすぐに決まりました。
ここまでの4体だと相手のパオジアンカイリューの並びに上から殴り続けられるのが辛かった為、神速の一貫を切れるゴーストタイプが欲しいところ、そうなると圧倒的な汎用性を誇るハバタクカミ、モロバレル耐性を確保しながら悪だくみによる崩しも行えるサーフゴーが候補に挙がります。
しかしハバタクカミは素の物理耐久が低すぎてパオジアン前で2回攻撃することが困難な点、サーフゴーは元々悪タイプが抜群ということもあり同じくパオジアン前で動かしにくいと感じました。
そこで、特性により確実な行動保障があり対面性能に非常に秀でているのに加え、のろいにより要塞にも強い(後にちょうはつに変更)ミミッキュを採用しました。
最後の1枠ですが、当初は耐久が高すぎて処理が遅れるテツノカイナやモロバレルに対して強い駒としてガチグマを使っていました。
しかしながら、根性を発動させるため1ターンのラグがある点が全体的に守るが少ないこの構築において周りと攻めのテンポが合わずマッチしていないと感じていました。
そこで、ノーマルテラス拘り鉢巻ギガインパクトで上記の2体を吹っ飛ばせる為低速相手への崩しを行いながら、神速によりスイープする動きの両立が可能であるカイリューを採用して6体を決定しました。
気付けば構築内にパオカイの並びが出来ていたのもあり、ウーラオスを軸に構築を組み始めましたが最終的には物理4体で攻め立てるビートダウン構築となっていました。
- ウーラオスを受けてくるモロバレルにはパオジアンがつららおとしを打てる&ミミッキュがちょうはつで搦め手を封じられる
- パオジアンが苦手な水ウーラオスにはこちらのウーラオスとカイリューの後出しが効く&ミミッキュがウッドハンマーで抜群を突ける
- カイリューの神速を透かしてくるハバタクカミにはパオジアンとミミッキュの2体が行動保障と先制技を活かして勝てる
- ミミッキュを弱体化してくるランドロスにはウーラオスとカイリューが威嚇を無視してぶん殴れる
と言ったように1体が苦手なポケモンも他の3体が対策してくれているのもあり、パオカイミミウーラの4体の技範囲と災いの剣も乗せた高火力による”止まらなさ”は相当なものでした。
BO3にも関わらず構築内の守るの数は少なくなっていますが、基本的に倒される前に倒せの精神でガンガン相手を殴っていくので特に問題ありませんでした。
個別解説
パーティ画像
パオジアン
特性:わざわいのつるぎ
性格:いじっぱり
持ち物:きあいのタスキ
テラス:ゴースト
実数値:155-189(252+)-101(4)-99-85-187(252)
技:かみくだく / つららおとし / ふいうち / まもる
A:H186-B134ボルトロスをつらら落としで87.5%の乱数1発 (97.8%〜116.1%)
威嚇込みのつらら落としでH186-B91ボルトロスを81.2%の乱数1発(96.7%〜113.9%)
H161-B77ハバタクカミ(陽気スピナー耐え個体)をつらら落としで81.2%の乱数1発(96.8%〜114.2%)
H198-B127ヒードランをじごくづきで乱数2発(45.9%〜54.5%)
HD:C198ヒードランの等倍マグマストーム(85.1%〜100.6%)+スリップダメ(1/8)は多分耐えない
特性のわざわいのつるぎを活かし構築の物理アタッカー3体を率いて相手を攻め立てる古豹です。
クレセリアやイエッサン、リキキリン等のエスパータイプをちゃんと悪打点で殴りたかった為、かみくだくとふいうちの悪2ウェポンで採用しています。
それに伴いパオジアンミラーで勝てなくなり最速にする意味が薄れたのもあり性格はいじっぱりになっています。
同じ135族のハバタクカミも今は水流連打耐えが要求される都合、眼鏡or特攻を上げるブースト型は素早さを準速まで伸ばす余裕はない(Sブースト型は元々無理)との判断も最速にせずSを妥協する根拠の一つでした(まあ臆病眼鏡ハバタクカミはいっぱいいたんですけどね)。
陽気アイススピナーと比べると意地つらら落としはかなりリーチが伸びており、HB特化のボルトロスもかなりの高乱数でワンパンすることが可能になるので元の採用理由的にもいじっぱりで問題無いと思っています。
かみくだくは最初はじごくづきでしたが、知り合いに「明確な仮想敵がニンフしか居ないじごくづきより20%の発動率はガチで高い。噛み砕くの方が試合を左右しうる」と言われ変更した経緯があります。
実際、構築を物理で固めたこともありBダウンを引いた時の恩恵が大きく変更は正解でした。
持ち物及びテラスタイプは最初は悪技のリーチを伸ばす為のくろいメガネ且つ悪テラスであり実際ランクマッチでもそれで試運転していたのですが、オープンシートでは襷が無いと分かると相手のハバタクカミが大幅に動かしやすくなってしまったり、逆にゴーストテラスにすることでパオジアンへ猫騙しや神速を打つ選択にリスクを持たせられる等戦い方が大きく異なる為、安定を取ってきあいのタスキ持ちのゴーストテラスとなっています。
そのおかげでテツノカイナの前でも猫騙しを打ってこないだろうと強気につらら落としを押せるようになったプレイング上での恩恵もあり、ゴーストテラスで良かったと思います。
WCSではつららおとしの怯みやかみくだくのBダウン、急所の上振れにより何試合も勝利をもたらしてくれたMVPであり、最高の頼れる相棒でした。
ウーラオス(れんげき)
特性:ふかしのこぶし
性格:いじっぱり
持ち物:こだわりスカーフ
テラス:みず
実数値:181(44)-187(156+)-121(4)-74-92(92)-144(212)
技:すいりゅうれんだ / インファイト / アクアジェット / とんぼがえり
HD:C176テツノツツミのフリドラ耐え(83.9%〜99.4%)
C165トルネロスの木枯らし嵐耐え(83.9%〜99.4%)
C187ハバタクカミの10万ボルト耐え(76.2%〜90.6%)
C187ハバタクカミの等倍フェアリーテラスムンフォを耐え (80.6%〜95.0%)
C205ハバタクカミの等倍フェアリーテラス眼鏡マジシャ耐え(82.8%〜98.3%)←ここまで伸ばしてる個体そう居ないだろ C176テツノツツミのこごかぜが11.9%〜13.2%
HB:A204カイリューの災いの剣ノーマルテラス鉢巻神速耐え(84.5%〜99.4%)
A:11n H162-B76ハバタクカミを水流連打で確定1発(100.0%〜118.5%)
H162-B101ハバタクカミも水テラス水流連打で確定1発 (103.7%〜122.2%)
H175-B121ウーラオスを水テラス災いの剣水流連打で確定1発(102.2%〜122.7%)
S:準速ランドロス抜き
タイプ一致の水テラスによりカイリューの鉢巻ノーマルテラス神速以上の超火力を特性の不可視の拳により守るを許さずデバフも無視しながら叩き込む現環境のトップメタです。
水テラス+すいりゅうれんだにわざわいのつるぎを乗せた時の火力は凄まじく、相手の悪ウーラオスや飛行テラスしたランドロスも等倍の上から吹っ飛ばします。
水テラスタルは水流連打の火力強化に加えて元の格闘タイプによるフェアリー、エスパー、飛行弱点を無くせるのが非常に大きく、D降りで確保した特殊耐久によりハバタクカミ前で動けるようになったりと攻守に優れたテラスタイプでした。
元々HBの種族値は並み以上でカイリューの鉢巻ノマテラ災い神速も少しHPに努力値を回せば耐えられる程であり、特殊耐久も元の種族値は低いので逆に努力値を回したときの恩恵が大きく、テツノツツミのフリーズドライも耐えられるようになっており気合いの襷に頼らずとも行動保障を確保することが可能です。
以上の要素により守るがなくとも安定感は損なわれなず、逆に相手のパオジアンやハバタクカミを上から縛りうる為こだわりスカーフを持たせています。
ハバタクカミのうち拘り型or Cブースト個体は上から殴り飛ばせて、Sブースト型相手でも草テラスされたりイーユイを並べられない限りはエナボも耐えられる(オープンシートなので技の有無が分かってる)のもあり対面有利を主張できる非常に強力なウーラオスでした。
ミミッキュ
特性:ばけのかわ
性格:いじっぱり
持ち物:ゴツゴツメット
テラス:くさ
実数値:161(244)-154(236+)-103(20)-63-126(4)-117(4)
技:じゃれつく / ウッドハンマー / かげうち / 挑発
A:11n
H161-B93までのハバタクカミがじゃれかげで確定
HB:A182ウーラオスの水テラス神秘の雫流連打を化けの皮のダメ込みで87.11%で耐え(89.4%〜104.3%)
A200ウーラオスの雨水流連打を60.94%で耐え(91.9%〜106.8%)
皮無し時A200ウーラオスの暗黒強打を62.5%で耐え(90.6〜104.3%
皮無し時A200ウーラオスの水流連打を80.75%で耐え
A189パオジアンのつらら落とし耐え(85.7%〜98.7%)
HD:C174ハバタクカミのシャドボを67.8%で耐え(90.6%〜105.5%)
C187イーユイの眼鏡熱風を最高乱数以外耐え(85.7%〜100.0%)
C205ハバタクカミのテラ妖眼鏡マジシャ耐え(80.3〜97.1%)
特性のばけのかわとそれなりにある耐久値のおかげで強固な対面性能を誇る構築の便利枠です。
神速の効かないゴーストタイプでありながらパオジアンの悪技で抜群を突かれないタイプとばけのかわ込みでつらら落としも2回耐える物理耐久により、特にパオジアン+カイリュー相手に優秀なメタ枠として機能してくれました。
ゴツゴツメットはパオジアンが不意打ちで触ってくれば襷を割れる利点もあり、水ウーラオス以外の相手にも活躍の機会は豊富でした。
勿論パオカイ以外にもフェアりー/くさのメインウェポンによる攻撃範囲に影打ちによるフォロー性能を加えた攻撃性能及び化けの皮による対面性能は有用に働く場面が多く、特にトリル下のガチグレセや非トリル下のカイナバレルのようなS順的にアタッカーの攻撃でばけのかわを剥ぐことを強要される並びには相当刺さっていたと感じます。
拘っているウーラオスやカイリューと比べ相手によって柔軟に技を打ち変え、ばけのかわを盾に対面処理を行える強みを存分に活かしてくれました。
構築経緯でも述べた通り、当初は採用理由の1つに「のろい」の存在がありました。
のろいはこの構築内に積み技が存在していない都合鉄壁による要塞ポケモンやクレセリアのような高耐久ポケモンを崩す難易度が高かったのでそれらの処理手段として重宝していました。しかし、ガチクレセカイナのような高耐久ポケモンの並びにバレルまでいると胞子耐性が薄いのもあり好き勝手されてしまっていたのでちょうはつに変更しました。
この変更のおかげでWCS本番においては相手のバレルを度々黙らせて勝ちに繋げてくれたのもあり、ちょうはつでの採用は正解だったと思っています。
草テラスタルは水流連打を半減に抑えながらバレルの胞子や粉を無効化し、更にウドハンのリーチを伸ばせる等の強みを評価しての選択となっています。
本当は見た目的にHPは16n-1の159に設定したかったのですが、Sブーストするハバタクカミからのシャドボの乱数が変わるため161となっています(ばけのかわのダメージは増えてしまいますが…)。
カイリュー
特性:せいしんりょく
性格:いじっぱり
持ち物:こだわりハチマキ
テラス:ノーマル
実数値:191(196)-204(252+)-116(4)-108-121(4)-107(52)
A:特化 H244-B141までのテツノカイナをノーマルテラス災いの剣ギガインパクトで1発
H221-B134(特化)モロバレルを上のギガインパクトで確定1発
H145-B101ハバタクカミを災い燕返しで68.7%の乱数1発 (93.7%〜111.7%)
H175-B120ウーラオスを燕返しで最高乱数以外1発(99.4%〜117.7%
HB:A204カイリューのノマテラ災い鉢巻神速耐え(83.2%〜97.9%)
A211テツノカイナの抜群ドレパン耐え(81.6%〜97.3%)
A200ウーラオスの鉢巻暗黒強打を87.5%で耐え(86.3%〜102.0%)
HD:C205ハバタクカミの眼鏡マジシャを37.5%で耐え(89.0%〜106.8%)
S:4振りゴリランダー抜き
二つのノーマル技を使い分けて相手に圧力を掛けていく超火力枠です。
優先度+2でしんそくを振り回す動きの強さはいまさら言うまでもありませんが、本来等倍での攻撃であればワンパンするのが難しくスローテンポな対戦を強要してくるテツノカイナやモロバレル等の高耐久ポケモンをギガインパクトで無理やり処理する選択肢が取れるのは全体的に前のめりなこの構築において非常にありがたかったです。
本構築のカイリューには場もちの良さよりも突破力を求めていたので特性は猫や威嚇で止まらないせいしんりょくで採用しており、特に対スカーフランドロスにおいては威嚇を拒否しながらノマテラ鉢巻災い神速で吹っ飛ばせるのもあり無類の強さを誇りました。
サブウェポンのじだんだはヒードラン等の鋼タイプに圧力を掛ける為に必須でした。ラスト1ウェポンとして当初はギガインパクトと同じく低速を崩すため逆鱗が入っていましたが、後ろに大体控えているハバタクカミを考えると安易に選択できず打っても裏目に出ることが多かったので、打点としては物足りませんがテラスが無くともモロバレルに大打撃を与えられる点を評価してつばめがえしを採用しています。
WCS全体で見ると相当数が少なかったように思いますが、本構築においては100人抜きの二つ名に恥じない大活躍を見せてくれた最強のスイーパーでした。
ヒードラン
特性:もらいび
性格:ひかえめ
持ち物:たべのこし
テラス:くさ
実数値:193(212)-99-127(4)-187(156+)-127(4)-114(132)
技:ねっぷう / テラバースト / だいちのちから / まもる
H:16n+1
C:11n H207-D91チョッキゴリランダーをダブルダメ熱風でGF込み確定2発(53.1%〜63.7%)
S:余り
11ものタイプを半減以下に抑える優秀な耐性により受け出し先として重宝した誤魔化し役です。
ハバタクカミのフェアリー技やイーユイの炎技に対して後投げできる数少ないポケモンであり、イエアルマやドレコー等の面倒な並びもヒードラン単体で黙らせられうるため諸々の都合がよく、最初からずっと構築内に居ました。
技としては範囲打点でダメージ効率に優れるねっぷうに加え相手の炎タイプをちゃんと殴るためのだいちのちから、テラスタル後に迅速に水ウーラオスを処理するためにテラバーストを採用しています。
サンダー(通常)
特性:せいでんき
性格:ひかえめ
持ち物:オボンのみ
テラス:みず
実数値:197(252)-85-118(100)-179(140+)-112(12)-121(4)
技:ぼうふう / 10まんボルト / はねやすめ / おいかぜ
C:11n
H186-D101トルネロスを10万ボルトで87.5%の乱数1発 (97.8%〜116.1%)
H219-D105モロバレルを暴風で68.7%の乱数1発(95.8%〜113.2%)
S:端数
HB:A193までの水ウーラオスの雨下水テラス水流連打をオボン込み98.39%で耐え(85.3%〜102.4%)
HD:C167レジドラゴの龍の牙150ドラゴンエナジーを最高乱数以外耐え(85.7%〜101.1%)
ウーラオスの雨下水テラス水流連打も耐える耐久値や、電気技と飛行技の特殊打点をタイプ一致で打てる貴重な攻撃性能等の、他に代えが効かない絶妙に欲しい要素を持っているポケモンです。
トルネロスに代表される相手の追い風使いに対して一方的に電気技で弱点を突いてワンパンできる点が強力で、追い風を打ち合うのではなく残数有利を取ることで裏の高火力先制技軍団で押し切る展開を狙っていました。
本構築の面子的に素早さマウントを取る必要性はそこまで高くなく、逆に残数有利を取れれば相手に受けを許さずこちらの攻撃を通しやすくなることもあり、追い風役と言うよりは特殊電気アタッカーとしての面が大きかったと感じます。
水ウーラオスやヘイラッシャ、ゴリランダー、モロバレルは勿論、水テラスを切ったサーフゴーやランドロス、草テラスを切ったヒードラン等にも抜群を突けるの滅茶苦茶偉くないですか?
水テラスタルは雪パの吹雪や水技に耐性を持つためのものとなっています。
構築内において重要なのは後者の水耐性としての運用であり、水ウーラオス耐性を強固にできるほか、物理に偏重している都合重めなヘイラッシャのウェーブタックルを半減に抑えることで、貴重な特殊アタッカーとしての行動回数を稼ぐために使ったりします。
選出
決まった選出はありませんが、構築としての基本の動きはパオジアン、カイリュー、ウーラオス、ミミッキュの物理4体を選出するビートダウンとなっており、サンダーとヒードランは上記の4体の中で刺さっていないポケモンがいた際に代わりに選出するイメージです。
全員が物理型ですがカイリューは精神力、ウーラオスの水流連打は確定急所なので威嚇相手にも屈することなく殴り続けられるのも強みの一つとなっています。
攻撃性能に長けた物理アタッカー達で圧をかけていくことで相手のリソースを消耗させ、最後にウーラオスorカイリューで全抜きしやすくする動かし方をイメージをしてもらえれば分かりやすいかと思います。
そして、”攻撃性能に長けた”と言ってもパオジアンとミミッキュは対面性能、ウーラオスとカイリューは突破力という様にそれぞれのアタッカーとしての強みは微妙に異なります。
この物理4体を役割集中のように押し付けることで相手視点非常に”受けにくい”攻撃を絶え間なく繰り出せることが可能であり、それによる殴り合いの強さがこの構築の1番の特徴となっています。
火力的にはウーラオスの水テラス水流連打>カイリューのノーマルテラス鉢巻神速なので単純な突破力はウーラオスに分がありますが、特性により猫騙しで止まらず優先度+2で乱舞できるカイリューの方がスイープ性能は秀でています。
また、環境的に水or草テラスが多い事もあり相手にテラスを温存された状態だとウーラオスの水流連打詰めに不安が残りがちなので神速の方が信頼感がありました。
まぁ極端な例を言えば水ウーラオスを受ける為に相手のハバタクカミが水テラスを切ればカイリューの神速が一貫しますし、カイリューの神速を透かす為に相手のパオジアンがゴーストテラスを切ればスカーフテラス水流連打が止まらなくなります。展開によって最終的にやりたい事を見定めて試合を組み立ててください。
前述の通り決まった選出は無く、その場のノリでパオカイミミウーラを軸に出すポケモンを決めていきます。
強いて言えばBO3の初戦では相手の手方をうかがう意味で対応範囲の広いパオジアン+ミミッキュを先発、カイリューとウーラオスは後ろに置きがちと言ったくらいであり、相手の構築及びBO3の何戦目かによって積極的に選出を変えていました。
例えばこっちのカイリューへの警戒が薄いようなら初手から高圧的にパオジアン+カイリューの並びを作りますし、相手が水ウーラを通したがっているようであればサンダーを初手に合わせに行きます。
これはフレ戦して頂いた方に「同じ出し方ばっかりしてると舐められる(=他の出し方へのケアを甘くして強気に選出を合わせられうる)」というアドバイスを受けてのものです。
本構築は基本的にずっと物理で殴り続けるだけのPTなので言ってしまえば出し方を変えようがやる事は変わりません。ただし「ひたすら殴り続ける」というやる事は同じですが、それぞれアタッカーとして微妙に異なる強みを持っています。
オープンシートで得られた相手構築の情報や、前の試合展開も踏まえて、こちらの攻撃を最大限通せるような4体を選出してください。
相手のハバタクカミやパオジアンが水流連打に耐性を持つテラスタルしてくるのか、イーユイはゴーストテラスタルして神速を無効化してくるかorランドロスは守るを持っているか等が事前に判明しており、どのポケモンを通すかのプラン建てはランクマッチに比べ格段にしやすかったです。
総括
何となくで挑んだ昨年の反省を活かしWCS前の3週間はいろいろな方の力を借りながらがっつりBO3と向き合った事でしっかり世界で戦える構築を組み上げられて非常に満足しています。
個人的にオープンシートだと互いの持ち物と技が見えることで択整理が滅茶苦茶やりやすく、相手視点の最適解を読んでそれにカウンターを合わせるプレイングも普段より全然決まってように感じました。
変な技を仕込んでの初見殺しが決まりにくそうだと敬遠していましたが、こっちのルールも競技として全然楽しかったです。
本構築はパオジアンを軸として火力が高いポケモン達で常に殺意を持って相手を殴っている為、一手の上振れが勝ちに直結しやすくそもそも上から殴ってばっかなので上振れやすいPTとなっています。
そして残数有利を取るためガンガン2体で集中攻撃をするのもあり、守るの少なさ及び拘り持ちが2体居るのも併せて相当ピーキーな構築ですが、その分ハマった時の爆発力は凄まじくWCSという大舞台でDay2途中までBO3を8連勝した結果がそれを証明できているかと思います。
3-5でDay1で敗退した昨年の雪辱を果たし、最後力尽きてしまったとは言え決勝トナメ進出も見えたこの結果をとても嬉しく思っています。
が、来年のハワイでのWCSでは決勝トーナメントまで勝ち上がる事ができるように今後もポケモンに取り組んでいきたいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。何か質問等あればお気軽に自分までお問い合わせください。
謝辞
構築相談をさせて下さったユウキさん、ジョンさん、オープンシートのBO3のフレ戦及び感想戦を快諾して下さったルートさん、クロさん、がはくさん、ユーカリさん、grandさん、かぴばらさん、こげぱんさん、かおるさん、くろたまさん、スライムさん、とんとんさん、くうはくさん、うえすとさん、バルドルさん、
てるチャレやぼさんないとでの対戦後に応じて下さった渚沙さん、conaさま、アンセナさん、クロダさん、テルさん、
貴重な個体を交換してくださったいろはすさん、ジョンさん、ちかリオさん、FOOLMOONさんにはこの場を借りてお礼申し上げます、ありがとうございました。
付録
環境によく居て本番でもマッチングしそうなポケモンに対するダメ計一覧です。本番では対戦中のダメ計が不可能なこともあり、集中攻撃で相手を倒せるかの把握は非常に重要だったので事前にまとめておいてました。
H145-B101-C174-D156-S176ハバタクカミ
HB:A200ウーラオスの水流連打を91.66%で耐え(86.8%〜105.5%)
A189パオジアンのつらら落とし耐え(82.7%〜97.9%)
HD:C205ハバタクカミのシャドーボール耐え(82.7%〜99.3%)
・A204カイリューの災い燕返しで68.7%の乱数1発(93.7%〜111.7%
・A189パオジアンの等倍不意打ち(68.2%〜80.6%)+ A154ミミッキュの災いの剣等倍影打ち(31.7%〜37.9%)で落ちる
・A187ウーラオスの水流連打(86.8%〜101.3%)+ A154ミミッキュの等倍影打ち(23.4%〜28.9%)で落ちる
・A154ミミッキュのじゃれ(53.7%〜64.1%)+ 抜群影打ち(46.8%〜57.9%)で大体落ちる
・A154ミミッキュの草テラ災いウドハン(93.7%〜111.7%)で68.7%
H131-B100-C187-D140-S167イーユイ
・A154ミミッキュの災いじゃれつく(80.1%〜94.6%)+ A189パオジアンの半減不意打ち(38.1%〜45.0%)で落ちる
・A154ミミッキュの災いじゃれつく(80.1%〜94.6%)+ 災い影打ち(18.3〜21.3%)で多分落ちる
・A154ミミッキュの災い半減じゃれつく(39.6%〜47.3%) A189パオジアンの等倍不意打ち(76.3%〜90.0%)で落ちる
・A204カイリューのノマテラ神速で1発(105.3〜124.4%)
H139-B135-C176-D68-S189テツノツツミ
・A154ミミッキュのウドハン(74.8〜89.2%)+影打ち(19.4〜23.7%)で多分落ちる
・A189パオジアンのかみくだく(60.4%〜71.9%)+ A154ミミッキュの素じゃれつく(41.7%〜50.3%)で落ちる
・A204カイリューのノマテラ神速(73.3%〜87.0%)+ A154ミミッキュの影打ち(19.4%〜23.7%)で若干落ちそう
・A204カイリューの災いノマテラ神速で87.5%の乱数1発 (97.8%〜116.5%)
・A154ミミッキュの災いウドハンで最高乱数以外1発 (99.2〜117.9%)
・A204カイリューの災い神速(65.4%〜77.6%) +A189パオジアンの不意打ち(53.9%〜63.3%)で落ちる
H181-A200-B121-D81-S143連撃ウーラオス
HB:カイリューのノマテラ災い鉢巻神速耐え
・A154ミミッキュの草テラスウドハンが75%の乱数1発 (96.1%〜113.8%)
・A154ミミッキュの災い抜群じゃれつくで75%の乱数1発(同上)
・A189パオジアンの等倍不意打ち(45.3%〜53.5%)+ A154ミミッキュの素ウドハン(64.0%〜76.2%)で落ちる
・A189パオジアンの半減不意打ち(22.6%〜26.5%)+ A154ミミッキュの災いウドハン(85.0%〜100.5%)で落ちる
H243-A198-B130-D117-S71テツノカイナ
HB:A211ガチグマの根性地震耐え
・A154ミミッキュのじゃれつく(49.3%〜58.2%)+ A204カイリューの地団駄(55.1%〜65.0%)で落ちる
・A154ミミッキュのじゃれつく(49.3%〜58.2%)+ A204カイリューのノマテラ神速(43.6%〜51.8%)じゃ無理そう
・A204カイリューのノマテラ災い神速(59.2%〜69.5%)+ A189パオジアンのつらら落とし(38.2%〜45.6%)で多分落ちる
・A187ウーラオスの水テラ災い水流連打(69.1%〜83.9%)+ A189パオジアンのつらら落とし(38.2%〜45.6%)だと落ちそう
・A189パオジアンのつらら落とし(38.2%〜45.6%)+ A154ミミッキュの災いじゃれつく(66.0%〜79.0%)で落ちる
・A189パオジアンの半減つらら落とし(18.9%〜22.6%)+ A154ミミッキュの災い草テラウドハン(88.8%〜104.5%)で落ちる
・A204カイリューのノマテラ災いギガインパクトで落ちる(109,8%〜129.6%)
H227-B165-C95-D153-S105クレセリア
・A187ウーラオスの災い水流連打(43.6%〜52.8%)+ A189パオジアンのかみくだく(60.7%〜72.2%)で落ちる
・A187ウーラオスの災いとんぼ返り(35.2%〜42.2%)+ A189パオジアンのかみくだく(60.7%〜72.2%)だと怪しい
・A187ウーラオスの水テラス水流連打(58.1%〜71.3%)+ A189パオジアンのつらら落とし(33.0%〜38.7%)は無理かなぁ
・A204カイリューのノマテラ災い鉢巻ギガインパクトで50%の乱1 (91.6%〜108.3%)
H198-A204-B115-D121-S100カイリュー
※精神力
・A204カイリューの神速(40.4%〜47.9%)+ A154ミミッキュの抜群じゃれつく(69.6%〜82.8%)で落ちる
※マルチスケイル
・A204カイリューの災い神速(26.7%〜31.8%)+ A154ミミッキュの災い等倍じゃれつく(45.9%〜54.5%)×2で落ちる
H219-B132-C105-D105-S31モロバレル
HB:A189パオジアンの氷柱落とし耐え(84.9%〜99.5%)
・A189パオジアンの氷柱落とし(84.9%〜99.5%)+ +154ミミッキュの災いじゃれつく(17.8%〜21.4%)で落ちる(4半減のウドハンじゃ無理)
・A189パオジアンのかみくだく(39.7%〜47.0%)+ A154ミミッキュの災い抜群ウドハン(64.8%〜76.7%)で落ちる
・A204カイリューのノマテラ災い神速(63.4%〜75.3%)+ A189パオジアンのかみくだく(39.7%〜47.0%)で落ちる
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