はじめに
こんにちは、久しぶりの投稿となりますシャングリラです。
S8においてレート2002(最終41位)を達成しましたので、使用したエルテラの構築記事を寄稿させて頂きました。
パーティ作成経緯
6月17日、DLコンテンツの第1弾である鎧の孤島が発売され、100種近いポケモンが新しく捕獲できるようになりました。
その鎧の孤島で入手できるポケモンに交じって、何故かテラキオンを始めとする3闘もS8のランクバトルから使用できるようになり(本当に理由が分からない)、折角なのでアローラでもお世話になったエルテラをまた使おうということで考察を始めました。
まず、ガラルのエルテラとアローラのエルテラの大きな違いは当然のことながらダイマックスの有無です。
元々エルテラと言う構築は、エルフーン+テラキオンの並びによって叩き雪崩(ふくろだたき+いわなだれ)で場を荒したり、追い風を貼ることで後ろに控えるテラキオンに並ぶ2枚看板であるメガリザードンYを始めとする後発エースが暴れやすい場を整えて勝つのが基本の動きだと認識しています。
しかしダイマックスの導入により「テラキオンと同圧力のエースを立てる」のが難しくなったと感じました。
耐久値的にはそこまで余裕があるわけでもないので、叩きを起動できたとしてもダイマックスを切らなければどうしても殴り負けてしまいます。
なので、まずは「テラキオンをダイマックスエースに据えてテラキオンで4タテを狙う」をコンセプトに構築を組みました。
それが下の構築です。
本命の構築ではないので説明は簡単に済ませますが、採用経緯は構築テーマのエルフーン・テラキオン、猫騙しを透かせる叩き役としてドラパルト、テラキオンを立てられない場合(エースバーン+ゴリランダーや雨)に対するダイマックスエースとしてトゲキッス、エースバーン対策その2として威嚇のガオガエン、イエッサンブリムオンの並びを始めとするトリックルームメタとして最遅ゴリランダーといった形でした。
この時のテラキオンは実数値にして[197-152-112-×-117-166@かたいいし]と、かなり耐久に振ったテラキオンとなっており、“ワンパンされることを減らし、叩きを起動できる回数を増やす”ことを意識していました。
脱出パックドラパルトに代表されるように、エルテラは序盤起動に限らずサイクルを回して終盤でも叩けるようになっています。
S8の序盤は世界がエルテラに慣れていないせいかこの構築でもかなり勝てて7月14日時点で34-6(勝率85%)で瞬間16位という成績を残すことができました。
しかしシーズン中盤から以前までのようには勝てなくなりました。
原因としては大きく二つ
- エルテラ選出をしない時のPTパワーが足りない
- 相手の攻撃を耐える→返しの叩きダイロックで倒す→裏のゴリランダーのグラススライダーで倒される の頻発
です。
まず①エルテラで出さない=トゲキッスがダイマックスするパターンとなりますが、火力アップアイテムではない特殊ドラパルト、HSエルフーン、Aをあまり延ばしていないテラキオンではそれぞれ単体性能が低いと言わざるをえません。
特にこちらのトゲキッスとダイマックスのターンをずらして後発ダイマックスしてくる相手には、どうしようもなく負ける試合がいくつかありました(こちらのキッスの弱点保険を能動的に発動させる手段が無いのも一因)。
②は書いたままですが、ゴリランダーの他にも連撃ウーラオスがアクアジェットを飛ばしてくることもあるので折角テラキオンがダイマックスしても暴れきれないことが多かったです。
そこで上の反省を踏まえて組みなおしたエルテラがこちらです。
詳しい調整は後述しますが、テラキオンをASベースに変更かつしろいハーブを持たせることにより初手に出されるガオガエンにも強くして単体性能を高め、テラキオンの裏のダイジェットエースとしてエルテラのお供として古来より伝わるリザードンを採用。
エースバーンを焼き払うためには晴れ+サンパワーの火力が必要なのでコータスを採用。
リザードンの加入に伴ってトゲキッスの耐久面を厚くしてねっぷうを抜く形で6体を決定。
その後細かい調整を施して最終的な形となりました。
上で挙げた問題点の①は晴れリザードンの加入により解決、②はそもそもテラキオンをダイマックスさせない事で考慮する必要をなくしました。
裏にリザードンが控えていることで無理にテラキオンをダイマックスする必要が無くなり、立ち回りの幅が広がって自由に回しやすくなったように感じました。
詳しい動きについては個別解説のあとにまた解説します。
個別解説
エルフーン
持ち物:きあいのタスキ
特性:いたずらごころ
性格:おくびょう
努力値:252-0-0-4-0-252
実数値:167-64-105-98-95-184
技:てだすけ/おいかぜ/ふくろだたき/ムーンフォース
試合の始点となるヒツジポケモン。襷持ちにも関わらずHに振っているのは、火力よりもサイクルの回しやすさを重視したためです。
初手にエルフーンがガオガエンなどのねこだまし持ちと対面してしまった場合、裏のコータスに引いて凌ぐことが多いです。
ある程度耐久を伸ばしておいた方が、その後再降臨する際に相手の攻撃で襷圏内まで削られにくく、天候ダメージ込みで耐えやすくなります。
後発叩きの為には残数を削られないことが重要なので、耐久に振り頭数を減らさないようにしました。
ちなみに陽気ファイアローのするどいくちばしダブルウイングは、最高乱数を2回引かない限り耐えます。
技構成ですがC無振りとはいえ軽く削りたい場面も多々あるので、ムーンフォースを入れています。
ただ選出次第では相手のねこだまし+ダイジェットが受からないこともあるので、てだすけの代わりにまもるの採用も視野に入るかと思われます。
テラキオン
持ち物:しろいハーブ
特性:せいぎのこころ
性格:ようき
努力値:54-252-4-0-4-196
実数値:173-181-111-x-111-168
技:いわなだれ/インファイト/ちょうはつ/まもる
A:インファイトでガオガエンを倒しきるためにぶっぱ
(威嚇込みでいじっぱりバンギラスのダイロック耐え調整のH202-B119ガオガエンには101.9%~121.7%、
威嚇込みでようきエースバーンの珠とびひざげり耐え調整のH202-B129ガオガエンには95.0%~112.8%の68.7%の乱数1発)
HB:ようきドラパルトの珠ダイホロウが18.7%の乱数1発(86.7%~102.3%)
S:最速リザードン抜き
PTの作成経緯でも書いたように単体性能を重視したASベースです。本当はようきドラパルトのいのちのたま+ダイホロウ確定耐えまで降りたかったですが、上のダメ計の通りガオガエンへのインファイトの乱数がきわどいのでAは削らずに振り切りました。初手の威嚇で即機能停止になるのを嫌って白いハーブを持たせています。(インファの耐久ダウンを無効にする使い方もあります)
テラキオンをダイマックスさせなくても戦える型にした理由としては、上に書いたような単体性能ともう一つ、S操作の即時反映により以前と比較してエルテラが動かしにくくなった点があります。
相手にエルフーンがいる場合、テラキオンにダイマックスを切る立ち回りとして
- 追い風を打ち合いながら素のテラキオンで殴る
- 追い風は打ち合わず叩き起動して相手を倒す
の2択となります。
①の問題点として素の状態では微妙な火力である点 ②の問題点としては相手に挑発されると追い風の後手打ちができずテラキオンがそのまま縛られてしまう点と、体力がかなり削られているため相手の後続の先制技の圏内に入りやすくなる点があります。
ここからは個人的な意識の話になりますが、叩きパに限らず試合の中でわざわざ相手のペースで戦うのはこちら側としては不利な状況となりやすいので出来るだけ避けたいと考えています。
個人的には叩きパの本来の強みとは「袋叩きというお手頃かつ強力な手札をチラつかせながら試合を有利に進める点」であり、袋叩きはあくまで選択肢のうちの1つでありそれを絶対視するべきではないということです。
上に挙げた①と②では両方「追い風を打ち合い、ダイマックス同士で打ち合う」という相手側のプランに乗ってしまっています。
これを嫌ったので、わざわざエルテラを警戒した初手の相手に叩きは起動せずに③追い風+守るで相手のダイマターンを稼ぎ次のターンに岩雪崩orインファイトで雑に削る(隙があるならここで叩き起動)立ち回りも取れる方が強いと考え、テラキオンを叩きに寄せすぎない形としました。
因みに寄せてないだけなので普通に叩き起動も可能です。叩きに固執して動くのでもなく、叩き起動をはじめから切って動くのでもなく、その状況に従って柔軟に最善の選択をできるようになりたいです(願望)(隙があれば叩かれるテラキオン)。
(そもそもテラキオンが他の叩きエースと比較してみても、ダイバーンにより高火力で殴りながら次ターン以降の火力強化ができるウインディ、ダイスチルにより自分と味方の耐久上昇ができるコバルオンやルカリオと違い、ダイロックの砂によるD上昇の恩恵をテラキオンしか受けられない点、ダイナックルは威力が低く隣のエルフ―ンには恩恵がないという点よりダイマックス技で見た場合ダイマックス適正が薄い説があります)
まぁ相手の土俵に乗ろうがダイマックス適正が薄かろうが、それを全て踏みにじって勝つ爆発力をエルテラは持っていると思います。
自分はその水準でエルテラを振り回すことはできませんが。
リザードン(キョダイマックス個体)
持ち物:いのちのたま
特性:サンパワー
性格:おくびょう
努力値:108-0-12-140-4-244
実数値:167-×-100-147-106-166
技:オーバーヒート/ねっぷう/ぼうふう/まもる
H:8n-1
HB:気持ち厚めに余りを
ようきエースバーンの珠+てだすけダイアタック(威力150)を確定耐え(82.9%~98.2%)
C0ドラパルトのなみのり+じゃくてんほけんが発動したようきエースバーンのダイジェット耐え(80.7%~96.0%)
C:H振りとつげきチョッキゴリランダーをオーバーヒートで確定1発
S:最速ウーラオス抜き
テラキオンの裏エースとして採用されたリザードンです。
古のエルテラの構築記事にもエルテラの裏エースはメガリザードンと書いてあるので間違いないのでしょう。このリザードンは自分で晴らせませんが。
対エースバーンには初手から、それ以外には後発から出て来てダイマックスさせます。
エースバーンとはダイマックス同士打ち合う為サンパワーが必要ですが、ダイマックスを切り終えた相手には通常天候のキョダイゴクエンとダイジェットも充分な打点となります。
スリップダメージが強すぎる。
具体的な調整意図があったわけではないのですが、CSリザードンがあまりにも脆かったのでどうせ誤差だろうと火力を削り耐久に回しました。
何試合かリザードンがミリ耐えして勝ったので正解だったかと思います。
ダメージ計算を見ていただければ分かると思いますが、普通のエースバーン相手の打ち合いには基本勝てるようになっています。
トゲキッス
持ち物:するどいツメ
特性:きょううん
性格:ひかえめ
努力値:244-0-148-20-20-76
実数値:191-x-134-157-138-110
技:エアスラッシュ/マジカルシャイン/まもる/このゆびとまれ
H:16n-1
B:あまり
C:ダイフェアリー急所で無振りダイマックスキングドラを確定1発
D:ひかえめフシギバナの珠ダイアシッド確定耐え
S:S+1で最速ウーラオス抜き
対雨を担う為の数値の塊です。
インテレオン、キングドラ等の雨エースと打ち合ってもらいます。
逆に言えば対雨以外ではサポート寄りの動きをすることが多いので耐久を厚めにしながら守るも採用しています。
ゴリランダー
持ち物:きせきのタネ
特性:グラスメイカー
性格:ゆうかん
努力値:140-140-0-0-228-0
実数値:193-179-110-x-119-81(S個体値0)
技:ウッドハンマー/ねこだまし/グラススライダー/まもる
H:16n+1
A:グラスフィールド込みのウッドハンマーでH振りブリムオンを確定1発
D:余り
ゴリラ。
叩き構築の基本(?)としてこの指とまれ+トリックルームが重いので、フィールドの取り合いにおいて相手のイエッサンに確実に勝つために最遅としました。
これによりイエッサンポリゴン2ならゴリランダーのねこだましとテラキオンのちょうはつを合わせてトリックルーム展開を阻止できます。
ただしブリムオンの場合ダイマックス択が絡んでくるので完璧な回答とは言い難くなっています。
ここまで書いたように基本的に役割対象は特殊アタッカーなのでDを重視した調整となっています。
コータス
持ち物:オボンのみ
特性:ひでり
性格:のんき
努力値:252-0-154-4-98-0
実数値:177-x-196-106-102-22(S個体値0)
技:しっとのほのお/ボディプレス/あくび/まもる
H:ぶっぱ
HB:余り(ようきドリュウズのダイアースは耐えられる(79.0%~94.9%))
C:端数
HD:ひかえめ♂イエッサンのワイドフォース確定耐え(※)
※努力値の計算間違いが発覚しました。
上記のHDを満たせる配分は、
性格:のんき
努力値:252-0-164-0-92-0
実数値:177-×-199-105-102-22
となります。
天候を晴れにしてもらうための採用です。
自分の選出として初手エルフーンリザードンから入り、そこから晴らすかおいかぜするか決めることが多いので、後発から投げる機会が多くなり耐久のあるコータスにしました。
技に関してはクッションとして運用する以上、火力を求めてもしょうがないということでしっとのほのおを採用しました。
選出
対エースバーン、ポリゴンZ
初手:エルフーン、リザードン 後発:コータス、相手のPTに合わせて選択
リザードンでエースバーンを焼却することを狙います。
相手のPTにウオノラゴンがいるならそれ受けのゴリランダーの様に残りの1枠は自由に考えます。
ポリゴンZは隣にこのゆびとまれ持ちが並んでいることがほとんどなので素の晴れ熱風を叩き込んでください。6割近く削れます。
対雨
初手:トゲキッス、エルフーンorテラキオン 後発:自由
トゲキッスダイマックスルートです。
テラキオンを初手に出すのはテラキオンを狙ったダイマックス技を守ることが目的です。
対トリパ
初手:テラキオン、ゴリランダー 裏:選択
初手ねこだまし+ちょうはつでトリックルームを阻止します。
対イエッサンでは最遅同士のフィールド合戦に負けない限り有利に立ち回ることができます。
ただ、この指役としてトゲキッスがきた場合はダイマックスのルートもあるので諸説です。
上記以外の全てのPT
初手:エルテラ 後発リザードン 自由
取り敢えずエルテラから入ります。
相手のPT及び初手によっておいかぜ+まもるorおいかぜ+いわなだれorエルフーン下げ+まもるから選んで下さい。
もちろん叩けるなら叩いてかまいません。
立ち回りの注意
対この指
エルテラを動かす中でまず直面するのが環境にいるこの指とまれの多さです。
トゲキッス、イエッサン、ピッピ等……。
言うまでもなく相手のこの指とまれに袋叩きを吸われればテラキオンのAを上げることはできませんので“エルテラ”を通すうえで重大な障害となっています。
ただしそれはあくまで“エルテラ”を起動できないだけでありテラキオン自体は何の問題も無く動けます。
例えば上の盤面なら分かりやすいですが、相手の場にはトゲキッス+モロバレルが並び、トゲキッスがこのゆびとまれをした場合エルフーンの袋叩きは吸われてしまいます。
仮にテラキオンをダイマックスさせてダイロックでキッスを倒してもキノコのほうしで眠らされる可能性もあり迂闊に動けません。
ならばどうすればいいのか。
ダイマックスしないで袋叩き+岩雪崩を選択すれば良いのです。
仮にトゲキッスに袋叩きを吸われたとしても岩雪崩は通るので打点にはなりますし、モロバレル単体ではエルフーンもテラキオンもワンパンすることはできません。
仮にテラキオンが眠らされても次のターンに追い風を選択すればモロバレルとトゲキッスの両方が処理されることはない(マジカルシャイン急所は除く)ので倒れた方の裏からリザードンを出し、手助け熱風なり晴れ熱風なり選択すれば相手の2体は処理することができます。
因みに叩き雪崩なら通された場合に最も被害が大きいトゲキッスダイマックスにもある程度ケアができる点を考慮しても叩き雪崩安定かと思います(この択整理で抜け落ちている択があり別の安定択があったなら教えてください)。
自分もまだ完璧に判断できているとはいえませんが、相手がこのゆびとまれをする=攻撃できる相手のポケモンは最大1匹であることを意識し、上のように叩いた場合のリスクとリターンを考慮したうえでこの指とまれの前で叩くかどうかは決めます(結構叩き決まります(小声))。
対ゴリランダー
S8のダブルバトルにおける使用率トップに君臨するのはゴリランダーです。
このポケモンは
- 猫騙しでエルフーンを止められる
- グラススライダーで通常テラキオンをワンパンできる
- 鉢巻ウッドハンマーでダイマックスした耐久振りテラキオンをワンパンしてくる
というように対エルテラにおいて完璧と言ってもいいほどのスペックを誇ります(夢ゴリランダーがいるからテラキオンも解禁許されたんじゃ…)。
当然こんなゴリラが蔓延っていたらエルテラも動きづらい……
というほど動きづらいわけではありません。
理由としては簡単で、ゴリランダーはほとんど後発から出てくるからです。
個人的に記録していた対戦記録によるとゴリランダー自体の使用率は1位ですが、先発率は18.5%に留まっています。(逆にガエンとキッスの先発率は5割を超えますし、イエッサン♀は6割を超えています)
これはこちらがリザードンコータスを採用していることもあり、ゴリランダーを初手には出さずに終盤のスイーパーとして運用している人がほとんどだからだと考えられます。
後発から出てくるとはどういうことか。
こちらの先発率が高いエルテラとかち合わないのです。
自分としては、テラキオンはダイマックスさせない分早めに消耗するため、ゴリランダーが出てくるときには既に退場している場合も多くあります。
このように選出のタイミングが違う為エルテラ側はそこまでゴリランダーが邪魔ではありません。
因みに初手からノコノコ出てくるようならリザードンかトゲキッスのダイジェットのおやつにします。
総括
自分はS8でPTの調整が今の形になった7月20日以降、88.8%という高い勝率で2桁順位をキープし最終レート2002を達成することができました。
レートが見えるようになってからレート2000は一つの目標だったのでそれをエルテラで達成することができて非常に満足しています。
皆様もこのゆびとまれ前でのふくろだたきは用法、用量を守って是非エルテラを使ってみてください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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寄稿におけるアレコレなどをご説明しておりますのでご覧ください。
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