はじめに
先日、『ポケットモンスター金・銀』のバーチャルコンソール(以下金銀・VC)が配信された。
さらに2017年冬にはポケモンバンクに対応予定であることも発表。
これにより「全ソフトのポケモンが第7世代で使用できる」という状況が完成する。
さて、『赤・緑』は『ファイアレッド・リーフグリーン』、『金・銀』は『ハートゴールド・ソウルシルバー』としてリメイクされているが、リメイク版のわざマシンはオリジナルとは異なる。
そして、オリジナルのわざマシンには非常に貴重な技や、なぜか同じポケモンでも特定の世代でしか使えないわざマシンも存在する。
そう。
それらをうまく組み合わせれば、今までにない型のポケモンが手に入るのだ。
現状、レーティングバトルに参加するのは難しそうだが、インターネット大会や対戦会など、使用できる機会はあるだろう。
そこで、今回は、金銀VCでしか入手しえないポケモンから、シングルバトルで気になるものを何匹かご紹介したい。
考察の前提
とはいえ、現状では連れてきたポケモンがどうなるのかはよく分かっていない。
今回の考察では、金銀VCから連れてくるポケモンは『ポケットモンスター赤・緑・青・ピカチュウ』のバーチャルコンソール版(以下初代VC)の仕様と同じものとして考える。
具体的には、
- 性格は任意に調整可能である。
- 連れてきたポケモンはかくれとくせいになる。
とする。
また、ウルトラサン・ウルトラムーンの情報が出ていない段階のため、教え技は考慮しない。
この型が気になる! 金銀VC産ポケモン
のろいポリゴン2
ゾンビポリゴン2。
第2世代の対戦環境を語るなら、必ず挙がるワードだろう。
当時のもっとも有名な型がこちらだ。
ポリゴン2
レベル:53
持ち物:たべのこし
技:おんがえし/のろい/じこさいせい/ねむる
参考: Cafe du Porygon2
当時のシステムを知らない方には多くの疑問があると思うので、最初にいくつか補足を。
- Q.レベル53って何?
A.金銀時代の対戦は「パーティにはレベル50~55までのポケモンを入れ、選出時のレベル合計が155以下になるように3体選出」というのがルールだった。
そのため、同じポケモンでもレベルの違いによって使い勝手が異なる。 - Q.努力値と実数値は?
A.金銀時代はすべての能力値に努力値を最大まで振ることができた。
そのため、ポケモン名とレベルがあれば実数値は自動的にわかるので省略されている。
さて、この型で何よりも目を引くのは、「ねむる」と「じこさいせい」の両立だろう。
金銀では、
- 技威力が低い
- 耐久に努力値がフルで振られる
- 強力な火力強化アイテムがふといホネとでんきだま程度
という理由で、受けが強かった。
そこで、どくどくを無効化し、高速で回復するためにふたつの回復技を両立したポリゴン2が誕生することとなる。
その圧倒的回復力ゆえに、このポリゴン2は「ゾンビ」と称されることとなった。
それから15年の時が流れ、ポリゴン2はまた別の形で圧倒的な耐久を誇り、活躍している。
では、かつてと同じように、のろいを積んだらどうだろうか。
ポリゴン2
持ち物:しんかのきせき
特性:アナライズ
性格:のんき
努力値:HP244 ぼうぎょ180 とくぼう84
実数値:191-100-146-125-126-72
技:おんがえし/のろい/じこさいせい/選択枠(シャドーボールorれいとうビーム)
調整:200メガリザードンXのフレアドライブ超低乱数2発(0.39%)
216メガボーマンダのすてみタックル超低乱数2発(0.39%)
200カプ・テテフのサイコフィールドサイコキネシス超低乱数2発(0.39%)
受けを基調に、りゅうのまいを積むアタッカーを起点にする型。
+2おんがえしは耐久無振りのアタッカーならほとんど倒せるので、負担をかけていこう。
参考:+2おんがえしの火力
- 155-100霊獣ボルトロス ダメージ: 168〜198
割合: 108.3%〜127.7% 確定1発 - 145-96カプ・テテフ ダメージ: 156〜184
割合: 107.5%〜126.8% 確定1発 - 154-98メガリザードンY ダメージ: 153〜181
割合: 99.3%〜117.5% 乱数1発(93.8%)
最後の技は、物理技がまともにないので、ゴーストに対するシャドーボールかボーマンダに対する遂行技のれいとうビームを選択。
アナライズがのろいの「すばやさを下げる」というデメリットを緩和し、特殊技でも十分な火力を出せるのがポイントだ。
でんじほうフーディン
遺伝技にはポケモンの歴史が詰まっている。
ゴースやケーシィの遺伝技に「ほのおのパンチ」・「かみなりパンチ」・「れいとうパンチ」があることをご存知の方は多いだろう。
いわゆる「三色パンチ」をこの2匹が覚えるのは現代からすると少々奇異に映るかもしれない。
しかしその昔、技がタイプごとにぶつり・とくしゅの決まっていた時代。これらの技はとくしゅ扱いだった。
かつてのフーディンといえば三色パンチ。現代とは全く異なる技範囲をしていたのだ。
しかし、仕様の変更によりフーディンが強力な電気技を失って久しい。
ならばデンキZなどまず間違いなく警戒されないだろう。
フーディン
持ち物:デンキZ
特性:マジックガード
性格:おくびょう
努力値:HP4 とくこう252 すばやさ252
実数値:131-×-65-187-115-189
技:サイコキネシス/でんじほう/自由枠2つ(シャドーボール/きあいだま/ちょうはつなど)
フーディンは基本的に技がテッカグヤに通らないが、でんじほうZがあれば話は別だ。
威力190のデンキZというのは非常に強力で、
- 204-122テッカグヤ
ダメージ: 220〜260 割合: 107.8%〜127.4% 確定1発 - 185-136メガリザードンY
ダメージ: 198〜234 割合: 107%〜126.4% 確定1発 - 171-150メガギャラドス
ダメージ: 180〜212 割合: 105.2%〜123.9% 確定1発 - 177-150カプ・レヒレ
ダメージ: 180〜212 割合: 101.6%〜119.7% 確定1発
と、フーディンの前で動きそうな電気弱点はほとんど倒すことができる。
そして、でんじほうは単体でもそれなりに優秀な技なことを忘れてはいけない。
一定数存在するクサZヒードランのソーラービームは完全に腐ってしまうのに対し、でんじほうは素で撃つことが可能。
威力120で命中50、当たればマヒという性能は、ほっぺすりすりの命中を半分にしたら威力が6倍になったもの。もはやほっぺごりごりだ。
この技の恐ろしさをより具体的なイメージで示せば、こうなる。
なんという威圧感……。
使うしかないことがお分かりいただけただろう。
どろかけオクタン
過去の世代にしかないわざマシンというのは数多く存在する。
しかし、これまで習得が不可能だった技というのは、実はそれほどない。
なぜなら、そのほとんどはGBA以降で教え技として登場しているからだ。
古くは『クリスタル』から、リメイクバージョンで過去作のわざマシンの技が教え技になるというのは伝統になっている。
しかし、このシステムにも落とし穴はある。
これまで、第4世代までにしかない教え技とかくれとくせいの両立は不可能だったのだ。
では、金銀VCによって可能になった組み合わせに、何か危険なものはあるのだろうか。
そう思い探してみたところ、あった。
オクタン
持ち物:たべのこし
特性:ムラっけ
性格:おだやか
努力値:HP212 ぼうぎょ156 とくこう4 とくぼう116 すばやさ20
実数値:177-×-115-126-121-68
技:ねっとう/どろかけ/みがわり/まもる
調整:+2で最速70族抜き抜き
232メガバシャーモのとびひざげり耐え
参考:ダストを相手のニンフにシュゥゥゥーッ!!
正気か?
どろかけオクタンはこれまでも存在したが、かくれとくせいを利用できるのはVC産個体のみ。
そう、ついにムラっけ+どろかけという組み合わせが誕生したのである。
ムラっけは能力値を上げてみがわりを残すのが基本の動き。
しかし、オクタンはその性質上、
- 後攻みがわり
- ムラっけですばやさが2段階上昇
- 行動順が逆転
という事態が起こりやすい。
すると自由な1ターンが生じるわけだが、そこでさらにみがわりを残しやすくできればどうか?
相手のめいちゅうを下げるなら、オクタンにはオクタンほうという手段もある(あるのか?)。
しかし、オクタンほうは威力こそ5倍近くある(あるのか……)が、めいちゅうダウンは42.5%。
対してどろかけは100%で、ムラっけの発動回数を稼げればいつか勝つ。
どちらを取る方がいいかは明白だろう。
どろかけの火力面の検証は既に行われている。
だが、最強のどろかけ使いは、火力を求めないのかもしれない。
おわりに
3匹ほど気になるポケモンを紹介してみたが、いかがだったろうか。
今回紹介した個体は、金銀VCのみで揃えられる型をセレクトしてみた。
しかし、初代VCにはまだまだ珍しい技があり、タイムカプセルで金銀VCへと送ることで、さらなる組み合わせが可能になる。
その組み合わせには、あるいは別のルールには、可能性がまだまだ秘められているだろう。
あの頃ぼくらが夢中になったソフトは、まだまだ知らないことの宝箱でいっぱいだ。
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