はじめに
はじめまして。2017年JCSジュニア準優勝選手の親です。
準優勝した娘は小学校2年生。ポケモンのゲームはサン・ムーンが初めてで、ストーリーをクリアした程度。ポケモンバトルよりもポケモンごっこをする方が好きでした。
決勝まで行ってしまったのはまったくの想定外。
今年はとりあえずやらせてみよう、ということで、思考停止でそこそこ勝てるパーティーをわたして、教えたとおりに押してもらっていただけです。1勝できれば万々歳と本気で思っていました。
もちろん、運がよかったのですが、あとから見ると、勝つべくして勝ったといえる部分もあるように思います。
そこで、パーティーの意図、構築経緯と当日の展開をご紹介します。特に、これから親子でポケモンバトルに挑戦してみようという方々へのヒントと刺激になればうれしいです。
パーティー
見てのとおりのガチトリパです。
世界大会でも使うかもしれないので、努力値は省略させて頂きます。
Z技無し、カプ無し、UB無し、アローラ縛りという、勝つ気のあまり感じられない趣味パにみえますが、これは狙ったわけではなく、結果的にそうなりました。
このパーティはジュニア選手でも簡単に使えるというコンセプトで作りました。
昔から、ダブルの思考停止といえば地震放電、といわれていますので、こちらの記事を参考に、バンバドロとクワガノンによる地震放電と、ヤレユータンによるトリル展開を採用。ヤレユータンのテレパシーにより地震+采配、放電+采配もできるので、とても簡単そう。
トリル起動のサポートは、こちらの記事を参考に、シルヴァディの鉢巻大爆発を採用。2体吹っ飛ばせればとても簡単そう。ダブルのミミッキュとシルヴァディの組み合わせは有名ですが、テレパシーによりヤレユータンとシルヴァディも可能です。
構築経緯
JCSネット大会まで
この段階でJCSのネット大会に出ました。
持ち物は、シルヴァディが鉢巻、ヤレユータンがメンハ、クワガノンが拘り眼鏡でした。
残りの2枠には、トリルサポートの別手段である「この指」リオルと、選出段階でカビゴンを牽制するかもと思ってハリテヤマを入れていましたが、どちらも使っていません。
大爆発+トリル→地震+采配(→地震+放電または放電+采配)という動きだけ教えて、何度か練習して、参加してもらいました(その週末、僕は出張で家にいませんでした)。
結果は、27勝13敗。レート1650前後。45戦消化していないのは、日曜日の夕方になるとマッチングしにくくなったのでやめたとのこと。
ボーダーはレート1700近くだろうと思っていたので、この時点でライブ大会出場はあきらめていました。
ライブ大会までの改良
しかし、ふたを開けてみると、ぴったり50位で通過。せっかく出られるなら、ということで、娘のやる気が出るようそそのかしつつ、パーティーの改良に取り組み始めました。
ネット大会のバトルビデオを見ると、負けパターンは、
- 集中攻撃(多くはZ技を含む)でヤレユータンがトリルをはれずに落とされる
- カビゴンに暴れられる
- ドレディアコータス
が主なものでした。
まず、①のトリルを安定させるためにリオルのこの指を試してみました。
娘にレートで何戦か練習してもらったところ、「やっぱりシルヴァディの大爆発がいい」とおっしゃるので、戻すことに。
その代わり、シルヴァディの持ち物を鉢巻からジュエルに変更し、火力を多少犠牲にしつつ初手両守から入れるようにしました。
これで、Z技を守れればしめたもの。猫騙し対策にもなります。相手も両守なら次のターンも大爆発のプレッシャーをかけ続けられます。
次にヤレユータンの持ち物ですが、挑発はネット大会で一度しか受けなかったので、思いきって対策を切りました。
イカサマの火力を上げる黒い眼鏡を持たせたところ、②のカビゴンを腹太鼓前後の2発で落とせるようになりました。ネット大会で腹太鼓が多かったので、のろいカビゴンは対策を切りました。
余った2枠で③のドレディアコータスを対策することに。下記ドレディアコータス対策の記事を眺めてトリルと相性のよいジジーロンを採用。ドレディアを止める役は、自身がトリルをはれるミミッキュを採用。
ジジーロンのノー天気で晴れを無効化し、ミミッキュがドレディアの上から挑発を入れることにしました。
最後に、クワガノンの眼鏡を帯に変更。拘っていると娘が技を選ぶときに「あれっ、あれっ」となるので。
この改良過程では、盟友であるパパ友のSパパさん(WCS2016ジュニアで活躍した女子選手のお父さん)に相談にのってもらいました。
彼はこのパをいじりながら数十戦試してくれて(感謝)、挑発を切る判断と、初手守るは強いという見解が僕と一致しました。
あと、サン・ムーンの更新データを入れるとバトルビデオが見られなくなることを教えてくれたので、更新前に負け試合のビデオをスマホで録画しておくことができました(大感謝!)。
こうしてライブ大会用のパーティーが決まりました。Z技を入れないのはさすがに損かと思いましたが、Z技は単体攻撃かつ采配できないのでこのパには合わないと判断しました。
選出と立ち回り
基本選出
+
シルヴァディ・ヤレユータン+バンバドロ・クワガノン
①両守→②シルヴァディ大爆発+ヤレユータントリックルーム→③バンバドロを出して地震+采配します。
例外として、カビゴンを見たら②でトリルをせずに、とにかくイカサマをカビゴンに打つように教えてありました。
対ドレディアコータス
+
ミミッキュ・ジジーロン+バンバドロ・クワガノン
①ミミッキュがドレディアに挑発してジジーロンはハイボ→②ミミッキュがトリルします。
選出でドレコーが初手に出てこなかった場合は、ジジーロンが守って初手からトリルと教えてありました。
以上です。
本当にこれだけ覚えて押していただけです。
あと一応、バンバドロが岩雪崩を打つ相手、クワガノンがめざパを打つ相手、「カプ・ブルルがでてきてがめんがみどりいろになったら、じしんがよわくなるから10まんばりきをうつんだよ」、とかは教えてありました。
覚えることは少ない方がよいと思い、ワイドガードは教えていませんでした。ネット大会で一度も見なかったので。
大会当日
予選
予選のスイスドローは37名出場。結果からいうと、なんと5勝1敗で4位でした。
1試合めの最後に前ターン放電を打ったクワガノンがガブにめざ氷を打って勝ったのを見て、「すごい、1勝した!」「すごい、めざパを打つ相手を覚えててくれた!」「眼鏡を帯に変えといてよかった!」の感動がまとめてやって来ました。
本当にもうこれで十分というつもりでいたのですが、2試合目はドレコーに当たって、予定どおり対策が決まって勝ち。
3試合めは岩雪崩でひるんでトリルがはれずに負け。
4, 5試合めは順調にトリルをはって勝ち。
6試合め、相手のギガイアスがワイガを見せたので、ああ負けたと思いましたが、バンバドロとの対面でワイガを打たれなかったので地震で突破して勝ちました。
全体的に、初手両守は初見殺しとしてかなり刺さっていた感じがしました。
特にジュニアの場合、Z技を守られたショックで一気に焦ったり弱気になる選手も多かったのではないかと想像します。
さらに、相手が試合前に「小さい女の子に当たってラッキー」という楽勝気分でいたとしたら、自分が次第に不利な状況に追い込まれていくときの心理的なダメージは何倍にも増したことでしょう(そういう意味では、うちの選手は本人の見ためが初見殺し)。
一方、うちの選手は、決まったことしかやらないので悩みませんし、パの性格上、一試合が短時間で終わります。結果的に、メンタルをほとんど消費せずに、予選の6試合をこなしました。
これはジュニアの選手にとってすごいアドバンテージだったと思います。
本戦
そういうわけで、「信じられないけど、こんなこともあるんだなあ」という気持ちで本戦のトーナメントへ。
本戦進出選手のパーティーが発表になったので観察して、一人ワイガ持ちがいたので、「ギガイアスがいたら10まんばりきをうつんだよ。あとはいつもどおり」とだけアドバイスして選手を送り出しました。
準々決勝はのろいカビゴンとあたり、負けたと思いましたが、麻痺と急所をひいてまさかの運勝ち。
準決勝は初手両守のアドでシルヴァディ大爆発ミラーを制して勝ち。
「まじかよ決勝だよ。マッチ戦の相談なにもしてねーよ」と思って迎えた、夢の女子対決となった決勝では、大スクリーンで解説を付けて頂きながら、素人丸出しのプレイングをご披露することになりました。
対戦相手の実力が本物だっただけに、それに見合った決勝戦の試合を展開できなかったのは申し訳なく思うものの、ここまで書いたような事情ですのでご勘弁くださいということで、悔いのない準優勝を頂きました。
選手本人は、ライブ大会参加を決めたころから、アメリカ家族旅行(ディズニー!)の可能性をちらつかせたせいもあってか、けっこうやる気になっていました。
しかし、他の多くの選手と違って、もともとポケモンバトルが好きでしょうがない、というわけでもありません。
試合前はやはり緊張していたようにみえて、少し心配しましたが、1試合めに勝って帰ってくると「もっとやりたい!」とのこと。
そりゃあ、勝てば楽しいですもんね。楽しく、積極的に参加してくれたことが、親としては何よりもうれしかったです。
決勝では淡々と負けて帰ってきましたが、相手が強いことは理解していたようです。優勝した選手は明るく優しく、うちの選手と試合前から仲良く話をしてくれていました。おかげで、うちの選手も落ち着いて大きな舞台に上がることができたのだと思います。
ジュニアのライブ大会で勝つということ
今回のうちの選手のパ―ティーと立ち回りは、レートだと勝率5割で1500付近のものです。
しかし、ジュニアのライブ大会という特殊な環境においては、めちゃくちゃ刺さっていたということだと思います。
一つの勝因は、どうせ予選を抜けるとは思っていなかったので、いろいろな対策を切ったこと。
ガチトリパなのでトリルをはれないと負けます。すべての試合にできれば勝ちたいと思うと、あらゆるトリル対策への切り替えしをパーティーに仕込む必要があります。
しかし今回は、挑発はあまり来ないので切りました。吠える系もほとんど来ないので切りました。
トリルをはらせてカビゴンやギガイアスで制圧してくる相手も、ポリ2等でトリル返ししてくる相手も、ジュニアでそこまで器用な子は多くないと思ってあまり考えませんでした。
そこまでうまい子に当たったら、素直に負ければよいと思ったのです。
ところが当日は、それらのパには好運にも当たらなかったので勝ち進んでしまいました。試験のヤマが当たったような感じです。いろんな対策を切った分、シンプルで使いやすく、はまれば強いパを持っていくことができました。
もう一つの勝因は、上と関連しますが、ジュニアのレベルに合わせて対策できたということ。
対策にあたっては、JCSネット大会の敗因を重視しました。近年はINCでジュニアとシニアが混ざってしまったし、レートではもちろん大人が大勢いるので、ジュニアのレベルを知ることは難しいです。
JCSネット大会は、サンプル数が限られていることに注意する必要がありますが、「ジュニアの子はだいたいこうしてくる」という感覚を得る上で貴重なデータであるように思います。実際にライブ大会で当たる子も多く含まれているわけですし。
また、ネット大会でははっきりいってコーチングできるわけですが、ライブ大会では子供だけの実力で、しかも緊張とメンタルの消耗が伴う中での実力になります。
それを想像した上で、対策を立てたり、対策を切ったりすることを考えると、うまくいくことがあるのでしょう(いつもうまくいくとはいいません。読み間違うと、えー、みんなこんなうまいの?となるでしょう)。
わが家のポケモンバトル歴
おまけとして、これから挑戦する親子トレーナーの参考になるかもしれないので、わが家のバトル歴をご紹介します。
現在、中2である上の子(娘)が、小1のときにBWを始めたのが最初のポケモンゲームです。
僕はそれを手伝っているうちに、上の子と一緒にやりこむようになりました。
そして、「バトル奥義3」の「カテゴリーA突破術」やポケモンサンデーでやまちゃーさんが紹介された回を見て、バトルの公式大会に興味を持ち始めました。
上の子は5年生と6年生のときに日本代表決定戦に出ましたが、予選リーグ敗退。
最高成績は2015年コロコロチャレンジ東日本5位と引き続く第2回竜王戦への出場です。
上の子が中学生になってポケモンをする時間がほとんどなくなったので、今度は下の子が興味を持ってくれたら、小学校卒業するくらいまで家族の趣味として楽しめるね、といって下の子が挑戦した最初の年が今年だったというわけです。
結果は思いがけず出来過ぎでしたが、下の子が自分に自信を持つことができる経験になり、家族の楽しみとしても盛り上がることができました。世界大会ではさらによい経験を積んできたいと思います。
おわりに
下の子が今回の結果を出すことができたのは、その土台となる経験を積んできた上の子のおかげが大きいと思っており、上の子に感謝しています。
また、Sパパさん親子をはじめ、上の子が竜王戦に出たときに知り合った親子勢のみなさんには、いろいろとお世話になり、かつ刺激を頂きました。深く感謝します。
今回決勝を戦ったジュニア優勝選手のご一家とも竜王戦で知り合いました。
今回は「決勝女子対決」というポケモン界の明るい話題(?)を一緒にプロデュースすることができてうれしかったです。
ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございました。
多くの親子トレーナーが、この記事を参考にバトルを楽しんでくださることを祈っています。
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