【シーズン16最終1位・レート1941】ガマゲロゲ入り湿った岩雨パ【ウルトラサンムーン(USUM)・ダブルバトル】




目次

はじめに

どうもみなさんこんにちは。ポケモントレーナーのみなみこりです。

3DSのオンラインサービスが終了するそうですね。私自身結構やりこんだ世代でもあり、思い出深いものがあります。なので最後に1戦だけと思ってフリー対戦をやってみたんですが、ビックリするほど人がいません。

トリプル村は活気がそれなりにありますが、過去作のダブルバトルは本当に過疎っています。誰か助けてください。

今回はUSUM環境についての若干の考察も交えつつ、私がシーズン16で使用し最終1位を達成した雨パーティについて紹介していきたいと思い、記事を寄稿させて頂きました。

USUM全国ダブル対戦環境

まず最初に今回の構築の前提となる対戦環境について見てみましょう。

時期によってブレがありますが、とりあえず今回は2019年以降のUSUM全国ダブル(環境後期、カロスマークとアローラマークのついたポケモンのみ使用可能)に焦点を絞って見て行きます。

この環境における当時のメタゲームをTier表で示した場合、以下のようになっていると考えられます。

Tier1
リザドラン
ゲンガエンジャラランガ
Tier2
メタグロススタン(テテフグロス、レヒレグロス等)
ガルーラスタン(CHARKF等)
サナガエン
Tier3
ボーマンダスタン
砂パ
雨パ
トリックルーム
腹太鼓系
Tier4
叩きパ
ツボラキ
霰パ
その他メガシンカ軸等…

Tier1のリザドランゲンガエンを中心として、Tier2に非天候グッドスタッフ系が3パターン、Tier3以下にはギミック系の構築が多い・・・といった環境勢力図です。

元々リザドラン-ゲンガエン-メタグロスの3強状態でしたが、レート終盤にかけて少しずつゲンガエンが増えていった印象です。従来までのポケモン対戦におけるそれとは少し異なり、USUM全国ダブルは終盤近くまで比較的メタゲームの変動が見られた環境でした。

このように環境の変化が長く見られた原因は色々考えられますが、特筆すべきなのはTier1とTier2以下の構築にそこまでパワーの差が見られない点です。

殆どの場合はTierは上に行くほど構築の出力が上昇・安定するのですが、ここではどの構築にもそれぞれ明確な主張点が存在します。

Tier2の構築から例を挙げると、ガルーラスタンは豊富な素早さ操作とサポートからヒードランを動かせるためにリザードンに対しては比較的有利に戦えます。

一方サナガエンはスイッチ構築である点はガルーラスタンと共通ですが、カプ・レヒレと霊獣ランドロスがパーティに入る事が多く、威嚇とフェアリーを2体ずつ積むことができました。
その点からゲンガエン(とガルーラスタン)に比較的有利、またリザードンにも型次第では全然戦える相性となっています。

そうするとTier1の2種どちらにも有利とは言えないメタグロスは環境から失墜しそうなものです。
しかしここが雑多な環境の面白い所で、メタグロスに関しては採用されるポケモンのスペックが非常に高く、Tier2構築の両方に有利が付き、またTier3以降の構築の殆どに数値押しで攻めていけるため有利に立ち回れることが多いです。

またTier1の両者に不利と言っても絶対に勝てない訳でもなく、大体4~5割は拾える位の相性なので、十分勝ちの見込みは存在していました。

なのでTier1が圧倒的に強い環境ではなく、本当に少しだけTier2組より立ち位置が良い位の差しかありません。この辺は第6世代の空気を引き継いだ感じが見られますね。

スペックの高いTier2~Tier3勢力が点在している結果、その辺り全員に少しずつ強いガルーラスタンがTier1になるような・・・そんな感じです。

とはいえ、一強環境よりも上位が団子状態の環境の方が、環境的に劣勢な側にとってはキツいとも言えます。

例えばメタグロス軸の持つ「Tier3以下に強い」という特性はガルーラ軸とサナガエンも同様に持っています。トリックルーム系統の構築なんかはリザードンゲンガー両方に有利ですが、ガルーラとサーナイトが重すぎて環境トップには立てませんでした。

ガエンランド辺りで耐久しながらトリル返しや範囲技で流すプランに加え、両方ともモロバレル+猫騙しを採用出来るため、積み技を軸としたワンショットにも強い点がキツかったです。

最終的には集団から少し抜けたリザードンとゲンガーをガルサナグロス3組が守りつつ、たまにTier1に逆襲するというのがUSUM終盤の環境だったと言えるでしょうか。

Tier下位の構築がこのサイクルに割って入るのは簡単ではなく(またWCS2019が禁止伝説ルールだったため全国ダブルの研究自体が下火だったこともあり)、「最後までこの環境が維持されるんだろうな」という雰囲気はあったと言えます。

ガオガエンについて

次に環境を読み解く鍵となるポケモンを見ていきます。この環境の焦点となるのはやはりガオガエンです。

炎悪という独特なタイプに加えて優秀な技と種族値を兼ね備えた威嚇ポケモンという、まさに便利な所しかないポケモン。

現行相当インフレしているSVですら強い部類に入るのですから、6年前のゲームにこれが出てきたらそりゃあとんでもないことが起こります。

このポケモンが世に解き放たれたのはシーズン8(2018年1月下旬から3月中旬まで)の終盤でしたが、手始めに当時環境トップだったリザクレセカビゴンを環境外寸前までぶっ飛ばし、逆にガオガエンを取り込んだメガゲンガーは滅びの歌+ジャラランガZという強力な軸を擁する新しいアーキタイプとして環境トップに躍り出ました。

またボーマンダとサーナイトはそれまで相性の良い強力な威嚇枠が少なかったのですが、ガオガエンの登場で構築の強度が一気に上昇。

最終的にはリザードンにすら採用が目立ち始め、晴れ下猫熱風で殴りかかってくるなど、とにかくあらゆる構築にガオガエンが入るようになりました

それまでの積み技やZなどのビッグアクションで試合を組み立てていくUSUM環境は、ガオガエンの登場以降細かい撃ち合いで少しずつ相手を崩していくアドバンテージゲーム的な戦術が主流となっていきます

この辺りの環境の変化には賛否両論あるとおもいますが、いずれにせよそれまでのゲーム観を一変させてしまうほどに強力なポケモンだった訳ですね。

そしてこれほどまでに強力なポケモンを前に、プレイヤー達はそれぞれ向き合い方を模索する訳です。

ガオガエンを使用するのか、ガオガエンを対策するのか、それとも無視するのか。どのように向き合うとしても、USUM環境を定義するポケモンであることには変わりなく、それは環境のメタゲームにも如実に表れていると言えるでしょう。

湿った岩入り雨の開拓史

今回の構築概要について書く前に、まずはSM環境における限界雨の存在について触れない訳にはいかないでしょう。

製作者はジロウ氏。元々ORAS環境で既に湿った岩を持たせた雨パを使用していましたが、限界雨はその理論に基づいて構築を雨に特化させたものでした。そしてこの限界雨についてですが、環境的に見ればかなり突然出てきたパーティです。

SMダブルは元々ガルーラ、リザードン、メタグロス、ボーマンダなどで回っていた環境だったんですが、製作者のジロウ氏が数シーズンにかけて一人でTOP10に入り続け、シーズン5で1位を取り、その後そのリストが公開されました。

6体中5体が水タイプで上位に入った構築は過去に前例が無く、反響は様々ありましたが、とにかく風変わりな構築として大ブレイクします。

そしてUSUM環境に突入してからは、ジャラランガの流行やリザードン構築の開拓によりしばらく全国ダブル環境では見なくなります。

ただ雨パが弱かったかと言うとそんなことはなく、現実雨のようなすいすい2体採用型の雨パはWCSシーンで流行を見せ、そちらのルールのメタゲームには常に雨パが存在していましたし、潜在的にはTier1~2位の勢力だったと思っています。

そしてシーズン16(2019年6月〜9月)の全国ダブルではしめったいわ持ちのポケモンを採用した雨パーティがTOP10に2人入賞しました。今回はそのしめったいわ入り雨パについての記事になります。

構築の概要

ようやくですが、構築の内容を見て行きましょう。私が使用した並びはこんな感じです。

いわゆる雨パーツで固めた雨パです。

何をやってくるのか説明したい所ですが、恐らくこんな記事を読んでいる方々の中にこの6匹がこれから何をやってくるか知らない人はいないでしょうから、簡単に済ませます。

彼らがやることはまさに単純明快。まず雨を降らせ、その後対面した相手が前を見られなくなるまで殴りにいきます

しかしそれはあくまでものすごくざっくりとした動きで、実際にはそんなものでは済まされないほど多くの選択肢と無限の勝ち筋が存在します。

ですがとりあえずその話は後にして、まずはこの湿った岩入り雨パの構築のタイプを定義するところから始めましょう。

パッと見この構築はしっかりとした受けが存在せず、高速での決着を目指す対面型構築に思えます。あるいはタイプの偏りに着目した場合であれば、水・草・鋼枠を複数採ることから役割集中のような見方もあり得るでしょうか。

しかし私はここではこの構築を「天候を軸としたグッドスタッフ構築」と定義したいと思います。もちろん開幕からあめふらし役&すいすいでロケットスタートという必殺技を備えているため、相手にする側からすればそれがメインの対面構築のように見えます。

しかしこの動きがあまりにも強すぎるために、環境内構築は全て開幕すいすいに対抗しうる並びを備えています。

・・・まあグドラメガラグルンパを揃えればその殆どは消し炭になりますが、とにかく結果としてUSUM環境では先発からすいすいで殴りかかってもそこまで勝たせてはもらえません

そこで重要になってくるのがアドバンテージの取り合い、いわば詰めとしてすいすいを利用するプランです。

クチートやナットレイを始めとした高耐久ポケモンで相手の攻撃を捌きながら最終的に後発のすいすいで縛りを作ることができます(ちなみにメガラグラージが高耐久ポケモンに該当するため、限界雨パだと何故か先発すいすいで殴りながら中盤以降の競り合いも制することが出来ます)。

つまりこの構築において目指すプランは主に以下の2種類となります。

  1. 開幕すいすいから殴り続ける速攻プラン
  2. 相手の対策にクチートやナットレイなどで遅延し、相手の対策リソースが削れたところで後発すいすいからアドバンテージを取り続けて勝つカウンタープラン

この2つのプランを高いレベルで遂行できる点がこの雨パの強みです。

という訳で、ここから素晴らしいプレイヤーの皆さんが開拓してきた雨パの戦術を我が物顔で詳しく解説していきたいと思います。よろしくお願いします。

プランの柔軟性について

前の項目でこの構築には主に2種類のプランが存在するとしました。ですが多くのスタン構築が素早さ操作+サイクル戦のプランを構えていることからも分かる通り、2種類のプランを組み合わせるのはさほど珍しいものではありません。

では、この構築における他のスタン構築との差別化点とは何でしょうか。それは、プラン選択の柔軟性にあると考えています。

そしてこの柔軟性の要因として考えられるのがこの構築のグッドスタッフ性です。

例えばガマゲロゲとルンパッパは速攻プランにもカウンタープランにも組み込めます。更にこれは他のポケモンにも同じことが言え、どのポケモンも雨下で殴ることが仕事になるため、腐るタイミングが非常に少ないです。

そして役割の多さとは裏腹に多くのポケモンが似たような役割を持つため、死に出しからの展開に差支えが無いというのも強みです。

つまりこれは見えない領域から突然プランを変更できることを意味しており、これが相手視点からの行動の読みづらさに繋がっています。

また2種類のプランについてくるような形で、いわゆるコントロール的な動きを取ることも可能です。

ルンパの猫騙しやクチートの威嚇、コケコのボルトチェンジなどで交代の隙を減らしながらサイクル戦も挑むことが出来るため、見た目よりもはるかに受けは固いです。

更に言えばすいすいを受けられるレベルで耐久に振り切った構築に対してもルンパッパとガマゲロゲで殴りながら鈍いナットレイを育てて全てを粉砕する、みたいな動きも取れる訳で。

もしかしたら湿った岩入りの雨パの内容を知っている方の中には、「すいすいが通ったら勝ち」というイメージを持っている方がいるかもしれません。しかし実際は「通らなかったとしても、通るタイミングまで待って投げられるから大体勝てる」という感じです。

結果として、この構築は似たような選出から正反対の戦術を後出しで選択できる高数値グッドスタッフであり、このプラン選択の柔軟性こそが構築の強さを支えていると言えます。

自由枠との向き合い方

ここまで書くと、「それならばプラン選択を強化するために別の軸・もしくは雨メタへのメタ枠を採用するべきではないか」という発想に至る方も多いと思います。しかしことこの雨パに関して言えば私はそう考えてはいません。

まず別の軸を採用しない理由に関して。これは雨と関係ない別の軸を採用するとどうしても選出に組み込みづらい枠が発生してしまうため、立ち回りの自由度が落ちてしまうからです。

例えばクチートをより活かすためにトリックルームを使えるゴチルゼルを採用したとします。一見するとトリックルーム択の分、相手を迷わせる要素が増えるように思えます。

しかしこうなると相手はこちらがトリル展開の間はすいすいを、雨展開の間はゴチルゼルを考慮しなくても良くなるため、実際には立ち回りを読まれやすくなってしまいます

どんな状況でも6体を強く扱えるのがこの構築の強みである以上、軸を増やすことは構築の強度を弱める不純物だと言えます。

次にメタについてですが、これもよっぽど雨ではどうにもならない相手でなければ基本選出のままで良いと思っています。

何を伝えたいのかと言いますと、雨に特化することで雨対策を乗り越えられるということです。そしてこれもまたこのタイプの雨パの特異性だと言えます。

この逆説的な対策方法を成立させている要因は主に3つ考えられるでしょう。

1つ目は先ほど強みとして挙げた各ポケモンのグッドスタッフ性です。
例えばルンパッパは「猫騙し+突撃チョッキでのサイクル枠」「詰め役」「すいすいアタッカー」「水タイプ対策」、クチートは「カウンタープランでの先発」「トリル系統対策」「先制技による詰め役」「威嚇によるサイクル枠」など、高い数値と複数の役割を兼ね備えています。

そのためメイン枠のいずれかが対策枠として使えるケースが非常に多く、わざわざ対策を割かずとも大体選出は上手く行きます。

2つ目は立ち回りの柔軟性
1~4ターン目までに相手の選出が大体見える都合で殆どのアクションを後出しで行えるため、大抵は好きなタイミングで対策ポケモンをぶつけられます。
そのため他のパーティでありがちな「対策をうまく当てられずに負ける」といった負け方をする心配がそこまでありません

そして3つ目の理由。これが最も大きな要因ですが、その対策ポケモンを当てた後、すぐに雨展開に持ち込むためです。

先ほども少し触れましたが、雨パは1回すいすいが通る盤面を作れば勝ててしまいます。よって何度も相性差によるアドバンテージを取る必要がなく、対策ポケモンであっても試合中に1~2回行動させる程度にとどまることが多いのです。

なのでメタを完璧に当てるよりもある程度相手を消耗させた時点ですいすいを投げた方が、結果として勝率が高くなると考えています。特にこの偏りは対天候パを意識した時に重要になってきます。

確かに相手にとって雨パーツはメタの的かもしれませんが、大抵の相手は雨が降った状態ですいすいに殴られる展開が一番重くなるので、雨パーツを抜いて局所的なメタを仕込むことが却って相手を動きやすくする原因になりかねません。

加えてダブルバトルにおいて役割対象に対策となるポケモンを正確に当てるのがいかに困難かという話で、大体は上手く行っても1対1交換が関の山でしょう。

そしてメタ枠というのは大抵構築の本筋から逸れるものですから、それなら結局相手の的を増やしてやればより安定して天候戦を制することができると思っています。

色々書きましたが、ここで言いたいのは「特定パーティをピンポイントに対策するポケモンを採用する場合、それらを複数採って対策枠に厚みを持たせるより、既に入っている雨パーツで似たような展開を作る方が構築の強度を失いにくい」ということです。

これは雨パだけでなく他の構築を組む際にも言えることであり、メタ枠を使ったイージーウィンが頭をよぎった時には常に意識しておきたい要素でもあります。

個別解説

ペリッパー

性格:ひかえめ
特性:あめふらし
持ち物:しめったいわ
努力値:196-0-4-116-4-1966
実数値:156-*-121-143-91-110
技:なみのり/ぼうふう/おいかぜ/まもる

雨パの雨を降らせるポケモン。選出率は勿論1位です。

ニョロトノとの差別化点は出来ることの多さです。おいかぜは相手の追い風に合わせればすいすいを追いつかせることが出来ますし、単純に水+飛行の技範囲の多さが優秀でした。

一方で基礎スペックの低さと滅び展開が出来ないのがデメリットですが、スペックの低さはすいすいで誤魔化せるのと、滅びの歌自体が雨パのコンセプトと噛み合わないため、最終的にはより構築への貢献度が高そうな方を選びました。

持ち物はしめったいわ。採用理由は前述の通りで、メインコンセプトである雨の強化に役立ちます。気合の襷は雨ターンが減るので不採用。仮に雨ターンが永続だったとしてもステータス的に別のアイテムを持たせたいです。

技も至ってシンプルに。なみのりはキングドラがいない分使いにくいですが、隣に守らせるタイミングで使えば問題ないと判断し、熱湯や塩水よりも期待値は高い方を選択しました。

ぼうふうはカプ・ブルルやカミツルギを始めとした草タイプに加え、波乗りを撃てないタイミングであればいつでも選択できる単体技として採用。

おいかぜは叩きパや天候パなどに強く出られる点を考慮し採用。ついでに初手すいすいのプランを強化できるのも嬉しい所で、非天候のメタグロスやガルーラなど、追い風があることですいすい2体を問題なく選出できるようになりました。

まもるは全く月並みな選択で、ダブルバトルを考えた時には常に候補に挙がる技となっています。死に出しを軸に立ち回る構築なので、弱いポケモンを守らせるメリットはそこまで大きくはありませんが、確実に選択肢を増やせる技である点を考えて採用に至りました。

ガマゲロゲ

性格:ひかえめ
特性:すいすい
持ち物:ミズZ
努力値:4-0-4-252-4-244
実数値:181-*-96-150-96-125
技:だくりゅう/だいちのちから/あまごい/まもる

主役のようで絶妙に主役じゃないすいすい2枠目かつ範囲技持ちのポケモンです。選出率は3位。

一応可能な限り選出を考えなくてはならないポケモンですが、キングドラやラグラージのようにとにかく投げられる程の強さには及ばないと感じます。

特にキングドラと比較した場合、リザードンとボーマンダ系統への勝率の悪さが問題となり、実際ガマゲロゲを採用することでこの2タイプに苦戦するケースも多いと思いました。

しかし明確にキングドラより勝る点も存在していて、メガバンギラスとメタグロス系統にはキングドラよりもかなり有利に立ち回れるようになっています。

持ち物については範囲技のだくりゅうを1発限りにおいて単体技に変えてくれるため、速いポケモンである点も加味してガマゲロゲにZクリスタルを与えることにしました。

努力値と技構成はほぼ一般的なすいすいのものと言っていいでしょう。素早さに極振りすれば最速バンギラス+2になりますが、このラインで調整しているポケモンに心当たりが無く、それに加えてHP・防御・特防に4振りしないと気持ち悪かったため準速-1の調整となりました。ガマゲロゲが環境に爆増していたら準速もありですが、そんなことならキングドラ使った方が良いです。

しかしこの中でもあまごいはかなり評価が分かれる技です。手動天候として対天候パへの強さを評価する声から天候維持だけに枠を割くのはやりすぎであるという声まであり、特に限界雨や現実雨が流行っていた時期には結構雨乞いを抜いている方を見かけました。

様々な意見があり、それぞれが一定の妥当性を持つと思っていますが、今回の構築では以下の理由から雨乞いを採用することを決めました。

  1. 他天候パへの優位性
  2. カウンタープランにおける天候切れへの耐性
  3. ロングゲームでの押し込み

1.他天候パへの優位性について

天候パ同士の対戦はお互いに天候を取り合うためのサイクル戦になりがちですが、相手が交代もしくは守るようなタイミングで上手く繰り出せば天候合戦を有利に進めることができます

特にバンギラス入りの相手に対しては基本的にどこかで相手の攻勢を逆転させる必要があるため、どのタイミングで雨乞いを撃ち込むのかは常に考えておきたい要素です。また雨ミラーにおいては初手に雨が降らない展開となった場合、タイミングを見計らって素で撃ちに行くことで相手の計算を狂わせることが出来ます。

いつでも使えるテクニックではありませんが、相手のすいすいの絶対数が少ない時はこれでゲームが決まることもあります。

2.天候切れへの耐性について

他天候への優位性に加え、カウンタープランにおける一貫性も強みの一つと言えます。

後発からすいすいを投げる際、相手がひたすら猫騙しや守るなどで受けに回ることがあり、そうした時にこちらが詰めを誤って雨ターンが終了することがあります。そんな時に雨乞いがあれば、たまに発生するそうした取りこぼしすらもケアできてしまいます。

最後にサナガエン対面であり得るケースとして、トレースであめふらしを先にコピーされると雨が5ターンしか維持できなくなるというものがあります。こうなると一度ペリッパーを温存する立ち回りを取る必要があり、プレイングがゆがめられるのですが、ここで雨乞いを持っておけば後発に雨エンジンを抱えておけるため、トレースからの攻めを避けることが出来ます。ガマゲロゲに雨乞いを採用するのもこうした立ち回りを前提としています。

こうしたケースで天候のためにペリッパーを維持する立ち回りが弱いため、出来るだけ速くペリッパーは切り捨て、すいすいから展開する方が選出枠のロスを抑えられるのです。

3.ロングゲームでの押し込みについて

2.と少し被ってしまいますが、体感10試合に1回程度、お互いに決定打が放てずにもつれる展開になる試合があります。

こうしたロングゲームで覚えておきたいのは「2on2でルンパッパ死に出しから猫騙しと絡めて雨を降らせる」プレイングで、これが終盤に決まれば大体勝てます。

またこれは殆ど無いケースではありますが、こちらの天候切れに合わせて相手が守るを押してくるので、これを読んで雨乞いZを使用すれば実質的に雨ターンを延長させられます。

このように1.では互角の対面を有利に持っていき、2.3.は有利対面をさらに盤石なものにしています

いずれにせよ勝負を決めに行ける強力な動きですが、こうした幅広い運用が可能となっている理由には、この構築最大の強みが関係しています。すなわち、「この構築が雨という軸のみで動いている」という構造によるものです。

例としてサナガエンの構造と比較してみましょう。この構築のメインポケモンは勿論メガサーナイトです。サーナイトはトリル要員も兼ねている場合があり、そのため出来るだけ先発に持って行った方が強いです。

しかし同時にサーナイトは構築におけるエースでもあるため、攻撃回数を稼ぐ必要があります。そのためランドロスとガオガエンに加え、攻撃を吸うためのモロバレルに素早さ操作役のサンダーと、サーナイトをサポートするポケモンが大量に採用されています。

あらゆる場面でサーナイトを動かせるように様々な軸を採用する必要がある訳です。そのため手動天候を採用してもエース運用と噛み合っておらず、撃つだけでは十分なリターンを得ることが出来ないのです。

一方で雨パはどうでしょうか。例えば天候パを相手にした場合、雨乞いで切り返したガマゲロゲを切り捨ててからルンパッパやコケコで殴りに行けます。またロングゲーム時にはナットレイやクチートの耐性を強化出来ますし、最悪ペリッパーで暴風や波乗りを連打するだけでも悪くありません。

つまり雨乞いを撃った後に必要なのは、とりあえず何でも良いからポケモンが残っていること。この要求の低さが非常に重要で、ここに天候パとスタンパの決定的な違いがあります。

雨パはその性質上、雨乞いの後に使えるポケモンが雨乞いの恩恵を受けやすくなっています。そのため序盤に2体同時に吹っ飛ばされながら天候を塗り替えられるような事態さえ起こらなければ、残ったポケモンで展開を続行できる可能性が高くなっています。

最初に触れた通り、雨乞いはただ天候を確保しに行く技です。しかし天候を維持するだけで試合を決めることが可能なすいすいという着地点を持つ天候特化型の雨パにおいては、ただ雨を降らせるだけだったとしても十分な仕事をこなしてくれます。

加えてすいすい満載の雨パにおける手動天候は疑似的な素早さ操作としても使用可能です。立ち回りさえ間違えなければ確実にリソースを確保してくれるのですから、すいすいを2体、3体と増やしていく度に雨乞いもその価値を増していきます。

そのためどこかで一旦抜けることがあったとしても、これら3つの強みを意識した時はまず採用を考えて良いと思います。

ルンパッパ

性格:ひかえめ
特性:すいすい
持ち物:とつげきチョッキ
努力値:28-0-4-252-4-220
実数値:159-*-91-156-121-118
技:ねっとう/エナジーボール/れいとうビーム/ねこだまし

雨パをグッドスタッフたらしめている核。

すいすいとしてのスペックは高くないものの、草水という噛み合いの良いタイプと優秀な技範囲、更には猫騙しによる妨害をも兼ね備えている汎用性の高さが最大の強みです。そのため選出率もガマゲロゲの上を行く2番手となっています。

持ち物は守るを切る代わりに特防を1.5倍に出来るとつげきチョッキを採用。冷凍ビームと猫騙しを採用するために守るを入れる枠がない関係上、殆どデメリットにはならないと考えました。

努力値は特攻に全振りは確定。素早さは最速スカーフランドロス抜きとしました。最速をあえて避けることでルンパミラーの際にギガドレインで回復されるのを防げる他、あまりを防御・特防に4振りしつつHPを16n-1調整に出来るため、玄人感を演出することが可能です。

技の選択について。まずはれいとうビームを採用。あるだけで対応範囲が格段に上がるため、ガマゲロゲで暴れた後に残った相手を倒す動きとも噛み合っています。

というかガマゲロゲが冷凍ビームを覚えないのでこちらに覚えさせないとボーマンダに勝てません。またラティ兄弟やサザンドラに対してもチョッキと合わせて勝てるので、他の技よりも優先して採用しました。

ねこだましはサイクル戦で相手の動きを遅らせる、トリックルームや追い風に対する時間稼ぎ、猫騙し+αで太鼓系のポケモンを無理やり止める、猫+雨乞いで無理やり展開する等、他の技には無いオンリーワンの性能を評価して採用しました。

残る枠には水技と草技としてねっとうエナジーボールを採用。熱湯はハイドロポンプと、エナジーボールはギガドレインとの選択になります。一応個人的な考えを書いておくと、熱湯とエナジーボールの両方ともとりあえず強そうな方を採用してみた、といった具合です。

まず熱湯とハイドロポンプについて。実際期待値として見た時に明らかな差は無さそうかなと感じました。

技威力のみの期待値をみるとハイドロポンプの方が上ですが、逆に火傷ダメージ込みだと熱湯の方がほんの少しだけ上回りそうな気もします。

またハイドロポンプが強い点として、コケコや突撃チョッキランドロス、ガオガエンを一撃で倒せる点、Z技の素体として優秀な点が挙げられます。一方で熱湯の強い要素は火傷による追加攻撃を取り得る点と、強いて言うなら命中安定な点でしょうか。

甲乙つけがたい所ですが、Zクリスタルを持たせておらず、期待値に差が見られないとするならば、個人的には不可能を可能に出来る熱湯の方が魅力的に映りました。ポケモンが体力満タンで1on1する機会はあまりないと思いますし、もしお互いがそうなら素早さが高い分ルンパッパが勝てます。

そのためこれらのポケモンと対面した際にハイドロポンプが熱湯に勝るのは、こちらが相手の1発圏内に入ってなおかつ相手を熱湯で倒し切れない場合となります。
どちらを選んでも大した差は無いなら、3割で追加の攻撃チャンスを取れるかもしれない熱湯の方が強いと考えました。

そしてエナジーボールとギガドレインの比較については、現状エナジーボールが強いかなと判断。ギガドレインの回復が使える瞬間が殆ど無かったのに加え、逆に威力が足りなくて追加で1回行動される方が多いと感じたからです。

また、天候を取れない場合に備えて水技よりも期待値の高い技を持っておきたいという理由もあります。特にリザードン・砂パ対面では天候を取らずに殴りに行くケースも多いため、最終的にはどの位強いのか分からない回復要素よりも単純なスペックを評価しました。

カプ・コケコ

性格:おくびょう
特性:エレキメイカー
持ち物:こだわりメガネ
努力値:4-0-4-244-4-252
実数値:146-*-106-146-96-200
技:かみなり/ボルトチェンジ/マジカルシャイン/10まんボルト

カプ枠。選出率は4位。

元々霊獣ボルトロスの方が強いと考えていましたが、何故か冷凍ビームを使えない胡乱な輩を入れたため仕方なく採用しました。

一応単体性能も悪くなく、カミツルギやゲンガー位なら普通に倒せる等、天候を取らずに殴る際も強いポケモンです。

技枠はまず雨下で最大火力のかみなり、ボーマンダやラティ兄弟へ隣を巻き込みながら撃てるマジカルシャイン、殴りながら威嚇を入れたり、ペリッパーに繋げたり出来るボルトチェンジを採用しました。

残る1枠には元々ガードシェアラッキー対策に吠えるを入れていましたが、あまり使わなかったため、最終盤では非天候時の選択肢を増やせる10まんボルトを採用しました。
最初は期待せずに入れていましたが、再戦時のリザドランが明らかにショートスパンの立ち回りに移行することがあり、そうした時に交代せずに撃ち続けられる電気技としては一定の活躍はしたような気はします。

クチート

性格:いじっぱり
特性:いかく→ちからもち
持ち物:メガストーン
努力値:252-196-4-0-28-28
実数値(メガ前):157-143-106-*-79-74

実数値(メガ後):157-165-146-*-119-74
技:アイアンヘッド/ふいうち/いわなだれ/まもる

メガシンカ枠かつ苦手な砂パ霰パを倒すために採用された影の主役です。選出率は最下位ですが、ルンパッパと合わせてこの構築のグッドスタッフ性を向上させている汎用性の塊みたいなポケモン

天候パ対面以外ではナットレイと選択でカウンタープランの先発を担うポケモンで、水タイプがいない相手に対しては基本的にこっちを選出します。

またナットレイと異なり後発から投げてもかなり強く、ガチトリル対面で消耗した相手を縛ったり、ジャラランガのブレイジングソウルビートを受けたり、バンドリマンダ対面でメガシンカせずに威嚇を連打しながら最後は詰めに行ったり、幅広く活躍できます。

技・努力値共に一般的なものを採用しています。強いて言うなら不意打ち+αでどこまでダメージが伸びるかは常に意識しておいたほうがいいと思いますが、本当に順当に活躍するというか、普通に強くて何でも出来るので書くことが少ないです。

特殊なテクニックとかも全然ないので、何か出せそうだなと感じたら投げる位の認識でOKです。ただ一応相手のガエンランドにだけは注意します

ナットレイ

性格:ゆうかん
特性:てつのトゲ
持ち物:ウイのみ
努力値:252-204-0-0-52-0
実数値:181-154-151-*-137-22
技:ジャイロボール/パワーウィップ/のろい/まもる

カウンタープランおよび草および鋼の2枚目。

こいつの独自性かつ最大の役割は雨構築に一貫性を与えられる点。どの要素もここまでのポケモンで取れる役割と被っており、そこにナットレイを添えるだけで役割遂行に余裕が生まれます。

また相手がナットレイをケアするために選出を変えてくれるため、選出しない時のナットレイが一番強いとさえ言えます。

持ち物はHPに極振りしている関係上、半分回復木の実との相性が良いためウイのみを採用しました。

特性はてつのトゲ。一瞬危険予知も考えましたが、サンダーの熱風位しか役立つかもしれない場面が無いことから没にしました。発動するタイミングを何となく思い浮かべた時に、流石に鉄の棘の方が強そうですし。

技と努力値は一般的な鈍い型のものを採用。カプコケコ同様こいつも終盤に型を変更しました。

元々鉢巻型を採用していてそちらも結構強かったのですが、レヒレ入りの構築に選出する際にパワーウィップとジャイロボールを打ち分けられる使用感が想定より良かったこと、のろい+まもるの組み合わせがひたすらターン経過で雨を凌いでくる受け特化構築に対して軒並み刺さることを評価しました。

特に2つ目が革新的で、サナガエン等のガオガエンでナットレイを対策する構築は鈍いがあるだけでナットレイ放置が出来なくなるため、ただでさえ有利な対面を更に盤石なものにしてくれました。

決して強いポケモンではありませんが、確実にこの雨パの強さを引き上げてくれる最後のピースだと言えます。

ナットレイに対する誤解について

先ほど、ナットレイのことを「(単体性能だけで見ると)決して強いポケモンではありませんが」と評価しました。わざわざこうした言い方をしたのには雨パにおけるナットレイは一部誤解されている部分があるのはないかと感じるからです。

すなわち「ナットレイが雨パにとって必須である」という誤解です。という訳でこの項目ではナットレイが何故強くないのか、そしてどこにナットレイ独自の強さがあるのかについて解説していきます。

まずこのポケモン単体が強いか弱いかで言えば、なかなかに弱い部類に入ります。素早さは低いですし特性もそんなに強くない。技は強いですが、それが前述の弱さを補っているとは言えません。

一方で雨パにナットレイを組み込んだ時、一般的に強いと思われる要素には以下の2つが挙げられるかと思います。

  1. トリックルーム対策
  2. 雨パーツとの相性補完

1.は素早さの遅さと耐久面での硬さを活かした運用法で、2.は相性面を活かした運用法です。特に2.はキングドラと組み合わせた時の噛み合いが凄まじく良く、天候が弱体化して以降主流となった「先発のすいすいで暴れてからナットレイで詰ませる」という戦術の有用性を裏付ける根拠になっています。

しかしこれらの強みを挙げたとしても十分なものではありません。トリル対策になるといってもガチトリルには貫通されますし、水タイプや草タイプに強いと言っても素早さの関係上1回は攻撃を許します。特に素早さの遅さは②の役割を考えた時に大きく足を引っ張っており、これがナットレイ単体でのスペックの低さに関係します。

少し話は逸れるのですが、仮にナットレイ4体の構築で戦うことを想定したら、弱そうだなというのは分かるかと思います。そこまで極端でなくとも、仮に受けに全振りして耐久する構築を見せられたら、何となく勝てなさそうな気はしないでしょうか。そう思う理由は、結局これらの構築のダメージ効率が悪いという点に起因します。

片方に半減を取られたとしてももう片方を殴ればいいため、ダメージが動く量がシングルバトルよりも多くなっています。ダメージが多く入るというのはつまり火力がそれだけ上がるということでして・・・数ターン素早さに変化を与えるだけの追い風がシングルバトルでは殆ど使われず、逆にダブルバトルでは覚えるポケモンの強さを変えかねないほど高い評価を受けているのを見れば、如何に先手を取ることが重要なのかは理解できます。

そのためダブルバトルにおいて常に先手を取られるポケモンというのは、もうこれは実質的に相手だけ2回攻撃することを許しているようなもので、これでは半減で受けたとしても全く割に合わないのは明白です。

そのためナットレイを雨パで運用する際に重要になってくるのが「ナットレイで生じるロスをどうやって抑え、リカバリーするか」という問題です。

この問題の解決策としてまず考えられるのは拘り鉢巻や突撃チョッキで単体性能を高める方法。これは限界雨パや現実雨でもありましたが、特に限界雨パではメガラグラージと合わせてトリル対策を厚く取ることが出来ます。

次に候補に挙がるのは選出を変える方法。これはナットレイを詰め要員への繋ぎとして運用するやり方で、この構築においてもカウンタープランという形で先発に出すことで足の遅さを誤魔化し、後発すいすいによるリカバリーを通しやすくなっています。

最後はナットレイを電磁波起点として使ってしまう方法。6世代では一部のプレイヤーが使用していましたが、7世代では麻痺が弱体化したため使えなくなりました。

先発に起用して電磁波をばらまけば、サイクル戦時に弱さが目立たずに済むという運用法です。また相手の素早さを下げられる関係上天候パ同士の対決において無理やりナットレイとクチートを選出できるという強みがあります。

しかしナットレイはどういった型で運用するとしても、他の雨パーツとの併用において強さが発揮されるということは考慮しなければなりません。

例えばガチトリルと戦う場合はクチートとナットレイを両方選出すれば対策に厚みが持たせられますし、レヒレ入りのスタンパ相手ならナットレイで出方を見てから後発のルンパもしくはコケコを投げるプランを取れます。

この2つの例で言えるのは、最悪ナットレイがいなくても良いということです。ガチトリル対面はクチートだけでも回らないことはないですし、レヒレ入りスタンもルンパゲロゲで暴れたら大体勝てます。
どちらの例でもナットレイはそれぞれ必要な役割の2枚目であり、単体で何か新しいことをしている訳ではありません。

後発により強い同じ役割を持てるポケモンが構えているからこそ有効な対策となり、それらを活かすためには雨が必須、ターンの維持も必須。
そのためには湿った岩と手動天候を両方積む必要があり・・・という具合に、ナットレイを上手く使える構築を組めるかどうかを考えると、想像以上に高いハードルが存在している訳です。

決して平均点が高いタイプではなく、特定の構築、ここで言えばナットレイを入れてなお他の構築にパワー負けしないほど強い構築であれば100点が出せるポケモンというのがナットレイの本質だと思っています。

更に感覚的な話をすると、詰めではなくサブプランとして使えるかどうかで雨ナットレイの強さは決まると考えています。ゴールとしてのナットレイはそこまで強くありませんが、何らかの行動をする際におまけでついてくるならば強い。

ナットレイを強く使うためには、ナットレイがいなくても勝てる構築を組むように意識する必要があります。

各対面の相性解説

リザードンスタン-微不利~有利

選出例その1(リザドラン・コケコ入り)
先発:ペリッパー、カプ・コケコ 後発:ルンパッパ、ガマゲロゲ

選出例その2(テテフ入り)
先発:ペリッパー、ルンパッパ 後発:ガマゲロゲ、カプ・コケコ

キーパーツ
カプ・コケコ、ペリッパー、ルンパッパ

前述のリザドラン型は微有利、コケコ入りなら更に有利、逆にテテフ入りなら微不利といった相性となっています。SM時代と一番異なるのはこの対面だと思います。

従来であれば雨乞いを持っておけば勝てる対面でしたが、USUM以降はリザードンを守りながらカミツルギやレヒレで殴ってくるため、以前よりも楽に勝てなくなってしまいました。しかし不利という訳ではなく、立ち回りをしっかり詰めれば以前のように有利に立ち回れることが多いです。

この対面で重要なのはペリッパーの扱い方です。簡単な例を挙げると、相手の並びがクレセリア+カプ・レヒレのような弱い並びであればあえて天候を取らずに殴りに行く選択肢が強いことが分かると思います。

それ以外にはリザードンが出ている時に死に出し、リザードンを守らせたり交代させたりするタイミングでボルトチェンジから繰り出し等、相手が強い動きを取れないタイミングに合わせてペリッパーをあと投げする動きを狙いに行きます。

特に死に出しは積極的に狙っていきたい行動で、上手く扱えば雨乞いと合わせて何度も交代を要求して相手のサイクルを破壊することが出来ます。
雨パを使っている際の天候パ対面において苦手意識のある方はこのプレイングを行っていないことが多いと思いますから、何らかの機会で対戦する際には是非やってみてください。

また初見殺しへのリカバリーがことのほか重要になるのもこの対面の特徴です。特にテテフ入りの対面で起こるのですが、不意にZでペリッパーが飛ばされる危険性があります。
初手に起こるとかなり辛いですが、その時はガマゲロゲを維持しながら猫騙しやカプコケコで縛りを作る等して天候を取り合い、2on2に賭けます。

このように構築への理解度が出やすい対面ですが、どの型においても長期戦になるほどこちらが有利になるのは共通しています。

猫騙し等でゲームを引き伸ばし、雨を降らせて殴り勝つ展開を目指していきます

サナガエン-とても有利

選出例
先発:ペリッパー、ナットレイ 後発:ガマゲロゲ、ルンパッパ

キーパーツ
ガマゲロゲ、ナットレイ

天候を持たないリザドラン。サイクル戦を行わずに済むおかげで前述のカウンタープランが通る、超有利対面です。

他のパーティと異なり、サナガエンは選出段階で残すべきポケモンが割と明確に決まっています。テンプレのサナガエンと対面した際に目指すべき並びは大体以下の2つになります。

  1. ガマゲロゲ+ナットレイ
  2. ガマゲロゲ+ルンパッパ

とはいえこれは1.と2.のパターンが分かれている訳ではなく、1.で詰めながら最終的に2.に移行すると考えた方が良いかもしれません。

そして1.を目指すのは相手がサーナイトを温存してきた場合です。猫トリックルームからのカウンターで倒されるのが不味いですが、すいすいを連打しながらナットレイを置き続けることでトリル展開を妨害出来ます。

すると相手が受けに回りがちになるので、その隙にすいすいを動かしていけば試合の進行につれてアドバンテージ差を広げられます。

またナットレイがどこかで倒れた場合はしぶしぶゲロゲルンパで攻めるケースもあり、その場合はミズZを温存しながらサーナイトを上手く縛り続けられるように立ち回ります。

とはいえよっぽど切羽詰まっているのでなければ、リザードン対面同様とにかく試合を伸ばすのがこちらの安定した勝ちパターンです。相手の展開を妨害し続け、条件が揃い次第殴って勝ちます

ガルーラスタン-とても有利

選出例その1(トリルあり)
先発:ペリッパー、ナットレイ 後発:ガマゲロゲ、ルンパッパ

選出例その2(トリルなし)
先発ペ:リッパー、ガマゲロゲ 後発:カプ・コケコ、ルンパッパ

キーパーツ
ガマゲロゲ、ルンパッパ

天候がない構築かつ強い駒も少ないためサーナイトよりも更に有利。

サーナイト同様カウンタープランで構える場合が多いですが、トリルが無い場合はさっさと先発を切り捨ててすいすいを並べて殴りにいきます。

基本的にガルーラを倒してしまえばルンパッパを止められなくなる他、相手の初手が弱そうな時は先発のナットレイで鈍いを積んでおけば早期に積みかねない状況を作れる場合があります。

一応クレセリアとモロバレルの日本晴れにだけ注意する必要がありますが、サポート役に日本晴れを積んだ場合、相手も実質1回しか行動できなくなるため日本晴れ要因を無視して隣を殴るのが有効です。

ゲンガエン-有利

選出例
先発:ガマゲロゲ、ペリッパー 後発:カプ・コケコ、クチート

キーパーツ
クチート、ガマゲロゲ

有利対面です。影踏み+ジャラランガ&カプブルルのせいできついようにも見えますが、こちらは手持ちが2体になるまでのどこかでロックを解除出来れば良いので難度は低め。

基本的にメガゲンガーから倒しに行くのがセオリーで、相手もゲンガーを残しにいきますが、その動きにゲロゲが刺さるため上手く凌がれても相手に2連守る+死に出しへの対応を要求できます。

またこれは特殊なテクニックではありませんが、素早さ操作手段に乏しい構築であるため追い風が有効な場面が多いです。

特にゲンガエン対面から猫を撃たれた後、守る+蜻蛉返りに合わせて追い風を撃つことで両縛りを狙えるため、追い風のタイミングは常に考えておきましょう。

またカビゴンなどを採用していてトリルを撃ってきそうな場合でもこの選出で行きます。もちろんナットレイやクチートを先発に構えていればトリルを撃たれてからは強いものの、大抵の場合はトリル持ちでもゲンガエンから入ってくるためサブプランの滅びの歌で嵌められかねません。

それに対してガマゲロゲであればトリルを最速で撃たれたとしてもミズZを撃つ最低限の行動はできますし、死に出しからクチートを投げた方がより完璧な形でトリルにタダ乗りできます。

メタグロススタン-有利

選出例その1(天候なし)
先発:ペリッパー、ガマゲロゲ 後発:ルンパッパ、カプ・コケコ

選出例その2(天候あり)
先発:ペリッパー、クチート 後発:カプ・コケコ、ガマゲロゲ

選出例その3(バンギトドン入り)
先発:クチート、ガマゲロゲ 後発:カプ・コケコ、ルンパッパ

キーパーツ
ガマゲロゲ、ペリッパー

テテフ・レヒレ入り共に天候の有り無しに関わらず有利な対面。天候無しレヒレグロス・テテフグロスに対してはペリッパーガマゲロゲを出して対面を殴ります。

たまにテテフ入りはトリトドンが入っていますが、こいつは濁流も波乗りも素通しする上ルンパッパがいれば守るか交代しかできないため無視するのが得策です。その後は相手の数が減り次第死に出しして詰めていけば大体勝ちます。

少し立ち回りが難しくなるのがバンギラス入りです。クチートとコケコでサイクルを回しながら最終的に雨乞いで相手を縛るのが理想的な展開ですが、道中で殴り切れそうな場合は天候を取らずにそのままコケコで突撃して勝つルートもあるため、その場合は逆に中盤で雨乞い展開を行った後ゲロゲを切ってコケコを死に出しできるように動きます。

メガバンギラスとトリトドンが同居しているテテフグロスもいますが、この場合はペリッパーを投げると火力で押し切られやすいため、あえて選出せずにクチートゲロゲから入って手動で雨を展開します。

こちらは受けに、相手はバンギトドンで雨対策にリソースを割いているため決定打に欠けるロングゲームになりやすいのが特徴です。

最後はバンギ入りと同様にコケコで殴るか雨を降らせて詰めに行きます。

天候に頼らない地上戦が太古の雨パを使っているようで面白いため、個人的にはこの対面をやるのが一番好きです。

ボーマンダスタン-五分~有利

選出例その1(クレセカビゴンなし)
先発:ペリッパー、カプ・コケコ 後発:ルンパッパ、クチート

選出例その2(クレセカビゴン入り)
先発:クチート、ペリッパー 後発:カプ・コケコ、ルンパッパ

キーパーツ
カプ・コケコ、ルンパッパ

コケコ入りなら有利、レヒレ入りなら五分対面となります。メタグロス同様非天候パでトリルを持たないため、最初からペリッパーと速いポケモンを並べて殴ります。

クレセリアとカビゴンが見える場合は一応クチートから入りますが、それ以外は基本取り巻きに関わらず速度重視で数を減らしに行きましょう。

ここで最も危険なのはカミツルギではなくメガボーマンダです。無償龍の舞をさせないよう、出来るだけコケコかルンパッパを並べておきます。

ある程度体力が残った状態で羽休め+守る+攻撃の択を押し付けられると敗色濃厚なので、とにかくあと1回の攻撃でどこからでもボーマンダを倒せる状況を維持します。

ボーマンダを1:2交換までに抑えて倒せるかどうかが勝敗の分かれ目です。これを超えたらあとは効率通りに殴っていきます。

砂パ-不利

選出例その1(バンドリマンダ)
先発:クチート、ルンパッパ 後発:ペリッパー、カプ・コケコ

選出例その2(メガバンギ入り)
先発:クチート、ガマゲロゲ 後発:ペリッパー、ルンパッパ

キーパーツ
ペリッパー、ルンパッパ、クチート(メガシンカ前含む)、カプ・コケコ、ガマゲロゲ

いわゆる不利対面ですが、これはお互いにセオリーを知っている場合の話であり、練度によってはあっさり決着が着いてしまうこともあります。

キーパーツの多さからも分かる通り、この対面はサイクル戦を中心とするコントロール的なゲームになります。こちらの負けパターンは以下のようになります。

  1. 砂下ドリュウズ
  2. ボーマンダもしくはバンギラスに殴り負ける

一方でこちらの勝ちパターンは、

  1. 雨下で天候エースを通す
  2. クチート+αで縛りを作る

最初はお互いに相手の天候エースを咎めながら自分の天候エースを通すという勝ち筋を目指すように見えます。

するとリザドランのようにすいすい1体分こちらのリソースが多いようにも見えますが、砂パはバンギラスとかいう化け物に加えてキノガッサやテッカグヤを無理なく採用出来るので、どうしても相性差で押し切られやすいです。

加えて砂パ側は追い風+ドリュウズの選択肢もあるため、よっぽど有利な状況でない限りこちらから勝負を仕掛けに行く必要があります。

こちら側の取れる選択としては威嚇と猫騙しで遅延しながら雨を降らせてエースを通しに行くのが一般的、砂パ側はバンギラスを着地させるのが主な勝ち筋となります。
ですが、バンギラスを交代出しするのは意外とリスクが大きく、逆にこちらもペリッパーを投げて天候を書き換えると後手に回りやすいため、ボルトチェンジや猫+雨乞いのように出来るだけ損をせずに天候を取り合えるようにします。

そして大抵は砂パ側もそのことを分かっているためバンギラスを後ろに構えてドリュウズを天候無しで殴らせてきたり、ボーマンダで威嚇を連打しながらサイクル戦を仕掛けてきたり等、バンギラスによる詰めを目指してくる場合が多いです。

一方でこちらも猫騙し、ボルトチェンジ、雨乞いにより繋ぎの役割を担っているルンパコケコゲロゲがそのまま天候エースなので、とりあえず彼らを前に出して①の勝ち方を見せて相手が決定打を放てないよう立ち回り、最終的にはクチートの不意打ちから有利不利を逆転するという、②の勝ち方を主に目指していきます。

ペリッパーを変換するタイミングがシビアかつ、そもそも詰め以外は天候に頼らず殴るプランを目指す場合が多いため、①と②を状況によって切り替える練習が必要になる等、プレイングがとても難解な対面です

特に3on3になってからの立ち回りは択が多すぎて、後で試合を見返すとお互いに間違ったプレイをしてそのまま勝負が着いている、なんてことも日常茶飯事でした。

エルテラリザードン-微不利~微有利

選出例
先発:ペリッパー、ガマゲロゲ 後発:ルンパッパ、カプ・コケコ

キーパーツ
ガマゲロゲ、カプ・コケコ

日本晴れがある場合は微不利、なければ微有利です。とにかく追い風+叩きをさせないように立ち回ります。

こちらも追い風を撃って同速で立ち回るのもそうですが、何らかの形でテラキオンを縛り続ける必要があるため、そこを意識しながら選出を決めていかなくてはなりません。

またエルフーンの日本晴れの有り無しでその後のプレイングが変化します。

まずはない場合ですが、この時はギリギリまでエルフーンを放置しながら隣を殴り続けます。基本的にテラキオンが倒れた後は追い風噓泣きアンコールを撃つだけのポケモンなので、横に並んでいる時間が長いほどアドバンテージを取れます。

次にエルフーンが日本晴れを持っている場合について。これはほぼ確実に日本晴れ+ペリッパーに岩Zを打たれますし、実際それで詰みと解説されることも多い対面です。

しかし重要なのはこのタイミングではまだ叩きも追い風も入っていないこと。叩きパは他構築と同様日本晴れが全体の動きと嚙み合っていないため、雨乞いさえ持っておけば実は大して不味い状況ではありません。

そしてリザードンを残した状態で2on2に持ち込めば日本晴れがない場合と同じ状況に持ち込めるため、冷静にコケコとルンパッパで遅延しながら雨乞いでリカバリーを狙いに行きましょう。

ツボラキ-不利

選出例
先発:クチート、ガマゲロゲ 後発:ルンパッパ、カプコケコ

キーパーツ
岩雪崩、猫騙し

避けて。

雨パ-微不利~微有利

選出例その1(ルンパッパ入り)
先発:ペリッパー、ナットレイ  後発:ルンパッパ、クチート

選出例その2(ルンパッパなし)
先発:ペリッパー、ナットレイ 後発:ルンパッパ、ガマゲロゲ

キーパーツ
ルンパッパ、ナットレイ

こちらは雨を降らせない選択肢が無いため、ペリナットからひたすら殴ります。相手のすいすいとペリナットどちらかで1:1交換するのが理想的ですが、駄目そうならクチートかガマゲロゲで挑みましょう。

一応同型と言うことでほぼ五分ですが、たまに相性差が出る場合があります。

不利になるのはスタンパと雨パーツが半々位で同居している構築との対面で、メガメタグロスやルンパッパが雨にタダ乗りしてくるため、これはこれできついです。

ただ、すいすい+あめふらしが2枠だけのようなスタン寄りの構築なら逆に有利になるため、そこそこの偏りを持った型だと微不利、同型なら五分、スタン型なら微有利となります。

総括

仲間大会 最終レート1599 3位
USUMダブルレート シーズン16 最終レート1941 1位

以上がシーズン16で私の使用した雨パーティの紹介となります。最初の方で書きましたが、この構築が1位を取った以外にも限界雨パを改良した構築も3位に入っており、上位層で雨パがほぼ絶滅していたことを考えると相当な勝ち組構築ではなかったのでしょうか。

第6~7世代の雨パはメタゲームの隙をついて強いプレイヤーが使用して勝ち上がる、いわば「使う人が強い」構築のような扱いを受けることが珍しくありません。また湿った岩入りの雨パについても一部の物好きが勝率に拘らず使用しているという印象を持っている人は多いと思います。

しかし今回の記事で、湿った岩入りの雨パがUSUM環境内でもずば抜けた構築の強度と選択肢の多様性を併せ持つ、非常に強力な構築であるということ示せたはずです。

私自身この構築がこの環境で一番強いと考えていますし、なにより他の雨パを使った方もそうかもしれませんが、晴れ・砂・スイッチスタン、その他ありとあらゆるメタを越えて勝つ力があると本気で信じているからこそ、この終盤のレーティングバトルで雨パを使用するに至りました。

もうすぐインターネットを通じたフリー対戦も終わりを迎え、本格的に対戦環境と言うのが風化していくのは仕方ないとはいえ寂しいものがあります。

ですがこの記事をきっかけに、環境外であるために当時雨パを手に取らなかった方が「USUM環境の雨パって実は強かったのかな?」とか「案外良い構築だったんじゃないかな」とか、少しでも思ってくれたら嬉しいです。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

余談

完全に個人的な話題ですが、USUM期を通して対戦のモチベーションを支えてくださったうえすとさん、あかつきさん、シャングリラさん、その他大勢の方々にこの場を借りてお礼申し上げます。

私が楽しくこのポケモンというゲームを遊ぶ事ができたのは、皆さんのおかげです。本当にありがとうございました。

またどこかで遊べる機会があったら、その時はまた対戦よろしくお願いします。

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この記事を書いた人

3DS時代の亡霊です。トリックルームと天候パが好き。

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