【コラム】ポケモン対戦や大会配信をもっと楽しめる!ポケモンの対戦実況でよく使われる英語のフレーズを紹介するよ!




目次

はじめに

先日寄稿した「ポケモンの英語名」についての記事に続き、今回も英語についての話題を提供します。

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簡単に自己紹介すると、筆者は小学生の時にポケモン・ブームの真っただ中にいた初代世代で、「ポケモン言えるかな?」を熱唱しながら下校していました。

成人後、「対戦用ポケモンを育成するために、コラッタやキャタピーを百匹以上倒す必要がない」ことなど、育成環境が昔より整っていると知り、「ウルトラサン・ムーン」発売後に第七世代の対戦をやり始めました。

同時にその頃から、英語で行われる海外大会の配信や過去世代の大会動画、実況動画を視聴し始めました。この記事では、その中で触れてきた英語の表現を紹介します。

より具体的には対戦勢が使う独特のスラングや状況を説明する表現、放送を盛り上げるフレーズを紹介します。

取り上げるにあたり、技名や特性などの英語版ゲーム本編や各種ウェブサイトを見れば分かる公式の用語は避けました。

この記事の主な目的は、英語で行われるポケモン対戦の配信や動画の視聴をより楽しめるようになることです。加えて、海外プレイヤーとのコミュニケーションや情報収集にも役立つ情報を書きました。

読者のみなさまのポケモンの楽しみ方を広げるお手伝いができれば幸いです。

ポケモン対戦実況でよく使われる表現20選

“lead”

意味:初手
例文:”Player A chose Kyogre-Rillaboom leads.”
和訳:A選手はカイオーガとゴリランダーを初手に選びました。

“lead”は「先頭に立つ」などの意味を持ちます。例えば、野球の1番打者も”lead off”(リード・オフ)と呼びます。

“outspeed”

意味:(~の素早さを)上回っている
例文:”It is the key if Regieleki outspeeds Choice Scarf Kyogre at this point.”
和訳:この場面ではレジエレキが、こだわりスカーフを持ったカイオーガのすばやさを上回っているかどうかが重要です。

ポケモン対戦において先に行動できることの重要性は、語るまでもないでしょう。

プレイヤーが選択を行っている場面でよく使われています。

“speed control”

意味:素早さ操作
例文:”The team has the two types of speed control; Tailwind and Trick Room.”
和訳:その構築には「おいかぜ」と「トリックルーム」、2種類の素早さ操作が入っています。

先に行動できるようにするために、素早さ操作を行うことも重要ですね。

よく使われる表現の一つです。

“hang on”, “hold on”

意味:(相手の攻撃を)耐える
例文:”Groudon holds on with just one HP!”
和訳:グラードンがHP1だけ残して攻撃を耐えた!

倒されるかどうか予測しづらい攻撃を耐えて、ポケモンが「ひんし」にならなかった時に使います。

これもよく使われる表現の一つ。

“knock out”

意味:倒す、「ひんし」にする
例文:”Urshifu used Surging Strikes and knocked out Incineroar.”
和訳:ウーラオスがガオガエンを「すいりゅうれんだ」で倒しました。

こちらもよく使われる表現の一つ。

“slot”

意味:位置、方向
例文:”Heatran fires Earth Power to the Tapu Koko slot.”
和訳:ヒードランが「だいちのちから」をカプ・コケコに向けて打ちました。

ダブルバトルの左右の位置を表す表現です。

“set”, “move set”

意味:技構成
例文:”What an interesting set on Tapu Fini!”
和訳:カプ・レヒレの技構成、面白いですね。

“set”は、ここでは「組み合わせ」「一式」といった意味です。日本語でも「セットメニュー」などの表現で使われます。

“free switch”

意味:場に出せるポケモンを自由に選ぶこと
例文:”Player A can make a free switch at this point since Incineroar used Parting Shot.”
和訳:ガオガエンが「すてゼリフ」を使ったので、A選手はここで場に出すポケモンを自由に選べます。

味方が「ひんし」になったときや「とんぼがえり」「すてゼリフ」などの技を使った後の、場に出せるポケモンを自由に選べる状況で使います。

“phenomenal(dominant, commanding) position”

意味:有利な状況にいる、有利な立場に立つ
例文:”Player A is in a phenomenal position.”
和訳:A選手がとても有利な立場に立っています。

公式大会の配信でよく実況・解説を務めているアーロン・ゼン(Aaron Zheng)氏がよく使っている表現です。有利不利が一気に傾いた直後に使っているので、スポーツ実況全般で使える表現かもしれません。

似たような表現で“dominant position””commanding position”も使います。“dominant”(支配している)“commanding”(命令できる)からは「場を掌握している」というニュアンスが感じられます。

不利側のプレイヤーの選択肢が極めて限られている状況をうまく形容しています。

“read”, “call”

意味:読み
例文:”He made a nice call!”
和訳:彼の鋭い読みが出ました!

“good call”, “What a read!”, “nice read”などが同様の表現としてよく使われます

プレイヤーが相手の選択を読み切り、試合に優位に運んだプレイングをしたときに使われます。

“take the field”

意味:場に出る
例文:”Regieleki takes the field.”
和訳:レジエレキが場に出ました。

こちらもよく使われる表現の一つ。ポケモンが場に出なければバトルは始まらない。

“double target”

意味:集中攻撃
例文:”Player A knocked out Amoonguss by double targeting in the first turn!”
和訳:A選手が最初のターンの集中攻撃で、モロバレルを倒しました!

ダブルバトルで、2体からの攻撃が1匹に集中している場面で使われる表現。

トリプルバトルなら”triple target”と言う方が適切かもしれませんね。

“hefty”

意味:重い
例文:”Snorlax looks so hefty for Player A’s team.”
和訳:A選手のチームは、カビゴンがとても重いように見えます。

対戦プレイヤーがよく使う「重い」に相当する表現。

「重い」は日本の対戦プレイヤーの間で使われるスラングで「チーム構成上、不利なポケモン」という意味です。

“hefty”は口語で使う単語で、「(相手をするのに)骨が折れる」などの意味を持ちます。

“bulky”

意味:耐久力が高い、かたい
例文:”The bulky Zacian was the key of this match.”
和訳:この試合で重要だったのは、耐久の高い(耐久に基礎ポイントを振った)ザシアンでした。

耐久力が高いポケモンを指す表現で、日本の対戦プレイヤーの間で使われるスラングの「かたい」に相当します。

“bulky”は「(体が)頑健な」などの意味を持つ単語。

ポケモンの「バルキー」や技の「ビルドアップ(英語では”bulk up”)」にも関係があります。

“clutch”

意味:重要、転換点
例文:”This is absolutely clutch!”
和訳:これは試合を決定づけます!

試合の行方を左右するような要素について、話題にしている時に使われています。

“team composition”

意味:構築、チーム構成
例文:”This team composition is so unique.”
和訳:この構築は非常にユニークです。

プレイヤーの間で使われる「構築」に相当する表現です。

“chipped damage”

意味:少ない(わずかな)ダメージ
例文:”Rillaboom used Grassy Glide and made a chipped damage to Eternatus.”
和訳:ゴリランダーがグラススライダーを撃って、ムゲンダイナに少ないダメージを与えました。

“chipped”は「欠けた」「細かく切った」などの意味を持ちます。

この単語を使うことで「大きなダメージは与えられていない」というニュアンスを伝えています。

“punish a passive play”

意味:受け身のプレイングをとがめられる
例文:”Player A was punished for his passive play by massive damages.”
和訳:A選手は大きなダメージで受け身のプレイングをとがめられた。

“punish”には「罰する」「とがめる」という意味があります。

“down to the wire”

意味:ギリギリの、ハラハラする
例文:”What the heck! That was a down to the wire finish!”
和訳:なんということでしょう! ギリギリの決着でした!

最後まで勝負の行方が分からないような状況で使う表現です。

“capitalize”

意味:(状況を)生かす、活用する
例文:”Player A needs to capitalize the rest of Trick Room turn.”
和訳:A選手は残りのトリックルーム状態のターンを生かさないといけないですね。

トリックルーム状態のターンが残っているうちに、すばやさの低いエースポケモンで攻め切りたい」「晴れ状態が続いているうちに、ほのおタイプの技で攻めてダメージを稼ぎたい」といった状況で使います。

WCS決勝で使われた印象的なフレーズ3選

ここからは、WCS(ポケモンワールドチャンピオンシップス:年に一度開催されてきた公式の世界大会)決勝での実況の中から、印象的なフレーズを紹介します。

取り上げるいずれの年も日本人プレイヤーが優勝した年なので、記憶に残っている方もいるかもしれません。

WCS2015決勝

“This is the most insane play (that) I have seen.”
意訳:「私が今まで見た中で一番ヤバい立ち回りですね」
対戦カード:Shoma Honami選手(日本)対Hideyuki Taida選手(日本)

WCS2015決勝2戦目の3ターン目。

Taida選手がギルガルドの「かげうち」とメガガルーラの「グロウパンチ」の集中攻撃で、Honami選手のヒードランを行動させずに倒した場面で実況されていたフレーズです。

このターンは以下のような状況でした。

  • Taida選手のメガガルーラよりHonami選手のメガガルーラの方が素早さが高い上に、「けたぐり」で大きなダメージを与えられる。
  • Honami選手のヒードランがTaida選手のギルガルドにほのおタイプの技で圧力をかけている。

以上の2点を踏まえると、HP満タンのヒードランが倒されることはないように見えました

そのような状況での、起死回生の一手でした。

ギルガルドの「かげうち」のダメージが加わってはじめて、メガガルーラの「グロウパンチ」でヒードランを倒し切れたように見えるのも興奮度が高い点です。

25分15秒から再生されます(実際に実況された部分が流れます)

WCS2017決勝

“Ryota Otsubo, this turn, proving that 2016 was a fluke. Japan is back!”
意訳:「Ryota Otsuboがこのターンに、2016年の結果が偶然だということを示しました。日本の強さが戻ってきました!」
対戦カード:Ryota Otsubo選手(日本)対Sam Pandelis選手(オーストラリア)

優勝決定の瞬間に実況されていたフレーズ。“fluke”は「偶然の出来事・不測の事態」を意味します。

この発言には伏線があり、前年のWCS2016で日本人プレーヤーが一人もトップ8に残れなかったことを踏まえています。

41分05秒から再生されます(実際に実況された部分が流れます)

WCS2019決勝

“(It was)so so close to knock out Groudon!”
意訳:「グラードンを倒すまで本当に、本当にあと少しでした!」
対戦カード:Naoto Mizobuchi選手(日本)対Hirofumi Kimura選手(日本)

第2戦の8ターン目。

Mizobuchi選手のゲンシグラードンに撃ったKimura選手のウルトラネクロズマの「だいちのちから」が急所にあたり、HP満タンのゲンシグラードンが大きくHPを削られた場面。

ゲンシグラードンが倒されていれば、Kimura選手のウルトラネクロズマが生存していたので、結果は変わっていたかもしれません。

31分05秒から再生されます(実際に実況された部分が流れます)

まとめ

ポケモン対戦配信で使われる、状況を説明する表現や放送を盛り上げる表現を紹介してきました。

見始めたきっかけは構築のヒントを得るためでしたが、レート戦を離れた今でもスポーツ観戦と同様の感覚で今でもPlayers Cup(近年開催されている公式大会)などの大会を視聴しています。

執筆中、公式放送で実況・解説を務めている方々の言葉選びの巧みさに、改めて感心しました。

これまで何が起こっていたか」「今どのような状況か」「これから何が起きそうか」の3点に的確に言及し、配信を魅力的にしている姿には敬意を表したいです。

ポケモン対戦視聴や情報収集、海外プレーヤーとのコミュニケーションなどに、この記事を役立ててもらえれば幸いです。

対戦配信が視聴できるリンク集

“Players Cup”などの公式大会の放送が視聴できます。

 

表現解説の項で言及した、WCS2013 でトップ4に入った実績を持ち、公式大会の実況・解説を務めている方です。

ゼン氏のチャンネルは定期的にソード・シールドのランクマッチの対戦実況動画を更新しています。

ポケモン対戦中の素の反応や構築の強みの説明などに触れることができます。ナチュラル・スピードのアメリカ英語に触れたい方にもオススメ。

聴き取れないフレーズはYouTubeの字幕を自動生成する機能で確認できます。

ポケモン名などの固有名詞を除けば、自動生成でもほぼ正確な英文を表示してくれるので理解の助けになります。

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この記事を書いた人

小学一年生のときにポケモン・ブームの真っ只中にいた初代世代。
好きな対戦ルールは7世代GS。
野生のぺラップによると、ライターをしているらしい。

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