はじめに
アローラ。カルフールと申します。
違う言語のソフトとの通信交換・対戦はもはや当たり前になって久しいですが、違う言語のポケモンを連れてきて進化させたり、通信交換で入手したタマゴを孵化したり、「ふしぎなおくりもの」を受信した時の言語回りの仕様は、DSおよび3DS作品以前とSwitch作品以降では大きく異なります。
2024年8月に寄稿した「【改造ではない】複数言語間でポケモンを孵化・交換・進化した時、配信ポケモン受信時のデフォルト名の変化の仕様についての注意」では、具体例を交えつつ3つの事例を紹介しました。
- 違う言語のポケモンを進化させた場合
- 違う言語のソフトからタマゴを通信交換で受け取り孵化した場合
- 「ふしぎなおくりもの」の言語設定
本記事は、前回の記事では説明しきれなかった内容を補足するものです。本記事だけを読んでも問題ないですが、前の記事で触れた内容は簡単に紹介するだけにとどめてあります。前回の記事の内容をある程度把握していると、より一層理解しやすくなるかと思います。
- 日本語版で受け取ったタマゴをフランス語で孵化した場合
- TNが言語毎に変化する配信ポケモン
- ゲームではプレイできないが入力可能な言語の名前をつける方法
の3点を補足したいと思います。
なお、いうまでもないことですが、本記事で紹介するポケモンは全て正規の方法で入手したポケモンであり、親名などの表記が変な風になることがありますが、それらは総てゲーム内の挙動に基づくものです。また、本記事では、特に断りがない限り、ゲームの画面は日本語もしくはフランス語のものを使用しております。
違う言語間で交換して孵化・進化するとき
違う言語で捕まえたポケモンを連れてきて進化したり、違う言語の育てやから受け取ったタマゴを孵化させたときの種族名表記の仕様についての紹介です。詳細は前回の記事を御覧ください。
日本語で受け取ったタマゴをフランス語(半角英数字)で孵化した場合
前回の記事ではフランス語で受け取ったタマゴを日本語で孵化した事例を紹介しましたが、逆に日本語で受け取ったタマゴをフランス語で孵化した場合はどうなるでしょうか。
第7世代までは、ポケモンの言語はタマゴを受け取った言語に依存する為、日本語で受け取った場合は、どの言語で孵化しても日本語扱いになります。そのため、親の言語が欧州言語(半角英数字)なのに日本語扱い、親名が日本語なのに欧州言語扱い、親が日本語なのに韓国語扱い、など言語が混ざったポケモンをタマゴで孵化することができます。
一方で、親の言語が異なる(写真はフランス語)場合は、親の言語に応じたニックネーム(以下、NN)をつけることが可能です。
このルカリオは、日本語のソフトでタマゴを受け取ったために設定言語は日本語ですが、フランス語版で孵化したため、親の言語はフランス語になっています。そのため、フランス語の文字(半角アルファベット)でNNをつけることができます。
※JAPはフランス語のJaponais(日本語)のことです。英語だと良くない意味になりますが、フランス語の場合はそのような変な意味はありません。
違う言語に連れてきて進化する時【応用編】全角半角混合ニックネーム
3DS作品まではデフォルト名の変化はポケモンの設定言語ではなく、進化させたソフトの言語に依存します。そのため、英語版で捕まえたピカチュウ(Pikachu)を、日本語版に連れてきて進化させると、3DS作品までは名前が「ライチュウ」に変化しますが、設定言語は日本語のままで変わりません。Switchではどの言語のソフトで進化させても捕まえたソフトの言語に依存し「Raichu」に変化します。
また、第六世代ではNNを入力するときに現在つけているNNを表示できます。この仕様をうまくつかうと、欧州言語のソフトで入手したポケモンを、日本語のソフトで進化させた場合に、カタカナと半角英数の混ざったNNをつけることができます。これは第六世代限定の仕様で、他の世代の作品では再現できません。
- 欧州言語で入手する
- 日本語で進化させる
- 最初に入手したソフトでNNをつける
という手順です。
第六世代当時からこの仕様は知られておりました。そのため、インターネットを検索すれば詳しい手順を解説するブログ記事等が多数見つかるかと思いますが、簡単に紹介いたします。
フランス語版で孵化して日本語版で進化させたビビヨン
名前が「ビビヨン」になっている
現在の「ビビヨン」の代わりに別のNNをつけることを提案
空欄になるが、ポケモンのアイコンを押すと、「現在つけているNN」が表示されるため、「ビビヨン」と表示される。
「ビビヨン」に続けて半角英数字を入力可能となりNNを「ビビヨンSolLevan」に変更できる
別のビビヨンのNNを「ビビヨンSable」に変更
手持ちではこのように表示されます
それぞれのNNは、ビビヨン(仏語名Prismillion[プリズミヨン])のフランス語版での模様の名前を踏まえています。ちなみに、フランス語のプリズミヨンは「プリズム[Prisme]の蝶[Papillion]」となっていて、日本語や英語とは名前が異なっています。
オーシャンのもよう Motif Soleil Levant(朝日の模様)。フランス語では海(océan/)ではなく日が昇る姿を示しているらしい。ちなみに フランス語で日本のことを«Le pays du Soleil Levant»(日出る国)と表現することがありますが、この模様のビビヨンは地域設定日本の3DSでは入手できず、ハワイもしくはフランスのレユニオン島の3DSだとゲーム内で入手可能です。
さじんのもよう Motif Sable(砂まみれの模様)
ゲーム内では先ほどのビビヨンはこんな風に表示されます。日本語と半角英数字が混じっているため、一見怪しいです正規の方法で入手できるポケモンです
オーシャンもよう(Motif Soleil Levantあさひもよう)は字数の関係で省略しました
「ふしぎなおくりもの」の配信ポケモンの親名が固定されない事例
「ふしぎなおくりもの」で受け取った配信ポケモンは、(1)親名が固定されている場合と、(2)受信した言語毎に親名が変化するポケモンの2種類がいる、と前回の記事で紹介しました。基本的には親名が変化せず固定となっている場合が多いです。そして、親名が固定されているポケモンでは、3DS作品の場合は受信したソフトの言語に変化し、親名の言語とポケモンの言語が異なる場合があります。一方、Switch作品ではそのポケモン毎に設定されている言語に固定されるため、そのようなズレはおきません。親名が固定される場合の詳細は、前回の記事をご覧ください。
しかし、一部のポケモンは、受信するソフトの言語によって親の名前の表記(言語)が変化します。ここでは親名が変化する配信ポケモンを紹介したいと思います。
Switch作品では、公式大会などのイベントなど、何かの記念配布となるポケモンのうち、「世界チャンピオンのポケモン、日本チャンピオンのポケモン」のような、特定の親名が想定される場合で無い時や、剣盾以降のアニメ連動企画では親名が受信するソフトの言語に応じて変化するようです。
第六・第七世代(3DS作品)の場合
2018年に日本国外(北米版および欧州版3DSが販売されている地域)で配信された”2018 Legends”のポケモンは、受信するソフトの言語に応じて親名が変化しております。
ボルトロス(イタリア語)はTNがLeggende2018になっています。なお、ボルトロスはフランス語では「Fulguri」(フュルギュリ)と呼びます。
ジガルデ(英語)はTN 「2018Legends」になっています。
英日韓中では「2018 Legends」 仏では「Légendes2018」、独では「Legenden2018」、
伊では「Leggende2018」、西では「Leyendas2018」のように、受信する言語によって親の名前が異なるようです。
Switch作品の場合
Switch作品では3DS時代とは異なり、親名の表記が固定されているポケモンは、どの言語で受信しても言語は固定されたままとなります。そして、配信ポケモンのうち、親名が固定されている場合が大半でした。しかし、アニポケ連動企画や、公式大会の参加賞として貰えるポケモンなど、一部のポケモンについては受信する言語によって、親名の表記や種族名の表記が異なることがあります。
例1 リコのニャオハ
リコは、日、中、韓、欧州言語で表記が異なります。
上から、日本語、フランス語、中国語、韓国語の「リコのニャオハ」親名がそれぞれの言語で異なっていることが分かると思います。欧州言語は全てLikoで統一されていますため、英独伊西は割愛します。
例2 ロイのホゲータ
リコとは異なり、ロイは、日、英伊、仏、独、西、中、韓で異なるらしく、名前の文字が同じなのは英語とイタリア語のみで、後の欧州言語では微妙に綴りが異なっています。
上から、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、中国語繁体字のホゲータ。親名はそれぞれ日「ロイ」仏「Rhode」独「Rod」西「Rory」英伊「Roy」中「羅伊」「罗伊」韓「로드」と、言語毎に異なっている。
例3 ドットのクワッス
ドットは、イタリア語のみDotiで微妙に綴りが異なりますが、他の欧州言語ではDotで共通となっています。
上から、日本語、フランス語、スペイン語、中国語繁体字、中国語簡体字の「トッドのクワッス」で、親名が「ドット」「Dot」「Doti」「小點」「点点」となっている。
アニポケでは言語によって登場人物の名前が異なる場合があり、その時は親名も言語毎に異なります。
例4 世界大会のビクティニ
WCS2022開催を記念して配信されたビクティニは親名が配信データを受け取った言語毎に異なっています。日本語では親名が「ビクトリー」になっているように、それぞれ「勝者」の意味になる親名になっております。
上から、日本語、中国語繁体字、中国語簡体字、英語、韓国語のビクティニ。
どれも親名が異なっているのがわかる。
この他、剣盾末期に配信された色違いのザシアン・ザマゼンタ・ムゲンダイナ、色違いのガラル三鳥、SVで配信された「よあそびのパーモット」、「スター団のプロローム」なども親名が受信する言語毎に異なっておりました。ただし、分量が多くなりすぎるので割愛いたします。
配信ポケモンは、(1)親名が固定されているポケモン(2)親名が受信した言語毎に変化するポケモン の2種類があると述べ、前回は(1)を中心に紹介し、今回は(2)を紹介しましたが、親名固定の方が基本で、親名変化はあくまで一部のポケモンだけの例外的な内容になっています。
ゲームでプレイできない言語表記のポケモン
第九世代まではポケモンのゲームが対応しているのは9言語となっていますが、Nintendo Switchには入力可能な言語はそれよりも多く、ロシア語とオランダ語も含まれています。また、記号としてギリシャ文字も入力することができます。
そのため、Switch作品では、キリル文字(ロシア語)やオランダ語、ギリシャ語も入力できるようになりました。そのため、キリル文字のNNや主人公名にすることもできます。
ロシア語(キリル文字のポケモン)
文字入力のロシア語選択画面。欧州言語(英仏独伊西)では、入力言語を選択可能で、5言語以外にもロシア語やオランダ語でも入力できる。
ロシア語で「火山」という名前のファイヤー(合っているはず)
ギリシャ文字のポケモン
ギリシャ文字で「ポセイドン」という名前のカイオーガ(合っているはず)
剣盾にて、エンニュート(仏:Malamandre)にNNをつけるときのギリシャ文字入力場面
ロシア語のTN
ポケモンのNNだけでなく、主人公の名前に使うことももちろんできます。
私は残念ながらロシア語の読み書きはできませんが、主人公の名前を「レフ・トルストイ(Лев Толстой)」にしてみました。
入学許可証の名前はЛев Толстой(設定言語はフランス語)
このように欧州言語で遊んでいる場合はロシア語の名前にすることができます。ただ、ランクマッチで名前がキリル文字やギリシャ文字になっている人を見る機会は残念ながらありません。
おわりに
言語回りの仕様だけでも、世代を経るごとに相当変化しております。とくにDS/3DS作品と、Switch作品との間の断絶は非常に大きいです。本記事および前記事で紹介したのは、言語回りのほんの一部で、他にも紹介できていない仕様(そして筆者も把握していない仕様)が沢山あるかと思います。
Switchからポケモンを始めたり、再開したりした方で、第七世代以前の外国語版ポケモンの知識が無い場合は、正規のポケモンであるにも関わらず改造であるかと疑ってしまったり、混乱してしまうこともあるかもしれません。また、DSや3DSの作品を現役で遊んでいても、この辺りに詳しくないかたもいらっしゃるかも知れません。しかし、これらはゲームの仕様であり、この記事で紹介したポケモンは全て正規の方法で入手可能なものです。
残念ながら、GTSでミラクル交換などで改造ポケモンを掴まされた経験を持つ方も多いと思います(筆者もあります)。
本記事および前回の記事が、他の人からポケモンを交換で貰ったり、中古のDS/3DS作品を購入した時に、外国語版のポケモンを見て、改造か否かを適切に判断できる一助となれば幸いです。
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