ポケモンは同じ種族値、同じ性格、同じレベルでも個体ごとにそれぞれステータスが異なっています。
この差は通称「個体値」と呼ばれる隠しパラメータによって生まれ、ポケモンを最大限に強くしたい場合はこの個体値が高いポケモンを捕まえる、もしくは「すごいとっくん(※後述)」によりステータスを矯正する必要があります。
しかし、この個体値は隠し要素であり、実際のゲーム画面で直接確認できるわけではなく、普通にプレイしているだけでは非常に分かり辛いです。
ポケモンの性格や努力値と同じくストーリーをクリアするだけならあまり気にしなくても良い要素になりますが、「ランクマッチで上位に行きたい」「友達とのバトルでどうしても勝ちたい」等、対戦面を意識しポケモンを最大限に強く育てたい場合は重要な要素になります。
この記事ではポケモンの個体値について詳しく解説します。是非参考にして頂けましたら幸いです。
個体値とは?
個体値とは、ポケモンの能力値を算出するために用いられている隠しパラメータのひとつで、個体値を一言で説明すると「ポケモンの才能」に当たります。
私たち人間も、同じ年齢で同じ教育や訓練を受けても人それぞれ能力に差が出るように、ポケモンも同条件の同じ種族でも個体ごとに攻撃が高かったり素早さが高かったりとそれぞれステータスが異なります。
個体値は先天性のもので、このパラメータがレベル上げやアイテムによって変更される事はありません。ポケモンとエンカウントした時、または「タマゴ」を受け取った時に決定されます。(金銀までと、ポケモンGOは、0~15) なお、レジェンズアルセウスには個体値はありません。
海外ではIndividual values、略してIVまたはIVsと呼ばれ、海外のポケモンプレイヤーの構築記事ではよく見かける事ができます。
また、個体値は公式用語ではなく、公式攻略本等では「生まれつきのつよさ」という表現をされています。
(裏話になりますが、公式の放送に出演する際は「個体値」「努力値」「種族値」はNGワードになり、言葉にするのを禁じられます)
個体値による対戦面での影響
個体値によるステータスの差はレベルが高くなるほど大きくなり、レベル50時で15、100の時で31も実数値に差がでます。
例えばレベル50の全個体値31のピカチュウと全個体値0のピカチュウの実数値は下記のようになります。
ポケモン | HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ |
---|---|---|---|---|---|---|
全個体値31 | 110 | 75 | 60 | 70 | 70 | 110 |
全個体値0 | 95 | 60 | 45 | 55 | 55 | 95 |
上記ピカチュウは性格無補正、努力値無振りで計算しています。
性格と努力値については下記記事もご参考ください。
無論、ポケモン対戦では基本的にポケモンの能力が高いほど有利になるため、その能力に関わる個体値は必然的に重要になり、マスターボール級のランクマッチなどのガチ対戦の場では、殆どのプレイヤーが理想の個体値のポケモンを使ってきます。
昔からポケモン対戦プレイヤーは高い個体値のポケモンを追い求め、何度も伝説ポケモンの前でリセットを繰り返したり、孵化作業をし続けたりするという奇行を繰り返す傾向があます。
その様からポケモン廃人と呼ばれたりします。
個体値の見方・確認方法
個体値は隠し要素なので、明確な数値をゲーム上で見る事ができません。しかし、「ジャッジ」や「個性」などから大まかな数値を確認することは可能です。
ジャッジ機能から見る大まかな個体値情報
ゲーム内では「ジャッジ」と呼ばれる機能により、自分のポケモンの大まかな個体値を知ることが可能です。
ポケモン剣盾ではバトルタワーを勝ち抜きランク4になるとボックスのジャッジ機能解放されます。
また、ポケモンHOMEのプレミアムプランに加入するとジャッジ機能が付いています。
ポケモンHOMEの画面で説明すると、各ステータスの「さいこう」「きたえた!」と表示されている項目で大体の個体値を確認可能です。各評価と個体値は下記の表通りです。
評価 | 個体値 |
---|---|
さいこう | 31(V) |
すばらしい | 30(U) |
すごくいい | 26~29 |
かなりいい | 16~25 |
まぁまぁ | 1~15 |
ダメかも | 0(逆V) |
きたえた! | すごいとっくんで「さいこう」と同じ数値に鍛えた状態 |
個性から見る大まかな個体値情報
個性は、各ステータスのうち最も個体値の高い能力によって決められており、その個体値を5で割った余りで決定されます。
個性はかなりざっくりと個体値を絞り込むことしかできないので、「下記表にある個性だとその箇所は個体値31(V)の可能性がある」とだけ覚えておきましょう。
個性 | 内容 |
---|---|
ひるねをよくする | HPがVの可能性がある |
あばれることがすき | 攻撃がVの可能性がある |
うたれづよい | 防御がVの可能性がある |
イタズラがすき | 特攻がVの可能性がある |
ちょっぴりみえっぱり | 特防がVの可能性がある |
ものおとにびんかん | 素早さがVの可能性がある |
個体値の厳選方法
ここでは個体値の高いポケモンを厳選する方法を解説します。
親ポケモンから個体値を遺伝させる(孵化厳選)
最もメジャーな方法で、「孵化厳選」と呼ばれる方法です。
やり方を簡単に説明すると下記のステップ通りです。
まず最初は野生で乱獲したり孵化を繰り返したりし、どこかのステータスがVの個体値のポケモンを手に入れましょう。最初は運で手に入れるしかありません。
例えばHPがVのポケモンが生まれた場合、「パワーウェイト」でそのVを固定(かならず遺伝する状態)にし、さらに他の個所でもVが出るまで粘りましょう。
あとは繰り返して理想個体まで粘るだけです。性格や特性にもこだわる場合は「かわらずのいし」を持たせて厳選する必要があります。
固定シンボル/伝説ポケモンの前でリセマラ
タマゴを作る事ができない伝説のポケモンは主にこの方法で厳選します。
やり方は至ってシンプルで、固定シンボルポケモンや伝説のポケモンと対戦する直前でセーブし捕獲、ステータスを確認し納得がいくようであればセーブ、納得いかないのであればリセットを繰り返して厳選する方法です。
近年では伝説ポケモンは3V以上である事が多く、特殊型の攻撃逆Vなど最低限必要なだけ厳選してあとは下記の「すごいとっくん」を活用して理想個体を作る方も多いです。
「すごいとっくん」で個体値31と同じ実数値にする
サンムーン(第7世代)からレベル100にしたポケモンは「きんのおうかん」「ぎんのおうかん」というアイテムを使って
個体値を31と同じ実数値にしてくれる「すごいとっくん」というシステムが追加されました。
これにより、孵化のできない伝説ポケモンでも理想個体を用意する事ができるようになったり、最初に貰った思い出のポケモンを理想個体にできたりと、理想個体を手に入れるハードルが格段と下がりました。
ただし「実際の個体値は変わっておらず子供には遺伝しない」「個体値を下げる事は出来ない」という点には注意しましょう。
対戦で個体値V(31)以外が有効な場面
原則として個体値は高い方が対戦では有利なのですが、一部例外となる場合もあります。
攻撃個体値を下げたほうが良いケース
対戦では多くのポケモンは攻撃か特攻のどちらかしか使いません。逆に使わない攻撃と特攻まで高いとデメリットも発生しますので、使わない攻撃/特攻は可能であれば低い個体値を厳選する事をおすすめします。
特に特殊攻撃主体のポケモンはなるべく攻撃個体値を低く厳選しましょう。特に注意が必要な技は下記になります。
イカサマ
攻撃する側の攻撃ステータスではなく、受ける側の攻撃ステータスでダメージ計算する技です。
物理攻撃主体のポケモンは攻撃ステータスを下げるわけにはいきませんが、特殊攻撃主体のポケモンは攻撃ステータスは使わないので、「イカサマ」対策の為にもなるべく個体値を下げておいた方が良いでしょう。
特に伝説ポケモンは攻撃も特攻もどちらも強い事が多くイカサマも被弾しやすいので、しっかり逆Vを厳選する事をおすすめします。
いばる
第五世代で猛威を振るいまくった技です。相手の攻撃力を2段階上げる代わりに混乱させる技です。
混乱による自傷ダメージは混乱しているポケモンの攻撃力でダメージ計算されるので、いばるで自傷すると通常の自傷ダメージよりも多くダメージをくらってしまいます。
物理攻撃主体のポケモンなら運が良ければ強化された攻撃で相手を殴れますが、特殊攻撃主体だと自分の自傷ダメージが大きくなるだけです。
ちなみにいばるはダブルバトルで混乱対策(しんぴのまもりやラムのみ等)した味方に撃つと攻撃力をお手軽に強化できます。
素早さ個体値を下げたほうが良いケース
素早さ個体値を0で厳選した「最遅調整」など、通常より遅い数値の方が活躍する機会が多ければ個体値を下げて調整する事はよくあります。
トリックルーム
トリックルームは5ターンの間素早さの遅い順から先に行動できるという技です。
トリックルーム前提で考えるのであれば、素早さ個体値0で厳選した方がベターです。
スイッチトリルなど臨機応変にトリックルームを展開するタイプは最遅にしない事も多いです。
メタルバースト
メタルバーストは相手から受けた技を1.5倍のダメージにして返すという技ですが、「カウンター」や「ミラーコート」のように必ず後攻になる技ではなく、先制で技を出してしまうと失敗します。
したがって、積極的にメタルバーストを使うポケモンは素早さを下げる方がベターかもしれません。
隣のポケモンとのコンボ(ダブルバトル)
ダブルバトルでは自分が場に出した2体のポケモンのコンビネーションを考え、隣のポケモンのすぐ後に行動できるように、隣のポケモンより少しだけ素早さを落として調整するといった調整をすることがあります。
特に天候の奪い合いが激しい禁止伝説ありのダブルバトルでは、最遅カイオーガより1だけ遅いクレセリアがトリックルーム下で味方のカイオーガに「スキルスワップ」、カイオーガのあめふらしを再度発動させた直後にカイオーガで「しおふき」といった動きはよく目にしました。
早く倒れてもらうように防御/特防を下げる(最脆調整)
トリックルームなど、特定のエースポケモンが活躍できる状況を作ったら速やかにそのエースポケモンを繰り出したいところですが、交換の際の被弾が怖くてエースポケモンに交換できないといったケースはよく見られます。
こういった状況の場合、場に出ているポケモンが倒れてくれた方がノーリスクで場に繰り出せる(通称:死に出し)ので都合がいいため、あえて防御方面の個体値を下げて倒れやすく育てるケースもあります。
めざめるパワーの威力とタイプ(過去作)
第六世代では技の威力60固定、第八世代では技自体が廃止されてしまいましたが、目覚めるパワーは個体値によって技の威力とタイプが変わる技でした。この技の詳細は省きますが、この技の存在のせいで過去作の目覚めるパワー必須の伝説ポケモンの厳選難易度がえげつなかったと言っても過言ではありません。
おわりに
ポケモンの個体値まで手を出してしまうと貴方はもう立派なポケモントレーナーです。
今でも個体値厳選は大変ですが、昔と比べると格段と楽になりましたので、まだ個体値にこだわっていない方は是非この機会に拘ってガチなポケモンバトルの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
この記事が参考になりましたら幸いです。
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