【ポケモンUSUM・ポケモン剣盾】フランス語でポケモンをプレイしたときに起きたこと【コラム】




目次

はじめに

こんにちは。カルフールと申します。APPDATEには2度目の投稿となります。

今回は、「フランス語でポケモンをプレイしたときに起きたこと」という題で書こうと思います。ご存じのように、2014年発売のポケットモンスターXYより、ゲームを始めるときに設定言語を、日本語を含む7言語(2016年のサン・ムーンからは中国語繁体字、簡体字を加えた9言語)より選ぶことが出来るようになりました。

私は、日本語でメインロムをプレイした後にサブロムではフランス語を選択し、フランス語でのストーリー攻略や対戦などをしていました。

英語版に全く触れずにフランス語のポケモンに触れて、その後に英語版の表記を知った、という経験は、おそらく大半の方がしたことがないかと思います。

読者の中には国際孵化のために日本語以外の言語でプレイしている方もいらっしゃると思いますが、フランス語を使っている方は私の知る限りでは少ないようでした。

また、「外国語≒英語」という印象から、日本国外の言語をすべて「外国語」でまとめて捉えている人もおり、他の言語との違いに触れないのは勿体ない、という印象を持っていました。

そこで今回は、フランス語と他の言語(主に英語)との違いや、戸惑ったことなどを幾つか選んで説明したいと思います。この記事をきっかけにして、他の言語のポケモンについても興味を持っていただければ幸いです。

フランス語を選んだ経緯

大学院に進学して、新作(サン・ムーン)が発売されるとなり、久しぶりにポケモンで遊ぶことにしました。

そして、大学の必修でフランス語を学んでいたこともあり、フランス語に触れる機会を少しでも増やし、語学力の維持をしたいという目的も兼ねて、サブロムはフランス語でやってみようと思いました。

当時の私は、大学院での専門分野の文献はフランス語で読む機会がありましたが、それ以外の分野についてはほとんど触れる機会が無いという状況でした。
そこで、フランス語でプレイすることで専門分野で触れる部分以外の語彙を増やせるのではないかと考えました。

また、フランス語で遊ぶことによってポケモンの世界観を深く知りたいという意図もありました。

日本語から他の言語に翻訳される過程において、どうしても文脈を補う必要が出てきます。
そこて、日本語では曖昧な箇所、不明瞭な箇所があった場合、他の言語に翻訳された時に補足説明がなされたりします。

もちろん、日本語だけでもポケモンのストーリーや世界観は楽しめますが、解釈するための補足として、日本語以外の言語も使えたら便利かな、と考えました。

上記で挙げた理由の中で特に大きいものは「世界観を知りたい」というものです。後述しますが、他の言語に翻訳される過程で意味が加わったり、減ったりする設定があり、これもフランス語や多言語でプレイすることで得られた知見であると感じています。

なお、フランス語以外にもドイツ語を少々理解できるので、ドイツ語版でもポケモンを遊んでおります。ドイツ語に関連する話題も少しだけ述べようと思います。

余談ですが、サブロムをフランス語にした理由には、ポケモンのゲームの仕様的にメリットになる点がいくつかあったのも理由です。

  • 経験値ボーナスの多さ

→親が異なる同じ言語のポケモンは1.5倍経験値をもらえるが、言語が異なるポケモンだと1.7倍になる

  • ニックネームに付けられる文字の自由度の高さ

→ 半角12文字で、かつ特殊文字(アクセント記号付きの文字)も使える

※剣盾より、欧州言語ロムの場合は、欧州圏の言語全ての入力が可能なので、フランス語でニックネームを付ける際に必ずしもフランス語ロムにこだわる必要はなくなりました。

フランス語でプレイして思ったこと

以下、6項目に分けて説明したいと思います。うち(1)については、GSルールの仲間大会関連で起きたことです。

(1)「特性」「技を覚える」は英語で…

第七世代後期、WCS2019のルールが正式に発表される数か月前から、毎週のようにGSルールの仲間大会が開かれるようになりました。

私も仲間大会を積極的に開いていたプレイヤーの1人でした。

ただ、最初のうちは、「WCS2019を想定」とは明記していなかったため、過去作限定のポケモン(Vジェネレートを覚えたレックウザ、グロウパンチを覚えたガルーラ等)を使用する方が一定数いらっしゃいました。

そのため、余計なトラブルを避けるために、「過去作産はOKだが、過去作限定の技特性のポケモンは禁止」であることを明記した方がよいのではないかと考えるようになりました。

また、仲間大会の結果をPGLで確認すると、1割近く日本国外からの参加者がいたため、日本語を理解できない人にも理解できるように、他の言語(=英語)でも説明した方が良いのではと思うようになりました。

7世代まででの対戦では、住んでいる場所が表示される形式になっており、PGLにも居住地の情報やロムの言語の情報が反映されるようになっておりました。

また、対戦相手の地域についても、画面でわかるようになっていたため、一定数日本以外からの参加者がいることは把握しておりました。

2019年1月に、しゅふぁさんの配信で当たった時のアーカイブより。

「― ― ―」の箇所は、地域設定日本の場合は都道府県が表示されます。

上記の理由で、「過去作産は、7世代で再現可能な個体のみ使用可能」という内容を日英両方で併記することとしました。

過去作禁止と書く時に、「過去作産はOKですが、特性と技を再現可能であること。例 グロウパンチを覚えたガルーラは禁止」と表現することにしました。

画像はPGLのスクリーンショット。最終的に230人の参加登録者が集まりました。

フランス語では、特性はtalent(才能)、技はcapacite(能力)であるため、英語表記は以下のようにしました。

英語
You may use Pokemon via Pokemonbank《Important》But their talent and moves must be available at 7th gen. (E.g. Kangashkhan remembers Power-Up Punch is not allowed)
日本語訳
ポケモンホーム経由のポケモンも使用できます。《重要》しかし、特性(talent)と技(move)は7世代で入手できるものでなければなりません。(例 グロウパンチ[Power Up punch]を覚えた(remember)ガルーラ(Kangashkhan)は禁止)

なお、英語では技を覚える(remember)ではなく、知る(know)と表現するようですが、フランス語ではapprendreという動詞を使っています。これは、「習う、覚える、(聞いて)知る」という意味であるため、これにつられて英語でもrememberと書いております。

訳:イーブイはすなかけ(Jet de Sable)を覚えたい。

訳:技 (capacite) をすなかけを覚える(apprendre)ために忘れさせますか?

そして、日本以外の大会の配信などを見ている方は、この他にも私の使っている語が異なることに気付くかもしれません。

英語では特性はability(能力)と表記しますが、フランス語の表記につられてtalent(才能)と書いてしまいました。

このような別の言語の表記や文法に引っ張られてしまう現象は、語学学習の過程ではよくあることです。

(2)ジムリーダーがチャンピオン?

以下では、GSから離れて、ゲーム内での表現について述べていきます。

フランス語ではジムリーダーはChampion(女性の場合はChampionne)で、チャンピオンがMaître (英語のMasterに相当)になっています。

ロワ、ドラゴンタイプのジムリーダー(Champion)

なお、キバナの名前Royは、フランス語の「王」Roiの古い綴りです。

また、英語では、ハイパーボールが、ウルトラボールと名称が変わり、そのあおりを受けてウルトラボールが「ビーストボール」となってしまったようですが、フランス語版では日本語と同じくHyper Ball, Ultra Ballとなっております。

フランス語版ポケモンホームのスクリーンショット

(3)水ロトムは御三家だった?

4世代から登場した教え技「きゅうきょくのわざ」は、御三家の最終進化系のみが覚えられる特別な技で、そのうち「ハイドロカノン」は水タイプ版の破壊光線のにあたります。

こちらはアローラの水御三家のアシレーヌ(フランス語名:Oratoria(オラトリア))。ご覧のように”Hydrocanon”という技を覚えています。

ところが、とある戦闘場面。剣盾では、このトレーナーに勝つと、ロトムのフォルムチェンジに必要な「ロトムのカタログ」が貰えるため、大半の方が戦ったかと思います。

そんなウォッシュロトム(フランス語名:Motisma (モティスマ))が撃ってくる技は…

「敵のモティスマは Hydrocanonを使った!」

実はHydrocanon(ハイドロカノン)は、「ハイドロポンプ」のフランス語名だったのです。

7世代のストーリーで水御三家を使う場合、自力でハイドロポンプを覚えます。そのため、この名前については早くから気付いておりました。

ただし、オンライン対戦で、相手の水ロトムがハイドロポンプを撃ってくると、「相手のロトムは改造か」と一瞬疑ってしまうことが何度かありました。

また、ハイドロカノンの英語名はHydro cannonで、フランス語のHydrocanonと異なりnが1個多いです。これは英語ではcannonなのに対し、フランス語ではcanonと綴りが異なることに由来します。

なお、日本語の「ハイドロカノン」に当たる技は

技は上から、ハイドロポンプ、エナジーボール、ムーンフォース、ハイパーボイス、ハイドロカノン

Hydroblast(イドロブラスト、hydro-水の,blast 英語で突風、爆風)と言います。

(4)登場人物の名前ほか

マクロコスモス会長のローズと エール団関係者のマリィに関して、剣盾発売前、マリィが、ローズと合わせて「ローズマリー」だったので、もしかしてローズとマリィは親子なのではないか、との説が流れていたことがありました。

ただ、ローズのフランス語名はShehroz(シェロ)で、マリィのフランス語名はRosemary(ロスマリ、ローズマリーの英語表記)でしたので、フランス語ではあまり関係なさそうな名前となっていました。

日本語版では単なる偶然だったのか、それとも親子関係を匂わせるように表記したのかは分かりません。

*Shehrozはフランス語ではなく、ヒンディー語の由来とのことです。そのため、無理やりフランス語風に発音すると「シェロ」になります。英語では日本語と同じRoseであったので、ここで名前をインド系に変えた理由については分かりません。

「私はシェロ。ポケモンリーグの代表です」

ポケモントレーナーのロズマリは、Cradopaud(クラドポ、グレッグル)を繰り出した

Cradoは不潔、垢まみれ、Crapaud(クラポ)がフランス語でヒキガエルなので、「不潔なヒキガエル」という意味らしいです。

(5)「ネクロズマの光は何の輝きか」

7世代のウルトラサン・ウルトラムーンでは、ネクロズマが物語の鍵を握る存在ですが、そんなネクロズマは、ウルトラメガロポリスの住人「ウルトラ調査隊」より、「かがやきさま」と呼ばれています。

このフランス語名は Le Grand Radieux(ル・グラン・ラディユー)で、le は男性名詞定冠詞(定冠詞は、英語のthe に相当するもの)、Grand は名詞の場合は大きな存在、偉大な存在、radieuxは「太陽光の」を意味する形容詞です。

そのため、「太陽光の偉大なお方」という意味になり、「かがやきさま」の意味合いをうまく訳した表現となります。

公式サイトにも、ネクロズマの温度は6000度にもなる、とあり、太陽の表面温度と一致するため、日本語とフランス語だけで判断する限り、ネクロズマは太陽に相当する存在である、と判断できます。

ところが、ドイツ語版では必ずしも太陽の光とは言えない名前になっています。

ミリン「我々は、それ(ネクロズマ)をザイネ・ルミネセスツェンツと呼んでいる。畏敬の念を示すために」

Seineは三人称中性単数esの所有冠詞、Lumineszenzは、物理の用語で、「熱を放出しない発光」を意味するため、「かがやきさま」の「光」に相当する意味を訳したものです。

なお、Seine Lumineszenzは、ドイツ語で枢機卿(ローマ・カトリック教会で教皇に次ぐ高位の聖職者で、教皇を選出する権利と教皇に就任する権利を有する)を示す際に用いる表現Seine Eminenz(ザイネ・エミネンツ)を踏まえて訳した可能性が高いです。

ドイツ語では、枢機卿に呼びかける際、敬意を示すためにEure Eminenz「オイレ・エミネンツ」(本人がいないところで言及するときは、Seine Eminenz「ザイネ・エミネンツ」)と表現することがあります。

ネクロズマへのザイネ・ルミネスツェンツとの呼びかけは、このSeine Eminenzを踏まえて訳したのでしょう。

ところが、フランス語にあった「太陽光」に相当するものはなく、ドイツ語では「熱を発しない光」という意味になっているため、ネクロズマの「温度が6000度に達する」という状態と(言葉だけを見ると)矛盾する説明になっています。

しかし、太陽に関する表現は消えていますが、「光」の意味と敬意を含んだ翻訳になっていますので、「かがやきさま」の意味合いをうまくとらえた翻訳になっています。

【追記】読者の方より、ドイツ語の翻訳のミス、ならびにSeine Lumineszenz Seine Eminenzを掛けていることについてご指摘を頂きました。
誤りを訂正しお詫びするとともに、ご指摘くださったことに対してこの場を借りてお礼申し上げます

もっとも、日本語がメインで、日本語から他の言語に派生したため、日本語での意味が「正しい」ものと判断すべきなのかも知れませんが、日本語の意味に不明瞭なところがあると、このように翻訳の過程で意味が変化してしまうこともあります。

こういう違いを楽しめるのも、違う言語でプレイすることの醍醐味かなと思います。

(6)好きなフランス語名のポケモン

幾つかいますが、ここでは1匹だけ、サンダーを挙げたいと思います。

フランス語のサンダーは、Électhor(エレクトール)で、これは電気(électricité)と北欧神話の雷神トール(Thor)に由来します。英語のZapdos(ザプドス)よりも、エレクトールの方が好きです。

名前の響きと、意味も好きなのでお気に入りの名前の一つです。

なお、フリーザー(Artikodin(アーティコダン)、北極、南極の極+北欧神話の主人オーディン)とファイヤー(Sulfura(スルフラ)、硫黄化合物sulfure+エジプト神話の太陽神ラーRa)と、それぞれ神話の神の名前が入っております。

また、ポケモンのフランス語翻訳担当者のジュリエン・バーダコフ氏は、「一番誇りを持っているポケモンの名前は?」という質問に対しても、Arkordin,Sulfra Electhorは「オーディン、ラー、トールの3つの神を表しているので悪くない(翻訳である)」と答えております。

ジュリエン・バーダコフ氏はポケモン名の公式翻訳者です

また、初代ポケモンのフランス語名については、バーダコフ氏がフランスの新聞「リベラシオン」紙にて由来を解説しております。こちらも併せてご覧ください。

終わりに

今回は、フランス語でポケモンをプレイして思ったことや考えたこと、私が経験したことについて述べさせていただきました。

語学は覚えることが多く、面倒なので、やる気をどのように維持するかが問題ですが、自分が好きなことであれば、続けられる人は多いと思います。

私の場合は、日本語からフランス語に翻訳される過程で、ポケモンの由来や世界観の理解がより深くなるのではと考え、それをモチベーションに学習を続けることができました。

私の場合は、フランス語をはじめ語学学習が好きだからというのはありますが、ポケモンがモチベーションを保つことができた1つの理由であることは間違い無いです。

余談:アイキャッチの説明

アイキャッチの画像は、ゲーム開始時のローズのセリフです。直訳すれば「ポケモンたちの、この素晴らしき世界の祝福の場にようこそ」となります。

célébration (祝福、祝い、記念)という語を使っているのは、このセリフはポケモンリーグ開幕式典の開会の言葉であるためでしょう。 Célébrationには幾つか意味がありますが、ここでは祝福と訳しました。

ポケモンたちの、この素晴らしき世界の祝福の場にようこそ!

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この記事を書いた人

名前はカルフール。実績はまだない。一応日英仏三言語を理解するらしい。第7世代GS未経験にも関わらずGS仲間大会を主催してなぜか150人近くの参加者を集めてしまった。

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