【ポケモン剣盾】初心者がポケモン対戦を極めるための「役割理論」解説




皆さんは役割理論という言葉をご存知でしょうか?

役割理論と名前の似た役割論理と混同されたり、すでに知ってる人からはオワコン等と呼ばれたりしてぞんざいな扱いを受けがちです。

しかし、実は全てのポケモン対戦の基本と言えるものであり、役割理論を覚えることでパーティ構築の方法だけでなく対戦でのプレイングも学ぶことができます。

今、学ぶ必要はないと思っている人もいるかもしれません。

しかし何時か形を変えて、なんらかの形で必ず役割理論とは出会うことになります。

その「何時か」のために簡単にでもこの記事に目を通してみてはいかがでしょうか?

目次

前提として

他のルールにも応用はできますが、基本的に「シングルバトル6→3」が想定されています。

この記事を読み解くためには最低限「3値(種族値・個体値・努力値)」を理解している必要があります。

また、ポケモンの「タイプ相性」及び「技」「アイテム」の効果をある程度覚えている必要があります。

役割理論とは何か?

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役割理論とは交換戦を中心として、自身のパーティのポケモンそれぞれに○○対策という役割を与えることで、相手がどのような手を使ってきても倒されないことを目指す構築技法のことを言います。

役割理論で使われる用語

まず役割理論を説明する上で外すことのできない専門用語が存在します。

役割理論を説明する前に各専門用語の解説をしたいと思います。

役割

役割とは自分のポケモンが対策できる範囲のことを言い、「受け」「流し」「 誤魔化し」の3種類の役割が存在します。

受け

急所以外では絶対に倒されない状況をにできる役割の事を「受け」と言います。3種類の役割の中で最も強い役割です。

例えば、「しんかのきせき」を持ったラッキーは、特殊技で確定2発になる事がほとんどなく、「たまごうみ」で回復が追いつきます。

そうなると相手の特殊ポケモンは急所に攻撃を当てない限り、ラッキーを倒すことができません。

この状況を「受ける」といい、主に特殊攻撃を受ける「特殊受け」、物理攻撃を受ける「物理受け」の2種類が存在します。

流し

相手がこちらを倒すよりも先に、こちらが相手を倒すことができるため、相手は交換をせざるを得ないという状況を作る役割を「流し」といいます。

例えばスイクンは「こだわりハチマキ」を持たせたガブリアスの「じしん」を3発耐える事が出来ないため、「ねむる(体力を全回復するが2ターン無防備)」では回復が追いつきません。

しかし「れいとうビーム」や「こごえるかぜ」でスイクンが倒されるより先にガブリアスを倒すことができます。

そのため、ガブリアスをまだ倒されたくない場合、相手はガブリアスを交換せざるを得ません。

このように相手に交換を強制できるような状況を「流し」といいます。

誤魔化し

誤魔化しは流しとほとんど同義ですが流しよりも信頼性に劣るというニュアンスでも使われます。

メガガルーラは「すてみタックルの反動」と「ゴツゴツメット」で瀕死寸前になったため、物理全般の攻撃を耐える役割を持っているスイクンは最低限仕事をすることができた。

スイクンはメガガルーラの捨て身タックル2回で倒されてしまうが最低限「誤魔化せて」いる。

このような状況を「誤魔化し」といいます。

サイクル

お互いが交換を交互に行った行った結果、特定のある盤面に1周して戻ってくるその1周のことです。

ダメージレース

サイクル内でお互いのポケモンが与え合ったダメージ量のことです。ダメージレースに負けるとそのパーティは敗北します。

あれ?この用語どこかで聞いたことがある……と思った人もいるのではないでしょうか?

そう思った人は既になんらかの形で役割理論に触れているということ、役割理論をほんの少しだけ近くに感じられたと思います。

※注意事項

ポケモンの用語はコミュニティやルールの壁を隔てると意味が変わる、あるいは伝わらなくなるケースがあります。

本記事中で紹介したものは役割理論における意味であるとご理解をよろしくお願いいたします。

役割理論の必要性

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さて、ではまずこの対戦を見てもらいましょう。

A:スイクン ドサイドン エンテイ VS B:ガブリアス ジバコイル エアームド

1ターン目 スイクン(HP100%) vs ガブリアス(HP100%)

Bのガブリアスのじしん Aのスイクンに45%のダメージ!

Aのスイクンのれいとうビーム! 効果は抜群だ!Bのガブリアスに90%のダメージ!

2ターン目 スイクン(HP55%) vs ガブリアス(HP10%)

Bのガブリアスのじしん Aのスイクンに45%のダメージ!

Aのスイクンのれいとうビーム! 効果は抜群だ!Bのガブリアスは倒れた!

Bはジバコイルを繰り出した!

3ターン目  スイクン(HP55%) vs ジバコイル(HP100%)

Aのスイクンのねっとう Bのジバコイルに30%のダメージ!

Bのジバコイルの10まんボルト! 効果は抜群だ!Aのスイクンは倒れた!

Aはドサイドンを繰り出した!

4ターン目 ドサイドン(HP100%) vs ジバコイル(HP70%)

Bのジバコイルのラスターカノン! 効果は抜群だ!ドサイドンに75%のダメージ!

Aのドサイドンのじしん! 効果は抜群だ!ジバコイルは倒れた!

Bはエアームドを繰り出した!

5ターン目 ドサイドン(HP25%)vs エアームド(HP100%)

Bのエアームドのアイアンヘッド! 効果は抜群だ!ドサイドンは倒れた!

Aはエンテイを繰り出した!

6ターン目 エンテイ(HP100%)vs エアームド(HP100%)

と、ここまで来れば対戦の勝敗が分かります。

炎タイプ対鋼タイプでは相性が悪いですしこの対戦はBの負けという結末を迎えるわけですね。

では、なぜBは負けたのかについて考えてみましょう

結論から言うとBの敗因はスイクンに勝てないのに関わらず、ガブリアスを交換せずに失ってしまったからだと考えられます。

Bのパーティの残りの2体ではエンテイを倒せない以上、エンテイの攻撃を受けて倒すとことができるという「役割」を持ったガブリアスは絶対に失ってはいけないポケモンだったのです!

一方でAはBのガブリアスをスイクンで倒し役割の遂行に成功しました。

この結果としてAはスイクンを温存する必要が無くなったため、ドサイドンを安全にスイクンが倒れてから出すことが可能になりました。

その後ジバコイルが担っていたスイクンを倒すという役割は結果として果たされたわけですが、結局ガブリアスの役割が遂行されなかったのが最後に勝敗を分けたのです。

役割理論に従った行動

では、この対戦を改めて役割理論に従いやりなおしてみましょう

A:スイクン ドサイドン エンテイ VS B:ガブリアス ジバコイル エアームド

1ターン目 スイクン(HP100%) vs ガブリアス(HP100%)

Bはガブリアスを交換してジバコイルを繰り出した

Aのスイクンのれいとうビーム! 効果はいまひとつ。ジバコイルに10%のダメージ

2ターン目 スイクン(HP100%) vs ジバコイル90%(ガブリアス100%)

Aはスイクンを交換してドサイドンを繰り出した

Bのジバコイルの10まんボルト! ドサイドンに効果はないようだ……

3ターン目 ドサイドン100%(スイクン100%) vs ジバコイル90%(ガブリアス100%)

Bはジバコイルを交換してエアームドを繰り出した!

Aのドサイドンのじしん! エアームドに効果はないようだ……

※ジバコイルは「ラスターカノン」でドサイドンの弱点を突くことができるが、ラスターカノンではドサイドンを一発で倒すことはできないのでジバコイルが倒される。するとスイクンを倒すという役割を持ったポケモンがいなくなってしまうので交換をする必要がある。

4ターン目 ドサイドン(HP100%) vs エアームド100%(ジバコイル90%) (ガブリアス100%)

Aはドサイドンを交換してエンテイを繰り出した!

Bのエアームドのアイアンヘッド! こうかは今一つ。エンテイに15%のダメージ!

5ターン目 エンテイ85%(ドサイドン100%) (スイクン100%) vs エアームド100%(ジバコイル90%) (ガブリアス100%)

Bはエアームドを交換してガブリアスを繰り出した!

Aのエンテイのせいなるほのお! 効果はいま一つガブリアスに20%のダメージ!

6ターン目 エンテイ85%(ドサイドン100%) (スイクン100%) vs ガブリアス80% (エアームド100%) (ジバコイル90%)

Aはエンテイをスイクンと交換した!

Bのガブリアスのじしん! スイクンに45%のダメージ

7ターン目 スイクン55%(ドサイドン100%) (エンテイ85%) vs ガブリアス80% (エアームド100%) (ジバコイル90%)

と、いうわけでここにきて最初のスイクンvsガブリアスの戦いに戻ってきました。

この一連の流れが「サイクル」であり、この途中に与え合ったダメージ量について「ダメージレース」と呼びます。

上で触れる程度には説明しましたが実際に見てもらったことで、よりなんとなくでもどういうことか伝わったでしょうか?

さて、もしこのまま対戦が同じように役割理論を前提として続いた過程して進めましょう。

さらにもう一度同じ「サイクル」が繰り返された後、14ターン目。

ここで「スイクン10%(エンテイ70%)(ドサイドン100%)vs ガブリアス60% (ジバコイル80%)(エアームド100%)」という盤面になり、ガブリアスをスイクンが流せない、役割を持つことが持つことができないという状況になってしまいます。

これが「サイクル崩壊」と呼ばれる現象で、こうなってしまえばAはドサイドンとエンテイの2匹が高いHPを保たせているがBのガブリアスの「じしん」を止める手段を失っているために敗北が決定します

交換をせずにただ攻撃技を使っただけではBは敗北するしかなかったのですが、このように役割理論に沿った行動を行うことでBは敗北の運命を回避して勝利することができました。

「役割理論」と仰々しい名前がついているもののやっていることは「不利な相手からこちらのポケモンを逃がし有利なポケモンを出す」ということであり、これを実際の対戦で実現するための構築を行うというのが重要なんですね。

ではAが勝つにはどうすればよかったかと言えばどこかで急所や追加効果(「せいなるほのお」のやけどでスイクンが「じしん」を耐えられる回数を増やす)を引くか、「交換読み」と呼ばれる行動をこの「サイクル戦」の途中でする必要がありました。

交換読みとは「これはガブリアス対スイクンではガブリアスのほうが不利。交換してジバコイルが出てくるだろうからエンテイかドサイドンを出そう」「ドサイドンにエアームドが出てくるならば、「じしん」ではなく「ストーンエッジ」を使ってダメージを与えよう!」と言った行為のことです。

これについて多くの場合「読み勝った!」「読み負けた!」等と単純に言われることが多いですが理屈の上ではこの交換読みというものはダメージレースに勝利するために行われるものです。

逆に言えばダメージレースに負けようがない場面で交換読みを行うというのは敗北のリスクを増やすだけで殆ど意味のない行為だったりします。

(相手側が交換読みを行ってくる可能性がある以上、ダメージレースに負けようがない場面というのは滅多に起こるものではありませんが……)

実際に役割理論を生かすには?

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重要なのは交換戦の過程で戦うことになる仮想敵をイメージするという行為。

これは言ってしまえば「○○は××で倒して、××は▽▽で受けて……」というのを繰り返すだけ

なんだ、簡単じゃないかと思った人もいると思いますが、しかしこれが存外難しく躓く人も多いんです。

だけど安心してください。躓く人がでないようにこの記事でしっかりと解説をさせてもらいます!

と、いうわけでまずは突然ですが簡単に質問をさせてもらいます。

先ほどのログにでてきた「ドサイドン」にとって「メガサーナイト」は仮想敵であるかどうかというものなのですが、ちょっぴり考えてみてください。

この問題、実はそこそこ対戦慣れしているユーザーですら間違えることが多いと思います。

恐らくこの記事を読んでいる初心者の方は分からない、むしろ分からなくて当然かな?とも思うので深く考える必要はありません。

結論から言うと「ドサイドン」にとって「メガサーナイト」は仮想敵ではなく、「メガサーナイト」も「ドサイドン」を仮想敵とはみなしません

理由は単純明快でこの2匹のポケモンには役割関係が存在しないからです。

何故存在しないかと言えばメガサーナイトはドサイドンに繰り出せば「じしん」で倒されてしまい、ドサイドンもメガサーナイトに繰り出せば同様にフェアリースキン「ハイパーボイス」で倒されてしまうため繰り出しを行う機会はありません。

仮にこのような関係のポケモンが偶発的に対峙したとしても、役割理論に沿った行動を行うならばメガサーナイト側はドサイドンに勝てるポケモンに交換することになります。

そしてドサイドン側もメガサーナイトに勝てるポケモンに交換することになります。

これはこの場でこの特定のポケモンを失うということは別のポケモンを倒せなくなるという危険性をはらんでいるためです。

よってこの2匹は交換戦の過程で攻撃技を受ける機会は存在しないので仮想敵ではないという風に結論を出すことができるのです。

仮想敵とは自身が攻撃を受けるポケモンと、攻撃するポケモンによって決まるものだと覚えておきましょう。

先の対戦の例であればスイクンはガブリアスに「攻撃をする可能性」「受ける可能性」があって、ガブリアスもまたスイクンに「攻撃を与える可能性」「受ける可能性」があるため役割関係が存在し仮想敵としてみなす必要があります。

よく言われるメタとして採用したはずの技が活躍しないというのはこの役割関係を軽視した場合に起こりやすいケースで、例えばメガサーナイトがドサイドンを仮想敵に考え「エナジーボール」を採用したとしてもこの2匹に役割関係はそもそも存在しないため使う機会及び活躍するは少なくなるというわけです。

ここまで書いたことでなんとなく分かった人もいるかもしれませんが、仮に「エナジーボール」を覚えたメガサーナイトの前からドサイドンが交換して引いたとします。

それは「エナジーボール」の存在を「読まれて」交換されているわけでは多くの場合ありません

そもそも「役割関係がないから」交換されているというケースのほうが実際には多いのです。

そして「エナジーボール」と「ハイパーボイス」どちらが後続に掛ける負担が大きいか。

ドサイドンの後ろから出てくるポケモンはメガサーナイトにとってどうしたいポケモンなのか。

ここまで考えられるようになると……クラスアップのチャンスかもしれませんね?

ここから先は自分で考えてみましょう!

さて、今までの話を踏まえた上で適切にイメージされた仮想敵に勝てるようにポケモンの「技」「アイテム」「努力値」を決定し、それと他のポケモンを組み合わせるのが「役割理論」の基本となります

改めて役割理論についてみてみよう!

役割理論とはポケモン対戦にとって当然のことを行っているにすぎません

故にポケモン対戦を続ければ何時か必ず出会う要素

それは役割理論という形ではないかもしれないけれど、それは絶対に避けられないことでもあります。

現在ではそもそも「受けることが不可能なポケモン」が存在するため、役割理論の限界が指摘されオワコン呼ばわりされることも多いですが……

役割理論とはあくまでもポケモン対戦の基本を示しているに過ぎず、基本に沿ったプレイングを学ぶことができる大事な考え方と言えます

基本であるからこそ役割理論を中心に数多の対戦理論が派生するこの記事だけでは伝えられないもっと奥深い世界。

「何時か」この記事以外で役割理論と出会った時にこの記事のことを思い出してみてくださいね!




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この記事を書いた人

ここでは黒と名乗っていたようだが中の人は喰い断⑨。
WCS2017日本大会でベスト4となり対戦理論の紹介に説得力が増したらしい。
最も本人は自分のプレイングを一切信用していないため運要素を最重要視したゲームメイクを好む。

色々あった結果喰い断の名を明らかにした。


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