はじめに
「何より意表が突ける」
ポケットモンスターをやっていれば、誰もがこのワードに魅せられた経験があるだろう。
相手の想定や対策をかいくぐり、華麗に刺すというのは対戦ゲームの楽しみのひとつであることは疑いようもない。
しかし、意表を突くのにもいい突き方と悪い突き方がある。
では、どのような意表の突き方が正しいのか。
この記事では、それを考察していこう。
「意表を突く」とは何か
意表を突きたいなら、まず「意表を突く」とはどういうことかを知らねばならない。
手元にあった日本国語大辞典で引いてみたところ、意表を突くとは
「予想外のことをしかけること。」
とある。
では早速意表を突いてみよう!
個体紹介
メガスピアー
性格:ひかえめ
特性:てきおうりょく
持ち物:スピアナイト
努力値:H36 C252 D4 S212
実数値:145-×-60-73-101-192
技:ベノムショック/エレキネット/めざめるパワー氷/どくびし
スピアーを見てこの型を想定するやつはこの世にいない。
「予想外のことをしかける」という目的なら完璧だ!
皆さんもぜひ使ってみてほしい!
ここに気付いた鋭いあなたに注釈をしておくと、×でごまかしてるだけでこのスピアーの攻撃の実数値は特攻の2倍以上ある。
悪いところは見せない詐欺の手口だ。
……ここで満足してブラウザバックしてないよね。
真面目な話に戻ると
説明するまでもないが、このスピアーはすさまじく弱い。
相手の予想とは違うかもしれないが、その先には何もないのだ。
非常に極端な例を出したが、言いたいことはお分かりいただけただろう。
「意表を突く」というのは、その先にリターンがなければならないのだ。
よって、この記事では意表を突くという行為は
「相手の予想外のことをしかけて勝ちにつなげること」
とする。
具体的にどうするか
ということで、勝ちにつながる予想外の行動をしなければならない。
そのために最も簡単な方法はなんだろうか?
答えは簡単。
メジャーポケモンの一般的でない型を考えることだ。
メジャーポケモンには誰もがその強さを認識しており、どう動いてくるかを知っている。
つまり、そこからちょっとずらしてやるだけで「相手の予想外」になるのだ。
「高火力アタッカーにどくどくを仕込む」というのが好例だろう。
受けに来たポケモンに毒を入れてサイクルを崩すというのは、なかなか想定できない。
他にも、メジャーポケモンには様々な想定の上回り方がある。
余談:マイナーポケモンは意表を突けるか
ということを書くと、対戦で見かけることが少ない、いわゆる「マイナーポケモン」について思うところがある方もいらっしゃると思うので書いておこう。
マイナーポケモンは高い確率で意表を突けない。
なぜなら、マイナーポケモンというのはできることが限られているからだ。
できることが少ないということは、相手の想定の幅も狭くなり、意表を突くことができなくなる。
まして、インターネットに接続して対戦するゲームで、相手がインターネットで検索することは防げない。
マイナーポケモンで意表を突くなら、少なくともPGLを見て即座にバレないような型である必要がある。
ところがマイナーポケモンは使用者が少ないので、ちょっと使ってしまうと割合が大きく変動し、ごまかしが効かないのだ。
この壁を乗り越えてマイナーポケモンを使いこなすのは決して不可能ではないが、初めのうちは練習としてメジャーなポケモンで意表を突くのがいいだろう。
意表を突くポイント
先ほど述べた通り「メジャーなポケモンで予想外の行動をする」のが最も効率よく意表を突くことができる。
では、それを「勝ちにつなげる」にはどうしたらいいか?
これを考えるためのポイントは3つ。
- 相手が対策として用意したポケモンを倒せるか
- 一手で有利を取れるか
- 本来の強さを捨てすぎていないか
だ。
これだけ書かれても少々わかりにくいと思うので、実例を挙げて説明しよう。
おあつらえ向きに、シングルバトルにはこの3点をきれいに満たすポケモンが存在する。
激流ゲッコウガだ。
激流ゲッコウガに学ぶ意表の突き方
まず激流ゲッコウガについておさらいしておこう。
一般的な激流ゲッコウガは、このような構成だ。
性格:おくびょう
特性:げきりゅう
持ち物:ミズZ
努力値:C252 D4 S252
実数値:147-103-87-155-92-191
技:ハイドロカノン/ねっとう/みずしゅりけん/みがわり
既に2割ほどのシェアを獲得しているこの型が意表を突いているのか? と思われる方もいらっしゃるだろ。
しかし、このポケモンは見事に先ほど挙げた3つのポイントを満たしている。
実際に見てみよう。
相手が対策として用意したポケモンを倒せるか
ポケモンには相性があり、不利なポケモンと対面すれば有利なポケモンに交代する。
なら、交代してきたポケモンを倒せれば、一気に勝ちにつながるだろう。
意表を突く際は、「相手が後出しするポケモンを倒せる」ことが重要になる。
もちろん、相性が存在する以上どうしても無理な相手はいる(6世代のガルーラを除く)。
それでも、後出しされやすいポケモンを倒す手段を持っていることは大きな強みだ。
激流ゲッコウガが倒せるのはHBポリゴン2。
一般的にポリゴン2はゲッコウガに後出しされるポケモンだ。
しかし、激流ゲッコウガは後出しされるターンにみがわりを残し、熱湯+激流ハイドロカノン
Zでポリゴン2を倒すことができる。
相手の対策用ポケモンをしっかり倒せているのがわかるだろう。
一手で有利を取れるか
予想外の行動は、一度見せたら予想の範疇になる。
ゆえに、相手に見せた瞬間の一手で勝ちにつなげる必要がある。
激流ゲッコウガでは、みがわりがその一手だ。
ゲッコウガがみがわりを張れるのは相手より速いとき。
つまり、何があろうとみがわり連打で激流圏内に入れるときだ。
もちろん、交代された場合は身代わりが残る。
そして、技を使うまでは特性がわからないので、耐久を捨てた高速アタッカーはへんげんじざいゲッコウガに怯えて後出しできない。
つまり、みがわりを選択した時点で、なんらかの有利が生じることは確定している。
本来の強さを捨てすぎていないか
メジャーポケモンには、メジャーになるだけの強さがある。
想定外のことをしようとするあまり、そのポケモンの強さを捨てすぎてしまえば、勝つのが難しくなってしまう。
また、本来の強さを保持していれば、再戦や型バレ時にもブレない強さとなる。
本来の強さをある程度維持するのは、意表を突く際に非常に重要だ。
では、激流ゲッコウガの場合はどうだろうか。
ゲッコウガの役割は「高速特殊アタッカー」となることが多い。
全ての技をタイプ一致にするへんげんじざいは、火力を底上げして特殊アタッカーとしての役割を高めるのが狙いだ。
激流ゲッコウガでは、この役割を激流ハイドロカノンZで代用している。
たとえば、あくのはどうで比較してみると、
- へんげんじざい2倍弱点あくのはどう:威力240
- げきりゅう半減ハイドロカノンZ:威力225
となり、半減されてなお、威力があまり変わらない。
言い換えれば半減タイプを出されても弱点を突いたのに近い効率で攻撃できるのだ。
これならば、「高速特殊アタッカー」としての役割は維持できている。
ということで、激流ゲッコウガは3つのポイントを押さえた、理想的な意表を突くポケモンなのだ。
理論から実践へ
この記事では激流ゲッコウガを例に、正しい意表の突き方を見てみた。
理想的な意表を突くポケモンは十分な強さを持っているのが分かったのではないだろうか。
では、他にはどんなポケモンがいるのか。
次回、実践編では、この理論を元に考案した意表を突くポケモンを紹介しようと思う。
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コメント
コメント一覧 (1件)
はじめに「〇〇とはどういう意味か、手近な辞典を引いてみると…」で始まる文は十中八九駄文。と最近読んだ良い文章の書き方の指南書にありましたがこちらは非常に面白く、また中身もしっかりとためになって非常に良かったです。
続きも楽しみにしてます。