はじめに
本記事は、DLC発売前の2023年9月上旬に、岩手県北上市にある「鬼の館」および北上市内を観光した時の簡単な旅行記である。
岩手県盛岡市に行く用事があり、観光時間を確保できそうなので、折角だから、と県内の北上市に行ってみることにした。
北上市は、千年以上の伝統がある「鬼剣舞」という舞が伝わっており、鬼のような仮面をつけて踊る。「キタカミの里」の名前の由来や、新ポケモン「オーガポン」との関係があるのではないか、と一部で噂されていた。
また、岩手県内には、東日本大震災の復興支援を兼ねた「ポケモンwith You」という特別な列車を走っており、イシツブテを「いわて応援ポケモン」に位置付けるなど、ポケモンとの協業が盛んな印象が強い。そのため、北上市にも何かしらあるのではないか、と考え、盛岡に行くついでに時間を見つけて訪問することにした。
「鬼の館」について
「北上市立鬼の館は「鬼」をめぐる様々なことがらを集め、調べ、学びあう場として開設されたテーマ博物館です。」
(公式サイトより引用)
https://www.city.kitakami.iwate.jp/life/soshikikarasagasu/oninoyakata/5416.html
DLC発売前に鬼とは何か、学ぶことが出来ればよいなと考え、行くことにした。時期によっては、地元の鬼剣舞の団体が公演するときもあるとのこと。
なお、公共交通機関を使う場合、北上駅からバスを使うことになるが、バスは特定の曜日(2023年11月時点では月、水、木のみ)運行されており、本数も限られていることから、事前によく確認しておくことが望ましい。
筆者は運休日に北上市を訪問したため、往復ともにタクシーを使うことになった。 その他、開館日時や時間等は公式サイトを確認されたし。
公式ウェブサイトのリンクはこちら
https://www.city.kitakami.iwate.jp/life/soshikikarasagasu/oninoyakata/index.html
北上市にて
北上駅に到着。
駅に到着して驚いたのは、鬼剣舞が駅構内のポスターに使用されていること。鬼を全面に出している。
ちょうど2023年5月27日より盛岡でJR東日本の交通ICカードSuicaが使用可能になったということもあり、Suica関連の掲示があった。大きな掲示板に、10枚以上のポスターが並んでいるのは圧巻であった。
ただ、特にDLCに関連した掲示物などはなく、ポケモンの要素は見いだせなかった。
なお、残念ながらバスの運休日であったため、北上駅からタクシーに乗ることに。
車中、タクシーの運転手に、「どうして北上に来たのか」と聞かれたので、「盛岡に行くため、折角なので北上まで足を延ばすことにした」と答えた。
運転手さん曰く、ニューヨークタイムズ紙が選ぶ「2023年にいくべき52か所」の一つに盛岡市が含まれていたため、盛岡に行く観光客が増えているとのことだが、北上は恩恵にあずかれていないとのことであった。
ニューヨークタイムズの記事
https://www.nytimes.com/2023/02/17/insider/why-morioka-japan-answers.html
記事を受けての盛岡市の反応
https://www.pref.iwate.jp/sangyoukoyou/kankou/1059946/1061603.html
話のなかで、実は、ポケモンの新しい作品で「キタカミ」という場所が出てきて、それが、北上市が由来ではないのかと言われているのと、鬼のポケモンが出るらしい、と伝えたが、運転手さんはご存じではなかった。
もっとも、年配の方だったで、もともとポケモンに関心が無い方であった可能性もある。
道中で「鬼柳町」(おにやなぎまち)を通った。この地区には「鬼柳小学校」という小学校もあり、鬼が地名にも使われていることから、北上は鬼が身近なのだろうということが伺えた。
なお、鬼がつく地名は北上に限らず、日本全国に存在するようである。
鬼の館
まず、入口から入って最初に目に入るのは大きな鬼の面。左右の非常口と比較してわかるように、見上げるばかりの高さである。
訪問時はただ大きさに驚くばかりであったが、一通りシナリオを終わらせてから振り返ると、オーガポンがテラスタルしたときに面が大きくなる元ネタの一つなのではないか、と思うようになった。
一般展示の鬼の説明も面白かった。
かつて奈良時代や平安時代において、東北地方は辺境にあたるため、近畿にある大和朝廷に従わない勢力を「鬼」のような存在であった、との記述が展示にあった。異質な存在を「鬼」と表現していたという感じである。
北上に限らず、日本各地の鬼の伝承についてまとめて紹介していた。「全国の春来る鬼」の紹介によると、20か所で鬼にまつわる伝承が残っているようである。一つ一つの説明も丁寧で、読むだけでもかなり時間がかかった。
1時間弱の滞在で、タクシーで北上駅へ戻り盛岡駅への帰路にたった。ただ、残念ながら帰りの運転手の方とはあまりお話することができなかった。
盛岡市にて
「岩手」の由来
北上に行った日とは別の日になるが、「岩手」の由来も鬼に関係するとのことなので、空き時間を使って岩手県盛岡市にある「三ツ石神社」に行ってみることにした。
岩手県文化スポーツ部が運営するウェブサイト「いわての文化事情大辞典」によると、羅刹鬼(らせつき)という鬼が関係しているという。
盛岡市三ツ割の東顕寺(とうけんじ)に注連縄(しめなわ)が張られた三つの大石があり、この石は、岩手山が噴火したときにとんできた石といわれ「三ツ石様」と呼ばれて人々の信仰を集めていた。
このころ、羅刹鬼(らせつき)という鬼が里人や旅人に悪さをするので、困りはてた里人は「三ツ石さま」に「どうか悪い鬼をこらしめてください」とお願いしたところ、たちまち三ツ石の神様が羅刹鬼を三つの大石に縛りつけてしまった。
ビックリ仰天した羅刹鬼は「もう二度と悪さはしません。二度とこの里にも姿を見せませんからどうぞお許しください」というので、三ツ石の神様は「二度と悪さをしないというシルシをたてるなら」といわれ、羅刹鬼は三ツ石にペタンペタンと手形を押して南昌山の彼方に逃げ去った」。
そこでこの地を岩に手形・・・岩手と呼ぶようになったという。
出典 「県名<<岩手>>の由来|いわての文化事情大辞典」
http://www.bunka.pref.iwate.jp/archive/p1495
鬼の手形
三ツ岩神社にある「鬼の手形」を折角だから現物を見てみようと思い、盛岡駅から徒歩で向かった。
途中に他の観光名所に寄ったため、3,40分はかかったが、街並みを見ながら歩くのは楽しく、好天に恵まれたこともあり、歩くのが苦には感じなかった。
DLC発売前に、三ツ石に関連したものがゲーム中に登場するのではないかと踏んでいたが、残念ながらそれらしいものを見つけることができなかった。
後日談
DLC発売前の北上市では、とくに「碧の仮面」と関連付けた展示や催し物は管見の限り見つけることが出来なかった。
ところが、DLC発売からしばらくしてから様子が変わった。
2023年10月4日付の「岩手日報」に「ポケモン「ゼロの秘宝」の舞台「キタカミの里」は北上がモチーフ?」という記事が掲載され、北上市がDLCの内容を受け、若手職員を中心とした対策チームを立ち上げたとのこと。
記事のリンク
https://www.iwate-np.co.jp/article/2023/10/4/151238
また、キタカミの里は、北上市に限らず東北地方全般(?)を参照しているようであり、なまはげで有名で秋田県男鹿市など、「キタカミの里」のモデルとなった場所を巡る際には北上市以外の場所も行き先に選ばねばならないのかもしれない。
なお、反省点としては、北上市はじめ現地の情報や鬼に関する事前の下調べが不十分だったことが挙げられる。
今後、ポケモン関連で「聖地巡り」をする際にむけての反省としたい。
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