要旨(Abstract)


背景
ポケモンダブルバトルでは、対戦相手は選出画面におけるパーティ構成や各ポケモンの一般的な型から構築コンセプトを推測し、選出および立ち回りを決定する。そのため、典型的なトリックルーム構築や一般的な技構成は対策されやすく、本来の性能を十分に発揮できない場面が少なくない。
そこで本研究では、対戦相手の先入観および認知バイアスを積極的に利用し、「一見トリックルーム構築に見えない構築」からトリックルームを展開すること、さらに物理型のイメージが強いガブリアスを特殊型メガガブリアスとして運用すること、ならびに「まもる」を採用せず攻撃技の範囲を拡大することが、対戦に及ぼす影響について検討した。
方法
基本選出をオオニューラ・リキキリン・ドドゲザンの3体とし、残る1枠にはメガガブリアス、メガリザードンY、メガフラエッテの中から、相手6体に対する対応範囲が最も広いポケモンを選出した。
初手はオオニューラとリキキリンから展開し、オオニューラのねこだましによってリキキリンのトリックルーム展開を補助した。オオニューラには最遅・くろいてっきゅうを採用することで、高速アタッカーという印象を維持したまま、トリックルーム下で高い制圧力を発揮できるよう設計した。
また、メガガブリアスには特殊技のみを採用することで物理型という固定観念を利用し、相手のおにびやリフレクターを誘導した。さらに、全体を通して「まもる」を採用せず、その技スペースを攻撃技に充てることで対応可能な相手の範囲を拡大した。
結果
本構築では、選出画面においてトリックルーム構築と認識されにくく、相手に十分なトリックルーム対策を選択させない状況を形成することができた。
また、特殊メガガブリアスは物理型を想定した相手の交代や受け出しに対して有効打となり、アーマーガアなど一般的な物理受けに対して予想外の打点を与えることが可能であった。
さらに、「まもる」を攻撃技へ置き換えることで、オオニューラへのサイコキネシス、ラグラージへのギガドレイン、ブリジュラスへのだいちのちからなど、本来想定されにくい攻撃範囲を確保し、対戦相手の予測を逸脱した盤面を形成することができた。
以上の要素はいずれも、対戦相手の構築理解および型予測との乖離を生じさせ、「意表を突く」という共通の戦略目的に収束した。
結論
一見トリックルーム構築に見えない構築からトリックルームを展開すること、特殊メガガブリアスを採用すること、ならびに「まもる」の代わりに攻撃範囲を広げる技構成を採用することは、対戦相手の先入観および認知バイアスを利用した有効な情報攪乱戦術となり得ることが示唆された。
本研究で採用した各要素は単独でも一定の効果を有するが、これらを組み合わせることで、「何が飛んでくるのか分からない」という認知的不確実性を継続的に相手へ与えられることが示された。
以上より、本戦術の最大の有効性は、「なにより意表がつける。」ことにあると結論した。
Keywords: トリックルーム、認知バイアス、情報攪乱、特殊メガガブリアス、オオニューラ、ポケモンダブルバトル
はじめに

このたび、ガブリアス博士課程を修了しました。
学位論文の題目は、「ガブリアスを用いた認知攪乱戦術が対戦成績に及ぼす影響― トリックルーム構築に見えないトリックルーム構築における特殊メガガブリアスの役割 ―」です。
本稿では、シーズンM-Bで使用した、「一見トリパには見えないが、実は初手からトリックルームを展開する構築」について報告します。
なお、本構築を作成するにあたり、以下の構築記事を参考にさせていただきました。
(【構築紹介記事】無名トレーナーが爆速でレート1500→2300まで上げてチャンピオン級に到達した鉄球オオニューラ✕リキキリン✕4ウェポンリザードン【ダブルバトル】|レンゲ)
構築経緯

耐久に厚くしたポケモンは強い。ポケモンは、耐久に厚く振ると強い。攻撃を一発耐えれば、そのぶん行動回数が増える。そして当然ながら、相手より先に動けるポケモンも強い。
「耐久に厚く振りながら、相手より先に動きたい」この二つを両立する方法として、トリックルームは非常に合理的です。
しかし、問題があります。
トリックルームは対策されまくっています。見るからにトリックルームをしてきそうな構築では、選出画面の時点から、
- トリックルーム役への集中攻撃
- ちょうはつ
- ふういん
- トリックルームの切り返し
- 両まもるによるターン稼ぎ
などを準備されます。そこで考えました。
トリパに見えなければよいのでは?
目指したのは、「アグロ構築に、相手のトリックルーム対策としてリキキリンが入っているパーティ」に見えるトリックルーム構築です。
選出画面には、
オオニューラ
フラエッテ
ガブリアス
リザードン
ドドゲザン
リキキリン
これはどう見ても「高速アタッカーを並べて殴りながら、相手のトリックルームだけリキキリンとドドゲザンで切り返す構築」です。
素早さも種族値で考えると、だいたい上から順に並んでいます。
なお、こちらは初手からトリックルームをします。
個体解説
オオニューラ

持ち物: くろいてっきゅう
本構築の主役。最遅+くろいてっきゅうにより、トリックルーム下では性格下降補正ドドゲザンと同速です。
初手はほぼ必ずねこだまし。つまり1ターン目には遅いことがバレない。
横にはリキキリンがいるので相手からねこだましが飛んでくることもなく、「ねこだましの順番」で素早さが露見することもありません。
トリックルームが張れた瞬間、高速アタッカーだと思われていたオオニューラが、いじっぱりドドゲザンより先にインファイトを叩き込みます。H32のみのドドゲザンならヨプ込みでも乱数1発。
どくづき+どくしゅで51%の確率でどくを撒きます。だいたいコイントス。サーフゴーやイダイトウにもじごくづきで最低限の打点を確保しました。
なにより意表がつける。
リキキリン

持ち物: きあいのタスキ
トリックルーム役。
トリックルームターンを凌ぐため、丁寧な相手ほど両まもるを押してくることが多いですよね。その隙にわるだくみ。
どうせ攻撃しても倒せないなら積んでしまえばいいのです。ツインビームできあいのタスキを貫通できるので、積んだ火力を無駄にしません。
なによりアタッカーリキキリンは意表がつける。
メガガブリアス

持ち物: ガブリアスナイト
物理?いいえ。特殊です。
特殊メガガブリアス。ちゃんと理由があるのです。メガシンカすると特攻実数値は189。
特殊ガブリアス(145)の約1.3倍となり、さらにメガシンカで耐久も上がります。
つまり、「いのちのたま特殊ガブリアス並みの火力を、珠ダメージなし・耐久アップ付きで撃てる」ということになるのです。
しかもメガガブリアスはすばやさがなんと下がります。トリパと相性もいいですね。
だいちのちからでブリジュラス。りゅうのはどうでガブリアス、カイリュー。パワージェムでリザードン。かえんほうしゃでハッサム、アーマーガア。
なにより特殊メガガブリアスは意表がつける。
メガリザードンY

持ち物: リザードナイトY
メインウェポン2つは当然採用。
ガブリアス・カイリューにはりゅうのはどう。
リザードンにはげんしのちから。
ソーラービームとまもるはないですが、何より意表がつける。
メガフラエッテ

持ち物: フラエッテナイト
とにかく技範囲。まもる・めいそう、ありません。
対応範囲を広げる方が偉い。と考えました。
サイコキネシスでオオニューラ。ギガドレインでラグラージ。
相手はまず警戒しません。なにより意表がつける。
ドドゲザン

持ち物: いのちのたま
トリックルーム中はドゲザン、切れたらふいうち。最後に詰めます。けたぐりは同族意識です。
特に意表はつけない。
選出
先発:オオニューラ+リキキリン
後発:メガ枠+ドドゲザン
選出時点で、
オオニューラ
リキキリン
ドドゲザン
の3体は決定しているので、残り1体だけを選ぶのにすべての時間を使います。
メガリザードン
メガガブリアス
メガフラエッテ
のうち、最も相手に広く対応できるポケモンを選びます。
3メガ構成ですが、選出するのは1体です。
残り2体は、選出画面から圧をかける仕事をしています。
おわりに

構築記事を書いといてなんですが、参考にした元記事様のほうが良い結果を出されております。ですが、これは私の技量が足りなかったせいです。
この構築でガブリアス博士号がとれたことも事実であり、誇りをもって公開させていただきます。
正装にて。


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